日本3大地鶏といえば、秋田の比内地鶏、鹿児島のさつま地鶏、そして名古屋コーチンだ。この地鶏のトップブランド「名古屋コーチン」の中で最も高級かつレアと評判の「純系名古屋コーチン」というブランドをご存知だろうか?
それは、「父鳥も母鳥も名古屋コーチンの100%純血」を証明された名古屋コーチンのことだ。コーチンの出自や飼育地域、飼育方法や日数などまで徹底的に細かく決められ、その証明として「純系名古屋コーチン」のシールまで貼られているのである。
ただでさえ高級感のあるコーチン。それも「純系」となると更に高級感は増す。しかしここ、本場・名古屋では、比較的リーズナブルにこの「純系」を食べることができるのである。今回はそんな「純系名古屋コーチン」の名店をいくつか紹介したい。
純系という名にふさわしい歯ごたえ
1店目の「伍味酉」は、中心街である栄のド真ん中に店を構える、名古屋では有名な居酒屋だ。本店店長の田下慎也さんは、「名古屋の食材をおいしく食べて欲しいですからね。純系なら100%の信頼がありますよ」。焼き鳥は、モモ、つくね、せせりの3本セットで980円(税抜き)。「基本的には塩で食べていただいています。その方が鶏肉本来の味が楽しめますからね」。
まず、モモを食べてみよう。正直、ものすごい歯応えだった。かみしめるごとに力強い味わいが口に広がり、さすが純系とうなる味だ。つくねはどうだろう? こちらはひき肉のようでさっぱりと食べやすい。それでいて味がぎゅっと凝縮されているのが分かる。店長オススメの「塩」の味が、鶏肉の味を引き立てているのだ。
そして、個人的に楽しみなのがせせり。表面が香ばしく焼かれパリパリしている。食感はモモとはまた違った歯を立てるような食感。いずれも「純系名古屋コーチン」の素材の味が前面に出た、一流の味わいである。
●infomation
伍味酉 本店
名古屋市中区栄3-9-13
マニアックな身が並ぶ刺身盛合せ
2軒目に繰り出そう。目指したのは栄中心部からは少し離れた隠れ家的な「とりころろ」。こちらも「純系」にこだわった焼き鳥が堪能できる。焼き鳥は10種類ほどあり、み(もも肉)は380円、せせりは320円だ。
「焼き鳥は塩かタレを選べます」とチーフの冨永秀男さん。「純系名古屋コーチンは肉の弾力はもちろん、キモなども匂いやクセが少ないんです」と言う。そんな冨永さんがオススメするのが、焼き鳥ではなく「コーチン刺身盛合せ」 (3,000円)である。かなりマニアックなメニューであり、油肝、心臓、砂肝、ササミ霜降り、胸肉のタタキの5種類が並ぶ。油肝と心臓は、塩とごま油、その他は醤油でいただくという。朝びきならではの鮮度がうれしい。
更に「そうそう。これも人気の一品です」と冨永さんが出したのは、「月見つくね」だった。ひとつ880円とかなりの値段だが、それもそのはず。ハンバーグ大ほどもある巨大なつくねでボリューム満点なのである。
●infomation
とりころろ
名古屋市中区2-15-10
純系はキオスクでも味わえる!?
では3件目の店へと言いたいところだが、最後は変り種を紹介しよう。それは、新幹線で全国を飛び回るビジネスマンにはうれしい「弁当」である。実は名古屋には純系名古屋コーチンの弁当があるのだ。名古屋駅改札近くにあるキオスクでゲットできる弁当は、その名もストレートに「純系名古屋コーチンとりめし」(税込み924円)。
弁当箱のラベルには、「純系の証」シールも燦然(さんぜん)と輝いている。この弁当、名前の通り「とりめし」がメインで、純系コーチンの照り焼きがしっかりと入っている。甘辛く上品な味わいを楽しむには十分なボリューム。純系ならではの歯応えもしっかりと堪能できる。
「とりめしにも、純系コーチンのダシをたっぷり使っています」そう教えてくれたのは、製造元である「だるま」の横田明典さんだ。ご飯に味が染み込み、なるほど「冷えてこそおいしい」という駅弁の鉄則も、見事にクリアしている。弁当としても酒のアテとしても使えるので、幅広い層に大人気なんだという。
●infomation
だるま 名古屋支社
名古屋市中村区亀島2-1-1
以上、駅弁から居酒屋、和食ダイニングまで、幅広い名古屋の店で出されている「純系名古屋コーチン」。確かに、普通の地鶏と比べて値段は張る。しかし、チャンスがあれば一度は食べてみてほしい、名古屋を代表する高級地鶏である。