ヤフー 代表取締役社長 宮坂 学氏

ヤフーは1月15日、地方自治体と連携し、Yahoo!ショッピング内で全国の特産品や名産品などの販売を開始した。同社は本社内で記者会見を開き、ヤフー 代表取締役社長の宮坂 学氏や、宮城県石巻市 市長の亀山 絃氏が連携の狙いについて語った。

「1719自治体の全てに、その地域ならではの特産品がある。インターネットの力を利用して、全国に売り出していければ」。この様に語るのはヤフー 代表取締役社長の宮坂 学氏だ。

同社では、会社のミッションとして「課題解決エンジン」を掲げており、ネットの情報技術を通して、人は様々な課題解決を図ってきたと語る。

「これまでに出来なかったことを"出来る化"できるインターネット。昨年の10月に(Yahoo!ショッピングの出店料無料化という)EC革命を発表したが、これも課題解決の一つ」(宮坂氏)

ECは、ヤフーだけではなく、楽天やアマゾンといった競合他社と共に「みんなの努力のお陰で市場が確立した」(宮坂氏)が、誰でも簡単に物が買えるだけではなく、「次は誰でも簡単に物を売れる時代にしたい」という目標を立ててEC革命を標榜したのだという。

「10年かけてECが確立した。また10年(着実に時間を)かければ、個々人が物を売る時代になるのではないか」(宮坂氏)

「図書館に続いて通販でも革命を」――武雄市市長 樋渡氏

佐賀県武雄市 市長 樋渡 啓祐氏

宮城県石巻市 市長 亀山 絃氏

続いて、佐賀県武雄市 市長であり、全国 JAPAN satisfaction guaranteedの運営協議会会長を務める樋渡 啓祐氏が登壇した。

樋渡氏は、CCCと手を組みいわゆる「TSUTAYA図書館」を武雄市でリニューアルオープンした人物。同氏はこの取り組みを「図書館に革命を起こした」と自己評価した上で、「次はヤフーさんと組んで、通販で革命を起こしたい」と夢を語る。

「地方の逸品は、地元の自治体職員が一番分かっている。日本で最大のネットプラットフォーマーに協力していただけるということで"爆速で"革命できると思っている」(樋渡氏)

続いて、同日からYahoo!ショッピングに参画する18自治体を代表して宮城県石巻市の市長 亀山 絃氏が登壇した。

ヤフーが東日本大震災のボランティア活動として「ヤフー石巻復興ベース」を同市に構えていることもあり、今回の連携も積極的に参加した石巻市。

亀山氏は「自治体としては、EC革命の発表に匹敵するお話」として期待感を口にした。

「石巻市は、200種類以上の魚を取り扱う魚市場だけではなく、ホタテやアワビの養殖、東京駅の駅舎の修復に利用された天然のスレートなど様々な名産品が存在する。自然豊かな地域、海産物農産物が豊富な地域ではあるが、被災して打撃を受けた。被災地の生産者販路の拡大を行政としても取り組みたいと考えているので、ご支援をお願いできれば」(亀山氏)

初めは19自治体の提供も、1719自治体を目指して

ヤフー 執行役員 ショッピングカンパニー長 小澤 隆生氏

最後にヤフー 執行役員でショッピングカンパニー長の小澤 隆生氏が登場し、自治体連携の具体的な内容について説明を行った。

冒頭でも宮坂氏が触れた「EC革命」は、「買えない物はない売り場を作る」をコンセプトに、出店料の無料化や、自社サイト送客の自由化を行っている。

この発表により「出展者様の申し込みが殺到」(小澤氏)したといい、10年かけて2万社の出店数だったものが、2013年末時点で約9万件に達したという。

「(ヤフー 会長の)孫がよく使っている図を出すが(笑)、本当に多くの方からお話をいただいている」(小澤氏)

ただ、このような取り組みをもってしても、ネットの世界にはなかなか登場しづらかった商品があるという。それが「地方の名産品や特産品」なのだという。

更なる品揃えの加速を狙って、ユーザーにとって「これが欲しいという商品を増やしていきたいという思い」で自治体との連携を企画。地方では、情報格差などから「出品の仕方が分からなかった」というような人でも、自治体との連携によって販路を拡大できるメリットがあると小澤氏は胸を張る。

「売り手と買い手、双方に満足していただけるような場を作っていきたい」(小澤氏)

サービス開始当初は、自治体の通販Webサイト「全国 JAPAN satisfaction guaranteed」に参画中の19自治体がYahoo!ショッピングストアページ「JAPAN SG」に出店する。

1月15日から販売を開始する自治体一覧

岩手県陸前高田市、栃木県那須町、埼玉県坂戸市、新潟県燕市と三条市(燕三条地場産業振興センター)、富山県南砺市、岐阜県関市、静岡県三島市、三重県松阪市、兵庫県多可町、奈良県吉野町、徳島県上板町、香川県宇多津町、福岡県鞍手町、大刀洗町、佐賀県武雄市、熊本県錦町、鹿児島県薩摩川内市、沖縄県石垣市

ほかに、今回登壇した宮城県石巻市や北海道美瑛町、大阪府が出店を予定している。

また、小澤氏は、自治体と連携することについての意義も説明。武雄市 市長の樋渡氏の言葉を引用し、「名産品は、地元の自治体職員が一番分かっている。自治体の方がみずからキュレーターとしてやっていただくことで、目利きの役割を果たしていただく」(小澤氏)

ほかにも、自治体にネットの活用方法がわからない生産者に対するサポートを行ってもらうことを含めて、スキームづくりの重要性も説明していた

最後に小澤氏は19自治体だけではなく、1719の全自治体に出店をお願いすると力説。「地方の経済活性化のため、地域の名産品の販売のために、全国どこでもYahoo!ショッピングの説明セミナーを行いたいと考えている。年内で1719自治体、全てを回る意気込みで頑張っていきたい」

最後にご当地キャラクターと記念撮影を行った首長と宮坂社長ら

会場にはYahoo!ショッピングで購入できる様々な名産品が展示されていた