KDDIは5月20日、au 2013 夏モデルの新製品発表会を開催し、3M戦略第二弾として「スマートリレーションズ構想」を発表した。
スマートリレーションズ構想の内容は大きく3つに分けられる。1点目は「使いこなす」を実現する製品。動画、音楽などのエンターテインメント機能や、おサイフケータイとNFCといった生活を便利にする機能を搭載。これらの機能を快適に利用することができるパフォーマンスに優れた商品を提供するという。持ちやすさやデザインにもこだわり、厳選した4モデルのラインナップで展開する。
2点目はスマホとリアルな暮らしのリレーションを強化する「auスマートパス」。「毎日がSimple&Luckyに。」をコンセプトとして、各種コンテンツを見つけやすくするために、5分~15分間隔で更新される「タイムラインUI」にアプリ、クーポン、クラウドサービス、ニュースなどの情報が表示されるようになる。これはスマートパスのトップページだけではなく、auポータルサイトのトップページにも適用されるという。
3点目は顧客とのリレーションを強化する「auスマートサポート」。"使いこなす"をサポートするスマホ時代の新しいアフターサービスの形として、24時間体制での電話サポートや、担当者が自宅を訪れてアドバイスをくれる「スマホ訪問サポート」が提供される。
KDDIが目指すもの
田中社長は、3M戦略第一弾について「オープンで制約のない世界へのパスポートとしてauスマートパスを始めた」と振り返る。auは「キャリアとして何を目指すか?」という点で、コーポレートスローガンにもなっている「あたらしい自由」を設定した。これは「最も革新的なブランドでありながら、最もお客様視点のブランドを目指す」ことだという。
2013年になり、キャリアに消費者が求めるものはどう変わるのか。今年はスマホ普及率が5割を超える(KDDI独自調査)とされており、スマートフォンが当たり前の時代になると共に、「スマートフォンが欲しい」というユーザーニーズが「スマートフォンで何かがやりたい」に転じるという。
「街を歩くだけで自分好みのクーポンやチケットが届いたら」、「テーマパークの待ち時間をいつでも0分に出来たら」、「スマホひとつで旅行できたら」。スマートフォンを使いこなしたいユーザーをサポートするキャリアへ進化していきたいと田中社長は語る。
スマートフォンは画面の中のインターネット世界に閉じこもった端末と捉えられがちだが、KDDIではスマートフォンが社会と繋がっていく可能性をサービス化していきたいという。これが「スマートリレーションズ構想」の根幹であり、「日常をよりシンプルに驚きのあるものに変えていくサービスイノベーション」と田中社長は語った。
UIが大きく変わるauスマートパス
スマートリレーションズ構想の根幹をなすのが、auスマートパスだ。auスマートパスは、オープンインターネットの世界に安心して入っていけるようにというコンセプトに基づき、KDDIがアプリ取り放題やクーポン&ポイント、セキュリティソフトなどを提供するというもの。月額390円で利用できる同サービスは、2012年3月に提供が開始され、今年4月時点でau史上最速の600万契約を達成したという。
20日の発表会では、このプラットフォームを新たなコンセプト「毎日をSimple&Luckyに。」に乗せて広げていく、3つの構想が発表された。
1点目はスマートフォンとリアルな生活のリレーション強化。ぴあとの提携関係の強化により、スマートパス会員限定で、チケット先行予約、音楽ライブ、映画試写会招待などが行われる。
2点目は「PULLからPUSHへ」。Simple&Luckyを実現するユーザーインタフェースとしてタイムラインUIが導入される。これまではスマートパスアプリを起動すると、一般的なスマホサイトのUIが表示されていたが、今後は時間の経過と共に情報が流れていくタイムラインUIに変更される。
これは、スマートパスのトップ画面だけではなく、au ポータルサイトのトップページにも適用されるという。KDDIのスマートフォン利用者のスマートパス契約率などを考慮して、auポータルと、スマートパスサイトの統合を決めたとしている。タイムライン表示は強制的なものではなく、従来のスマホサイト型である「簡易版」も提供するとしている。
タイムラインUIでは、スマートパスの全コンテンツ(アプリ情報、クーポン、クラウドサービス、生活情報)が5分~15分間隔で配信されるようになる。これまでは各種コンテンツにユーザーからアクセスしていたが、今後はタイムラインUIにより、スマートパスやau ポータルサイトのトップページを訪れると新しい情報がまとめて得られるようになるという。なお、ディスプレイに表示させたままではタイムラインは更新されず、再読込する必要がある。
生活情報では、ウェザーニュース、BARKS、週プレNews、webSportiva、ダイヤモンド・オンラインなどの様々なコンテンツを取り揃えている。これらの情報はサービス開始当初、曜日や時間帯に応じた編成をKDDIが行うかたちで提供されるが、下半期には会員情報や各種サービスの利用動向をもとに、最適な情報を提供していくという。ユーザーが情報の提供に同意すると、登録した年齢や職業などから配信コンテンツの傾向を変わる仕組みだが、各個人で配信カテゴリの設定なども行うことができるようになるとしている。
スマートパスの新たな取り組みの3点目は「提供から共創へ」。 「auスマパス総会」と呼ばれるサービスが新たに提供され、ユーザー自身の手により「au スマートパス」のサービス特集や特典の内容を投票で決定できる。「聞かせてページ」でユーザーのサービス改善希望や意見、要望を募り、「ユーザー決議」で投票してもらう仕組みだ。聞かせてページで提出した意見が全て通るわけではないが、一定の要望が集まると、ユーザー決議が行われるとしている。これら一連の進捗状況はブログ形式で公開されるとしている。
KDDIでは、スマートパス契約数を今年度末までに1000万契約まで増やすとしており、今回の新たな取り組みを通して、顧客とのリレーションを強化していきたいという。