一時のブームは収まったとはいえ、ポジティブ思考のための啓発本やアドバイスは相変わらず多く出ている。だが、ネガティブな思考がない人などいないはず。

Dumb Littel Manの記事「ネガティブ思考と行動を分離するための5つのステップ(原題 : A Simple 5-Step Process to Separate Your Actions from Negative Thoughts)」は、ネガティブ思考を否定せず、それが影響しないように行動すればいいという観点で、行動と思考を分離するためトレーニングを紹介している。

ポジティブ思考が「あと1時間勉強するなんて無理だ!」を「あと1時間勉強できる!」に変えることであるとすれば、5分後には「やっぱり勉強できない」で終わってしまうかもしれない。

学生時代スポーツ選手だったという記事の筆者は、ポジティブ思考をあれこれ試したそうだが、生活でもスポーツでも改善するにあたってポジティブ思考は現実的なテクニックではないという結論に至ったとしている。「どうしても、ネガティブな考えや感情しか浮かばないときがある」と筆者は言う。

ネガティブ思考それ自体は悪いことではないし、思考をすべてコントロールすることはできない。思考と行動は異なる。ポジティブ思考であっても、それが行動に反映されなければ成果は生まない。たとえば、路上で困っている人をみて「助けてあげよう」はポジティブだが、思うだけで助けなければ成果になっていないのだ。思考は、数学の問題を解決したり、状況を分析したり、ビジネス計画を立てたりするときに有用だが、行動がなければ実現はない。

ここまで整理するだけでも、ネガティブになったときの自分の反応が変わりそうだが、さらに極めたい場合に、次の5つのステップで、ネガティブ思考と行動を分離できるようになるという。手っ取り早い処方箋ではないが、みてみよう。

  • 1.「歩けない」のトレーニング

歩きながら、「私は歩けない」と自身に言う。さらに、声に出して言う。馬鹿げたことのようだが、マインドを思考から分離するトレーニングだという。

  • 2.シンプルな作業に応用

次に、簡単にできる作業を2つか3つをピックアップし、それをやりながら「○○ができない」と言う。たとえば、30秒間歯磨きをしながら「30秒間歯磨きができない」、階段を昇りながら「階段を昇れない」などのことだ。これを1~2週間やってみると、思考が自分にいかに結びついているのかが分かってきて、気持ちの違いが実感できるようになるという。このトレーニングの目的は、ネガティブ思考をなくすことにあるのではない。ネガティブな状態でも、現実世界では自分が望むように行動できることにある。

  • 3.負荷を少しずつ拡大

思考が与える影響が少なくなってきたことを実感できたら、作業の難度を上げて行こう。「30秒間歯磨きができない」なら40秒に増やす、「1分間歩けない」なら「1分間ジョギングできない」に、少しずつ増やしていく。

  • 4.「悪いムード」と「ネガティブ思考」を認識

ネガティブ思考が頭にあるとき、本を読むようにそれを受け止める。思考を認識し、思考が行動に影響を与えていないかどうかを考える。

  • 5.自分を受け入れる

最後は、自分の体験を喜び、人間であることを喜ぼう。さまざまな思考があり、感情があることを受け入れ、価値ある方向に向けるように意識づけよう。