Facebookなどのソーシャルメディアを利用する生活者は爆発的に増えており、近年は「ソーシャル時代」と評されることも少なくない。企業のマーケティング活動においてもソーシャルメディアの活用が当たり前。現在は、オウンドメディア(企業紹介Webサイト)以上にソーシャルメディアに力を入れている企業も少なくないだろう。

こうした傾向が極端に強くなったのが昨年である。2013年を振り返るならば、それまで半信半疑だったソーシャルメディアマーケティングの効果が広く認められ、多くの企業が本格活用に乗り出した年と言えるだろう。

では、今年、2014年はそうした風潮がどのように変化するのか。デジタルコンテンツ制作会社 博報堂アイ・スタジオの十字賢氏、土橋萌花氏、タンポンチョエ・タムマラット氏に話を伺ったので、以下、その模様をお伝えしよう。

左からタンポンチョエ・タムマラット氏、土橋萌花氏、十字賢氏

「オウンドメディア×ソーシャル」がいよいよ真価を発揮!?

「2014年は本当の意味で『オウンドメディアのソーシャル化』元年になります。これまでも、企業サイトやECサイトなどとFacebookやTwitterを連携させる取り組みはずいぶんと行われてきました。ただ、今年はその関係性がガラッと変わります。これまでとは違う新しい企業サイトが次々と生まれることになるでしょう。」

ストラテジックプラナーの十字氏は、2014年のマーケティングトレンドについてこのように"予言"する。

博報堂アイ・スタジオ ストラテジックプラナーの十字賢氏

現在、「オウンドメディアとソーシャルの連携」と言うと、多くの方は、商品やサービスの紹介ページに「ツイート」ボタンや「いいね!」ボタンを設置したり、サイドバーなどにガジェットやブログパーツを設置してコメントのタイムラインを表示したりといったかたちを思い浮かべるだろう。しかし、これらは言わば、「オウンドメディアへのソーシャル機能の追加」。オウンドメディアからソーシャルへ誘導するためのもので、相乗効果は期待できず、極論すれば、体裁上連携させている程度のものである。

だが、十字氏によると、オウンドメディアとソーシャルの関係性は、今年からそうした枠を超え、いよいよ新たな価値を生み出すフェーズに入るのだという。

今までのようにオウンドメディアの情報をソーシャルで拡散させるという情報の流れだけでなく、ソーシャルメディアで支持されている情報をオウンドメディアに集約するという、これまでとは「逆の流れ」が新たに加わることになるというのが十字氏の主張だ。その情報は、タイムラインのような時間軸での見せ方だけではなく、いいね!の多い順など「多面的な見せ方」へと変わる。

つまり、ようやく生活者とのコミュニケーションが、オウンドメディアに反映される「オウンドメディアのソーシャル化」が始まるという。