有名な「李錦記」と同じくらい種類が豊富で、現地の人に好まれているというブランド「陶大(AMOY)」の「○仔飯鼓油(○には保の下に火)」:8.90香港ドル(約110円)。スーパーマーケットで購入できる

香港のレストランでは、料理に合わせて醤油が出てくることも多いのだが、スーパーマーケットの調味料売り場に行くと、日本人でも驚くほどのたくさんの醤油が並んでいるのだ。香港の醤油も日本同様、味付け用の「生抽(セイチュウ)」と、色付け用の「老抽(ロウチュウ)」に大別される。

「生抽」は日本でいう濃口醤油、「老抽」は生抽を寝かせたもので、日本のたまり醤油のようなものだが、より濃厚で甘味がある。売り場でパッケージを見ていると、薄口、濃口だけでなく、更に点心用、煮魚用、甘め、酢入りなど様々な料理に合わせたものが並んでいて、いろいろ試したくなってしまうほどだ。

香港の冬の定番料理の味を決める醤油

ちなみに数年前、香港の隣の都市・中国大陸の深センの物価が上がり、香港に日用品を買いに行く人が増えた。この現象を、香港の醤油が安くておいしいことから「香港で醤油を買う」と言われたというエピソードもあるほど、おいしいらしい。

これだけ種類があると迷ってしまうところだが、今回コーディネーターにオススメ醤油を聞いたところ、“ご飯にかけるだけでもおいしい”というのが、○仔飯(ポウチャイファーン。○には保の下に火、以下同)用醤油。

○仔飯とは広東省名物の土鍋料理で、「香港の冬と言えばコレ!」的なメニューだそう。土鍋で米を炊き、炊きあがる直前に味付けした具を乗せて更に蒸し、最後に醤油ベースのタレをかけるあったか料理。この最後の醤油の味で料理のよしあしが決まる、とも。そこで、ご飯にかける以外にも使ってみたい、簡単料理を作ってみた。

「○仔飯醤油で甘辛オムライス」

〈材料・2人分〉
・ご飯 1合
・長ネギ 20cm
・焼き豚 60g
・ごま油 大さじ2
・コショウ 適量
・○仔飯鼓油 大さじ1
・トッピング用の万能ねぎと○仔飯鼓油 適量

〈半熟卵〉
・卵 4個(ひとりにつき2個)
・サラダ油 適量(多めが良い)

〈作り方〉
1. 長ネギは粗みじん切りに、焼き豚は小さめの角切りにする。
2. フライパンにごま油を入れ1を炒め、ご飯を加えてしっかりと炒める。コショウと○仔飯鼓油を加えて更に炒め、器に盛り付けておく。
3. フライパンをよく熱し、多めのサラダ油を入れ、溶き卵(ひとりにつき2個)を入れて半熟卵を作る。
4. 3を2にのせて(半熟が表面になるように)○仔飯鼓油を適量かけ、万能ねぎをトッピング。

〈ワンポイントアドバイス〉
きれいな半熟卵にするには、フライパンから煙が出るくらい熱してから焼くのがポイント。この○仔飯鼓油、何とも卵との相性が抜群なのだ。焼き豚、長ネギのみとシンプルなオムレツでも、この醤油をたらりとかけるだけで、本格中華料理並みの一品になるスグレモノ! また、味もしっかりあるので、すりおろしたニンニクとショウガと合わせてから揚げの下味にするなど、和風料理にも使えそうだ。

レシピ考案者プロフィール : みやちゃん

フィットネスジムでスタッフをしながら、料理人としても働いています。これらの経験をいかして、簡単でおいしいレシピをブログ「四万十住人の簡単料理ブログ! 」で紹介しています。