2014年1月16日、IllustratorCCがアップデートされました。通算バージョンの17.0から17.1へのアップデートは、マイナーアップデートとはいえない大きな変化があります。17.1の新機能をダイジェストで紹介します。
17.1へのアップデート
IllustratorCCが、2014年1月16日にアップデートされ、17.1となりました。マイナーアップデートですが、大きな機能変化がありました。
起動すると、新機能を紹介するダイアログボックスが表示されます。ここから、「ライブコーナー」「新規鉛筆ツール」「パスセグメントのリシェイプ」のムービーを再生できます。ただし音声は英語です(2014.1.23時点)。
ライブコーナー
コーナーポイントの角を丸めるのが簡単になりました。ダイレクト選択ツールでコーナーポイントを選択すると、角の内側にコーナーウィジェットが表示され、ドラッグして角を丸められます。
コーナーポイントを複数選択してあれば、すべてのコーナーポイントが同時に変形します。
コーナーウィジェットをダブルクリックすると、[コーナー]ダイアログボックスが表示され、コーナーの形状や[半径]、[角丸]を設定できます。[角丸]では、デフォルトの「絶対的」では指定した半径サイズに正確に丸めます。「相対的」ではコーナーの角度に応じた角丸の形状にします。
ライブコーナーは、[効果]メニューの[角を丸める]とは異なり、パスの形状を直接変更します。対象となるのは、スムーズポイント(アンカーポイントを選択した際に表示される方向性が直線でつながっているアンカーポイント)以外のすべてのポイントです。
鉛筆ツールの機能強化
鉛筆ツールの機能が強化されました。ドラッグして描画する基本的な操作方法は同じですが、option/Altキーを押すと直線を描画できるようになりました。また、shiftキーを押すと、水平・垂直・45°の直線を描画できるようになりました。
なお、従来はoption/Altキーを押すとスムーズツールになりましたが、この機能は廃止されました。
また、選択したパスの端点からドラッグすると、パスを継続して描画できます。また、選択されている他のパスの端点までドラッグすると、2つのパスを接続できます。
パスセグメントの変形
アンカーポイントツールによる曲線から直線への変形
パスの変形に新しい操作が追加されました。これまでの「アンカーポイントの切り替え」ツールが、「アンカーポイント」ツールに名称が変更され、パスの直線部分をドラッグして曲線に変更できるようになりました。
ペンツール使用時にoption/Altキーを押すと一時的にアンカーポイントツールになるのは従来通りで、この状態でも直線パスを曲線に変更できます。
同様の変形は、リシェイプツールで行えましたが、リシェイプツールではドラッグした箇所にアンカーポイントが作成されますが、アンカーポイントツールでは作成されません。
ダイレクト選択ツールによる曲線セグメントの変形の仕様変更
これまでは、ダイレクト選択ツールで曲線のセグメントをドラッグすると、ドラッグしたセグメントだけが変形しましたが、17.1からはドラッグしたセグメントに接続する両端のパスも同時に変形します。
Typekitフォントの使用
先行アクセスプログラム申込ユーザ限定でサービスが提供されていたTypekitフォントが、使用できるようになりました。Webで公開されているAdobe Typekitのフォントライブラリから、フォントをMac/PCにインストールして利用できます。ただしほとんど欧文フォントです。
文字パネルまたはコントロールパネルのフォントボックスの▼をクリックすると、リスト上部に[Typekitフォントフィルター](1)と[Typekitからフォントを追加](2)が表示されます。[Typekitフォントフィルター]をクリックすると、Typekitからインストールしたフォントだけが表示されます。
[Typekitからフォントを追加]をクリックすると、Adobe TypekitのWebサイトがブラウザに表示され、フォントをダウンロードできます。
遠近グリッドの強化
遠近グリッドが強化されました。従来は、遠近グリッドツールでグリッドの消失を移動してもグリッドだけが変形して、グリッド内に描画された遠近オブジェクトは変形しませんでした。17.1では、消失点の移動に連動して遠近オブジェクトも変形します。 [表示]メニューの[遠近グリッド]から[測点をロック]を選択してから、遠近グリッドツールで消失点を水平・垂直に移動してください。
Windowsサポートの強化
HiDPIデバイス対応
今後増えてくると思われる4KディスプレイなどのHiDPI対応のディスプレイに対応しました。
Windows8デバイスでの筆圧入力のサポート
筆圧入力に対応したWindows8タブレットコンピュータを標準でサポートしました。
カスタムツールパネル
オリジナルのツールパネルを作り、用途に応じてツールパネルを使い分けられるようになりました。 [ウィンドウ]メニューの[ツール]から[新規ツールパネル]を選択すると、新しいツールパネルが作成されます。初期設定で表示されているツールパネルから、ツールをドラッグして新しいツールパネルに追加できます。
[ウィンドウ]メニューの[ツール]で、表示するツールパネルを選択できます。
設定の読み込みと書き出し
IllustratorCCでは、同じAdobeIDを使ったMac/PCでは、CreativeCloudを使って作業環境を同期できますが、これらの設定をファイルベースで書き出し/読み込みして、異なるAdobeIDのMac/PCでも設定を共有できるようになりました。 書き出しは[編集]メニューの[個別の設定]から[設定の書き出し]を選択します。読み込みは[編集]メニューの[個別の設定]から[設定の読み込み]を選択します。
SVGワークフローの機能強化
SVG保存時の[SVGオプション]ダイアログボックスで「レスポンシブ」オプションが追加されました。このオプションをチェックして保存したSVGファイルは、元ファイルの縦横比を保持したまま、表示するブラウザの環境に応じて拡大/縮小されて表示されるようになります。
スウォッチパネルに塗り/線ボックスを追加
スウォッチパネルに塗り/線ボックスが追加され、色の設定対象を選択できるようになりました(1)。またサムネール表示とリスト表示の切り替えボタンも追加されました(2)。
ドラッグ操作の即時キャンセル
Illustratorにはドラッグによるさまざまな操作があります。17.1では、以下の操作を、ドラッグ中にescキーを押してその場でキャンセルできるようになりました。
- ズームツールのドラッグによる範囲指定
- 選択ツールのドラッグによる選択マーキー
- 定規からドラッグしてガイドを作成
- 定規の交点からドラッグして原点移動
- ページ分割ツールのドラッグによる移動
アートボードの作成またはサイズ変更時に中央を固定
アートボードツールで新規アートボード作成時に、option/Altキーを押しながらドラッグすると、中央から作成できます。また、既存のアートボードをドラッグでサイズ変更する際にも、option/Altキーを押しながらドラッグすると、中央を固定してサイズを変更できます。
不透明度のスライダーによる設定
透明パネルやコントロールパネルで、不透明度をスライダーで設定できるようになりました。
レイヤーパネルの機能強化
レイヤーパネルで、パネル右側に表示される小さな正方形のアイコンをoption/Altキーを押しながらドラッグしてコピーする際、カーソルの右下に「+」が表示されるようになりました。
また、レイヤーパネルの表示状態が、ファイル保存時に同時に保存されます。展開した状態で保存すると、次回ファイルを開いた際にも、展開した状態でパネルが表示されます。
[配置]コマンドのショートカット
[ファイル]メニューの[配置]に、キーボードショートカットが割り当てられました。Macはcommand+shift+P、WindowsはCtrl+Shift+Pです。