2013年12月12日から12月14日まで開催された環境展示会のエコプロダクツ2013。前回は電気・電力関連の展示を紹介したが、ここでは富士通とパナソニックという大手メーカーのユニークな挑戦を紹介する。

"富士通産"のレタス、いよいよ出荷開始へ

富士通ブースでは、壁一面にリーフレタスを展示。このリーフレタスは、同社のグループ会社である富士通ホーム&オフィスサービスが植物工場で水耕栽培したもので、通常のレタスと比較して低カリウムという特徴がある。

富士通ホーム&オフィスサービスは、福島県会津若松市の工場でリーフレタスを栽培している

この低カリウムレタスは、同社がこれまで培った半導体製造の技術、クリーンルームの管理技術、雑菌管理技術などを利用し、2000平方メートルの敷地面積のあるクリーンルームで栽培している。同社によると、低カリウム野菜を栽培する植物工場としては国内で最大級のもの。また、同社の食・脳クラウド「AKISAI」を利用し、栽培データを継続的に解析して、生産性の高い栽培を実現できるという。

同社は2014年1月から低カリウムレタスを出荷開始するという。主な用途は人工透析患者や慢性腎臓病患者など、カリウムの摂取制限を受けている人への提供。新鮮で美味しいだけでなく、安心して食べられる野菜として期待が集まっている。

同社は、2013年10月にリーフレタスの試作を開始した

パナソニック、燃料を生成する人工光合成システムを初公開

パナソニックは以前から開発を進めていた「人工光合成システム」を初めて一般に向けて展示した。光合成とは本来、植物が太陽光を利用し二酸化炭素と水からでんぷんとブドウ糖、酸素を作る仕組みだが、人工光合成は、光合成と同じ方法で燃料や化学原料を人工的に作り出す仕組みのこと。

同社はこれまで培った青色LEDと電子部品の技術を活かし、水と二酸化炭素を原料に酸素・メタン・ギ酸を生成することに成功したという。これまでギ酸の生成には成功していたが、メタンのように燃料として直接使える成分を生成できたのは初めてだという。また、人工光合成システムで太陽光からエネルギー源を作る効率は0.2%で、この値は植物がエネルギー源を作る能力とほぼ同程度だという。

同社では、人工光合成によってエネルギーを簡単かつ大量に生成できれば、今後ガスや石油、石炭などの化石燃料の代替エネルギーとして期待できるという。

パナソニックの人工光合成の仕組み。左から酸素が発生し、右からギ酸とメタンが発生する

人工光合成システムの光触媒に光を当てると、二酸化炭素を原料として、メタンなどを生成する(左)(右)