採用したものの戦力として使えないどころか、会社の雰囲気を悪くしている――そう思ったとしてもおかしくない。調査によると、雇用ミスに悩まされている企業はGDP上位10カ国の企業で軒並み5割を上回っているのだ。その影響として、生産性の問題や、他の従業員や顧客への悪い影響などが報告されている。

就職情報サイトの米CareerBuilderが、GDP上位10カ国(米国、中国、日本、ドイツ、フランス、英国、ブラジル、ロシア、イタリア、インド)で、合計6000社以上の企業の採用担当や人事に聞いた。調査は2012年11月に行われている。

会社にあわない人材を雇ってしまった、業績が良くないなどの「雇用ミス」があったとする企業は、10カ国中でロシアが最も高く、88%の企業が雇用ミスを認めた。ブラジル(87%)、中国(87%)などBRIC諸国が上位を占め、米国は5位で66%、日本は8位の59%だった。

雇用ミスによる損失額はどれぐらいか? 米国企業の27%は、一度の雇用ミスによる損失は5万ドル以上としている。欧州ではさらに高く、ドイツでは調査対象企業の29%が5万ユーロ(約6万5231ドル)以上とし、英国では5万ポンド(約7万5700ドル)とする企業が27%あった。インドや中国でも高く、インドでは29%の企業が雇用ミスによる損失を200万ルピー(約3万7150ドル)とし、中国では48%の企業が30万元(約4万8734ドル)と報告した。

具体的な項目では、生産性の損失、他の従業員に悪い影響が出る、顧客に悪い影響が出る、営業の損失、新しい従業員の雇用とトレーニングの5つについて聞いている。

比率が高かったのは「生産性の損失」で中国の57%を筆頭にBRIC諸国で多く挙げられている。日本企業では「他の従業員への悪い影響」で31%が報告しており、これは10カ国中4位だった。このほか「生産性の損失」(28%)、「顧客関係への悪い影響」「営業の損失」(ともに13%)、「新しい従業員の雇用・トレーニング」(11%)の順となっている。中国は「新しい従業員の雇用・トレーニング」以外の項目すべてで最多となった。

CareerBuilderによると、BRIC諸国では雇用ペースが早いのに対し欧州では遅いなどの要因も、調査結果と関係あるだろうとしている。