――SとMが喜びを共有するシーンがいろいろありますが、それぞれどのように決めていったのでしょうか。

SMプレイとしては、実際にほとんどあるシーンです。水攻め、唾攻め、ムチ、ロウソク…。

――寿司も実際にあるんですかね…?

寿司は…(笑)。ハハハハハッ。寿司はないかな(笑)。寿司に関しては、『HITOSI MATUMOTO VISUALBUM』のコントの中でやったものなんです。あれは、当然笑いを取るためのコメディだったんですけど、あえてそれをこの映画に持ってきて、演者と演出が変われば全然見方が変わるんじゃないかなと思って、少しやってみたかったんですよね。

――4作目が完成しましたが、次回作以降はどのようなテーマを追いかけていきたいですか。

これはなかなか結構難しくてね。今回4本目は…僕の中では見えない苦労、見えない挑戦をいっぱいしたんですね。今までで一番勉強になったんですよ。なるほどなるほどと思うことがすごくいっぱいあって。変な話、自分の中でスキルアップできたなと思ってて。その経験をもってすれば、結構いいものが撮れるんじゃないかなぁって、自分の中で思ってて。具体的にこんなのが撮りたいというよりも、この人やってくれるんじゃないかなって客観的に思ってるんですよね。

――スキルアップしたのは、具体的にどんなところですか。

やっぱり、これまでの3作は肩に力が入っているところもあったでしょうし、緩急のつけ方みたいなのがやっと分かってきたなと。それがどういったところかは企業秘密なので言えないんですけど…編集してても…あぁ…うまくなったなぁと(笑)。

――”むちゃくちゃな映画”というのがテーマだったと思いますが、次回作についてはどのようにお考えですか。

なんかね…すっごい普通のね。普通の映画を撮ってみようかななんて思ってみたりもしますね。大して何も起こらないねぇっていう(笑)。自分の職業病なのか、ついつい大きなオチを求めてしまうところがあったりとか、驚かしてみたいという意識がすごく強いから、それが今までの映画にも反映されてるんですけど。それが決して悪いこととは言わないんですけど、ここらで1回大きな変化もない120分ってどんな映画が撮れるんだろうと思ってみたりもしますね。

今回の映画でわりと好きなシーンがあって。ゴンチチの曲が流れて、コロッケ買って踏切から歩いていくシーンなんですけど、あれなんかはなんてことないシーンなんです。でも、なんかすごく気に入ってるんですよね。あんな空気感で、いけそうな気がします。

――松本監督にとって、ハラハラする瞬間はどんな時ですか。

なんですかね。例えば…『ダウンタウンDX』とかでゲストが来て、どうしようもない話をダラダラとしゃべり出した時に…どうすんねん? どうすんねん? っていうハラハラはありますよね。誰が責任とんねんみたいな(笑)。

――これまでチャド・マレーンさんが翻訳を担当してきましたが、何か理由があるのでしょうか。

僕は英語ができないので、本当にチャドがやっている仕事がちゃんとできているのかどうなのか(笑)。正直なところわからないんですけど。でも、毎回チャドにやってもらってますね。今回は翻訳もそうですし、英語のセリフもありましたから、ほぼ全部チャドに任せました。英語のニュアンスってすごく難しいみたいで。チャドは本当に…給料制の割にはがんばってくれました(笑)。

――それでは最後にメッセージを。

やっぱり、映画撮ってると監督としてはどうでもいいシーンが絶対に出てくるんですね。ストーリーをつなぐだけのシーンだったりするから。今回の映画はそれがほとんどなくて、毎回見せ場があるというか。そういう意味では楽しく撮れたんじゃないですかね。だから、見せ場の多い映画だなと思います。

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