サイバー攻撃がますます巧妙化し、その攻撃対象範囲も拡大している現在、中小企業やSOHOにも万全なネットワークセキュリティ対策が求められるようになった。とはいえ、それらの企業にはITに詳しいスタッフが存在しないことが多く、またコスト的にもセキュリティ対策に費やす余裕があまりないというのが現実だろう。そんな中小企業が抱える課題を受けて、PS Japanとサードウェーブテクノロジーズが共同開発し、10月より販売開始予定なのが、製品「PSシリーズ」だ。PSシリーズにはアプライアンス版と仮想マシン版という2種の形態が用意されている。

アプライアンス版のPS-100-APモデルのハードウェアには、これまで1000台以上の導入実績を誇るサードウェーブテクノロジーズの1Uハーフサーバー「ExPrime Server R-200-HW」が用いられている。安定した稼動が実証されたこのサーバーに最適化したかたちで「Panda GateDefender Performa eSeries(以下、eSeries)」のエンジンを搭載しているのだ。また25ユーザー以下を対象にしたPS-25-APモデルは、さらにコンパクトな設計となっており、小さなオフィスであっても場所を問わずに設置することができる。

PS-100-AP

仮想マシン版PS-100モデルは、1つの物理サーバー上に、UTMの仮想化エンジンのほか、Webサーバーやファイルサーバー、SIPサーバーの様々なネットワークサービスの仮想サーバーをユーザーのニーズに応じてサードウェーブテクノロジーズが組み込んで提供するというユニークなものだ。これにより企業は、高度なセキュリティと自社に必要なすべてのネットワークサービスをオールインワンで実装できるのである。

PS-100

構成例

アンチウイルス機能をオンにしても高パフォーマンスを発揮できる秘密とは?

PSシリーズは、グローバルセキュリティカンパニーであるPanda Securityが世界中の企業に提供している最新のUTM製品eSeriesの豊富な機能をそのままに、日本市場向けに100ユーザー未満の規模のラインナップとして新たに開発されたものだ。eSeriesは、ファイアウォール、IPS(不正侵入防御システム)、アンチウイルス、アンチスパム、Webフィルタリング、コンテンツフィルタリングといった機能を備え、ウイルスや不正アクセスなど、あらゆる種類の脅威に対応することができるオールインワン・ゲートウェイセキュリティを提供する。

その最大の特徴は、高いパフォーマンスと優れた運用操作性にある。実は、UTMを導入している企業には、アンチウイルス機能はオフにしてファイアウォール機能のみを利用しているところも多いという。その理由は、アンチウイルス機能をオンにするとパフォーマンスが大きく低下してしまうからだ。Panda Securityでは、そうした企業の"声"を独自にヒアリングしたうえで、アンチウイルス機能を利用しても高いパフォーマンスを発揮できるUTMとしてeSeriesを開発したのである。

eSeriesの高パフォーマンスを実現しているのが、1990年からアンチウイルスベンダーとして開発を続けてきたPanda Securityならではの技術と、コレクティブインテリジェンスという独自のクラウドデータベースを利用したクラウドスキャン技術だ。すべてのシグネチャをローカルにダウンロードして、ローカルでスキャンするのではなく、Panda Securityが運用している最新のウイルスデータベースを参照してクラウド上でスキャンを行うことで、ウイルススキャンの負荷を限りなく小さくすることに成功した。

Panda Securityのクラウドデータベースには、これまで世界中から3億ものファイルが検体として送られており、毎日7万個以上の新たなウイルスが確認されているという。最新のウイルスを網羅したデータベースを参照にしてスキャンをかけることで、パフォーマンスだけでなく検知率も向上できるのである。

またeSeriesは、ユーザーになるべく負担をかけないというコンセプトのもと開発されており、ITに詳しくなくても導入から運用までを簡単かつ短時間で行えるようになっている。導入時に電源を入れてから、ウィザード(日本語)による8つの質問に答えるだけで、自社に最適なセキュリティ設定が施される。運用管理も、必要な情報がすべて集約された1つのダッシュボード画面上で完結できる。もしトラブルが生じた場合には、Panda Securityの専門スタッフによる遠隔操作で解決することもできるのだ。

ダッシュボード

UTMと各種ネットワーク機能を1パッケージで提供

サードウェーブテクノロジーズ 技術・開発部 技術課の前田勝史氏は、「両社の技術協力により、eSeriesの高度なセキュリティ機能を、低コストなハードウェア上でも高速に稼動させることができました」と話す。

eSeriesの仮想マシン版を使用したPS-100は、信頼性の高いマザーボードを採用した小規模オフィス向けサーバー「MTW-31」に、セキュリティ機能と、各種ネットワークサービス機能を組み込んだ製品だ。どのネットワークサービスをどう組み合わせるかは、ユーザーが自由に決められる。柔軟なカスタマイズを得意とするサードウェーブテクノロジーズの対応力があってこそ実現できた製品と言えるだろう。

株式会社サードウェーブテクノロジーズ
技術・開発部 技術課
前田 勝史様

PS Japan株式会社
取締役 CTO
加藤 博文様

PS Japanの取締役 CTO、加藤博文氏は、「これまで中小企業のお客様から"eSeriesの小規模ユーザー版を出してほしい"という要望が強かったことから、ハードウェアに強いサードウェーブテクノロジーズと協業して日本市場向けの新製品の開発に踏み切りました。お客様に負担をかけずに高いセキュリティを提供できるよう、特に留意しました」と語る。 セキュリティの確保はもちろん大事だが、そのために本来の業務に支障をきたしてしまっては本末転倒だ。豊富で高度なセキュリティ機能を、自社の規模やニーズに合わせて容易に導入・運用できるPSシリーズは、中小企業やSOHOにとって頼もしい味方となることだろう。