Raspberry Piについて

--:それでは次に、ちょうど話が出ましたので、2つ目のキーワードであるRaspberry Piについて教えてください。まず、Raspberry Piはどのような役割なのでしょう(画像5)

石渡氏:Raspberry Piはモーションデータの呼び出し用に使えます。通常のホビーロボットですとコントローラのボタンを押して操作するわけですが、RAPIROの場合はどのボタンを押すかをRaspberry Piで考えて、そのコマンドをRaspberry Piから送ると動作するという形式になっています。ただ、まだプロトコルは現在検討中でして、モーションの呼び出しだけではなく、サーボモータを指定して各サーボの角度をRaspberry Piからコマンドで制御できるようにすることも考えています。その辺はメモリ容量との関係もあるので、詳細はもうしばらくお待ちください。

画像5。頭部に載っているボードがRaspberry Pi

--:なぜRaspberry Piを載せることを考えたのでしょう?

石渡氏:Raspberry Piのいいところの1つは、Javaなどの高級言語でもプログラムを書けたりすることです。もちろん、Javaで書くにはいろいろと準備が必要なのですが、そうした技術も調べれば得られるわけです。こうした高級言語を使えるということは、RAPIROとWebを連動させるといったことも可能になります。つまり、ソフトウェアエンジニアの方もターゲットにできるんです。それから、RAPIROは最終的には教育用ということも考えて作っています。Raspberry Piを搭載できるということは、8ビットや16ビットのマイコンで行われている現在のロボット教育から1歩進めるわけです。マイコン工作ではなく、コンピュータ工作の時代になったともいえるわけですね。それに対応したキットをいち早く作ろうというのも、RAPIROのコンセプトにあります。

--:教育用途を考えているわけですか

石渡氏:海外も含めてもっと高性能の教育用途のロボットはいくつかありますが、RAPIROはそれらのロボットほど高機能でもなければ、手厚いフルサポートも用意していません。しかし、その代わりに圧倒的に低価格で購入できるという点がRAPIROの魅力になります。教育用途ということで考えれば、これだけの低価格だと、高級機1台の予算で約10台を購入可能です。ものによっては、何十台も買えてしまう。もちろん、そうした高級機が高くてダメという意味ではなくて、センサ数も多いし、モーション作製のツールなどの開発環境も揃っていたりと、ロボット用教材として非常にいいものになっています。ただし、どうしてもそうした高額な高級機は生徒の人数分は買えませんから、生徒8人とか10人で1台のロボットを共有するということになります。本来、1人に1台のロボットを与えた方が学べるものが圧倒的に大きいと思います。RAPIROなら低価格なのでそれが可能になると思うので、教育用途の中でも導入用というところを考えています。

--:Linuxという立派なOSが動作するコンピュータを搭載できるロボットを自分だけの教材として勉強することができたら、確かに身につくものが違うでしょう。10人とかで1台を共有なんて環境だと、遠慮してしまってあまり使えない生徒だって出てきてしまうでしょうし、時間が足りなくて生徒みんながやりたいことがやれなくて中途半端になってしまったとか、みんながお互いに気を遣ってしまってやりづらいってことだってあるでしょう。確かに、RAPIROは教育機関向けの教材としてもいいと思いますね。あと思ったのですが、Raspberry PiでRAPIROをダイレクトに制御しようと思えば可能ですよね? そうすると、Arduino互換のコントロールボードの方は入らないということはありませんか?

石渡氏:いえ、Raspberry PiでわざわざサーボモータのPWM(制御)を生成するのはすごくムダだと思いますので、コントロールボードがあった方がいいと思います。それに、Raspberry Piがいくらコンピュータとはいってもそれほど性能が高いわけではありませんし、ましてマルチスレッド機能がありませんから、サーボを動かすのに使ったら、それだけでほかのことは何もできなくなってしまうんですよ。それはもったいないので、両方があった方がいいと思います。

--:Raspberry PiのタイプBを使うんですよね?

石渡氏:タイプBで設計していますが、タイプAはサイズ的に小さかったりコネクタがなくなったりするだけなので、載ると思います。タイプBに比べるとタイプAはできることが少なくなりますが、カメラとかは使えますので、載っていればタイプBほどではないにしろ、いろいろとできるかと思います。