「ビア」と名がついているが、実はビールではない。とは言え、見れば泡もありグラスに注げば黒ビールと見間違うようなルックスだ。今も沖縄エリア全体に根付いているこの「ルートビア」を、沖縄のファストフードとの魅惑的な食べ合わせ・組み合わせも含めて紹介したい。
起源はアメリカ、その味はガムとバニラ!?
事実、ルートビアはソフトドリンクなのである。その起源はアメリカで、昔はアメリカの各家庭で作られていた伝統的なハーブ飲料であり、日本ではアメリカ統治下にあった沖縄で長いこと愛飲されてきた。
まずはグラスを手にして口へ運んでみよう。グラスに注ぐと、黒ビールのようなコーラのような色。しかし、バニラとハーブが強烈に効いている。最近の日本製の上品な炭酸飲料ではありえないほど、第一に甘いのだ。ヘルシー志向のライトな味わいに慣れた日本人からすると、チュイーンガムとバニラを混ぜた炭酸砂糖水を飲んでいるような感覚かもしれない。初めて飲んだ人にとっては、衝撃が襲うこと間違いない!
しかし思い起こせば、コーラも昔は「薬臭い」と言われていた。このルートビアも同様に、飲み続けるうちに知らずとやみつきになってしまうのだろう。現に、アメリカ文化が大量に流入している沖縄では、すごくポピュラーな飲み物になっている。どれほどポピュラーかというと、様々なフードに必要不可欠なドリンクとして圧倒的な流通数を誇っているのである。
おかわり無料・キッズメニューの定番にも!
それでは駆け足で紹介しよう。ルートビアは一体どんなフードと一緒に食べられているのだろうか? 沖縄でルートビアといえば、まず有名どころとしては県下で26店舗を構える「A & W」が挙げられる。
ここは、サンドイッチやハンバーガーなどアメリカナイズされたフードやドリンクが並ぶレストラン。他県で購入するとやや値が張るルートビアが比較的ロープライスで入手できるということもあり、沖縄出張の際はこのレストランで心ゆくまでルートビアを堪能する人も多いという。
ちなみに単価はS=150円、R=200円、L=250円。店内では「おかわり無料」というからうれしい。さらに、ルートビアの知名度の高さを物語るというか面白いのは、キッズメニューのキッズナゲットセット(420円)やキッズチーズバーガーセット(420円)。
「キッズドリンクをお選びください」とある子供向けのドリンク選択肢の中に、「ウーロン茶Sサイズ」や「オレンジSサイズ」と混じって「ルートビアS」が入っているのだ。この個性的な飲料が、子供向けにしっかり入っているところが、沖縄でのルートビアの知名度の高さを物語っているようだ。
ゴーヤ・卵・スパム、そしてルートビア
続いてもう少し小規模な沖縄ローカルのレストランに入ってみよう。その名も「JEF(ジェフ)」。県下で4店舗を展開しているファストフード店だ。ここでは他県では見ることのまずないユニークな一品、卵の中にゴーヤが入った「ゴーヤバーガー」にスパム(ランチョンミート)を加わえた「ぬーやるバーガー」が一押しのメニューという。
「こちらは当店のオリジナルなんです。ルートビアと一緒に食べるのが、最もポピュラーなんですよ!」そう教えてくれたのは、与那原店スタッフのMさん。がぶりとかぶりつくと、ゴーヤ 独特の苦味が口の中いっぱいに広がる。ゴーヤの苦味と劇的に甘いルートビアの、何ともエキセントリックな組み合わせがすごく特徴的だ。味のコントラストを楽しめる、沖縄ならではの「ぬーやるバーガーセット」は650円である。
●infomation
ジェフ与那原店
沖縄県与那原町字上与那原467
980円で思いっきり食べて飲む!
最後に、地元沖縄で若い人たちの圧倒的な支持を受けているという一店を紹介したい。アメリカンフードとルートビアの両方を納得いくまで堪能したいという人にとって、「Pizza in Okinawa」は一押しである。ここは何がすごいかというと、料理のボリュームとその価格である。980円でフードとソフトドリンクの両方が飲み食べ放題なのだ。
しかも、フードはピザ、タコライス、パスタ、ハンバーガーなど多岐に亘っている。このドリンク飲み放題の中に、もちろんルートビアも入っている。「ルートビアに合うフード? それはやっぱりハンバーガーやピザですよね。沖縄でアメリカ本土のリアルな食を楽しんでほしいです」と店長の久保田美代子さん。
●infomation
Pizza in Okinawa
沖縄県中頭郡北谷町砂辺368
ソーキソバやゴーヤをはじめとする野菜を多用する食文化が一方にあり、一方ではコテコテのアメリカのファストフード文化がしっかりと根づいている沖縄。その中で独特の存在感でしっかり根を張っているルートビアのポジションの面白さ。
沖縄を旅する折りには、是非ともルートビアを一度味わってほしい。事実、その味をぐっと引き立てるファーストフードも、沖縄にはいくつも存在しているのである。加えて、価格はいずれも数百円台と安い。値の張るアルコールと違い、いろんな意味で安心して楽しめる一品と言っていいだろう。