恋愛は、いつも楽しいことばかりではありません。幸いにも、好きになった人とつきあえるようになったとしても、別れという結末にたどり着いてしまうことがあります。もし、失恋することになったのなら、立ち直るためにはどうしたらいいのでしょうか。失恋にまつわる心理を、恋愛心理学に詳しい平松隆円さんに解説していただきます。
失恋って、広辞苑を調べると「恋する気持ちが相手にかなえられないこと。恋にやぶれること」とでてきます。意味としては、付き合ったあとに別れた失恋と、実らなかった失恋の2つがあると思うんです。
実らなかった失恋は、片思いで終わった場合ですよね。付き合ったあとに別れた失恋というのは、別れを告げる場合、別れを告げられた場合、それから自然消滅的な曖昧なものまで、あります。なので、今回は、付き合ったあとに別れた失恋で考えてみたいと思います。
恋人たちは恋の終わりにうすうす気づいている
恋人たちは二人の関係に、我慢できないほどの不満がたまると、もはや関係が修復できず、二人は別れに向かって進んでいきます。相手に直接、不満をいうことはなくても、たとえば、相手をいたわる会話や、相手に触れたり、キスをしたりすることがなくなっていきます。
すると、自然と相手に不満が伝わっていきます。そして、別れたいという意思を相手に告げたり、もしくは相手がそれに気づく段階になるんです。別れる頃って、お互いにうすうす気づきますよね。そして、別れることになり、二人の思い出を整理します。
失恋に大切なのは思い出を整理すること
この思い出を整理することが失恋では大事なんです。思い出を整理しながら、人は失恋の痛手から回復しようとします。たとえば、「別れたことを悔やんだり、失恋相手のことを思い出したり」「失恋相手を恨んだり、幻滅したり」「失恋相手を避けようとしたり、思い出の品を処分したり」「失恋したことを肯定的にとらえようとしたり」「失恋相手とは異なる異性と付き合ったり」します。このとき、どの行動をとるかで、失恋からの立ち直りが違うんです。
もし、別れを悔やんだり、相手を恨んだりすれば、失恋からの立ち直りは遅くなります。反対に、別れて良かったと思ったり、新しい恋人を見つけようとすることは立ち直りを早くします。
というのも、未練や恨みは相手への固執で、失恋から逃れることをできなくさせているからです。いつまでも別れた相手のことにとらわれるのではなく、次の恋に気持ちを切り替えた方が良いんです。よく、失恋をいやすのは新しい恋といいますが、心理学的にも正しいんです。
著者プロフィール
平松隆円
化粧心理学者 / 大学教員
1980年滋賀県生まれ。2008年世界でも類をみない化粧研究で博士(教育学)の学位を取得。国際日本文化研究センター講師や京都大学中核機関研究員などを経て、現在はタイ国立チュラロンコーン大学講師。専門は、化粧心理学や化粧文化論など。よそおいに関する研究で日本文化を解き明かしている。NTV『所さんの目がテン! 』、CX『めざましどようび』、NHK『極める 中越典子の京美人学』など番組出演も多数。主著『化粧にみる日本文化』(水曜社)は関西大学入試問題に採用されるなど、研究者以外にも反響を呼んだ。ほかに『黒髪と美女の日本史』(水曜社)など。