二次元の女性しか愛せないのはなぜ?

生身の女性より、二次元の女性が好きという男性がいます。アニメの中に登場する女の子たちに萌え、本当に恋愛感情を抱くという男性も。「○○はオレの嫁」といったように、アニメのキャラクターと想像の中で結婚してしまう男性もいます。

一般的に二次元の女性が好きな男性は、実際に存在する女性は苦手だったり、興味がなかったりするともいわれます。二次元の女性しか愛せない男性というのは、一体どういう心理からなのでしょうか。大学では恋愛心理学の授業も担当している平松隆円さんにたずねてみました。

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二次元の女性が好きというと、自分の目の前にいないという意味で、アイドルのことが好きだという男性と同じだと考えてしまいます。ですが多くの場合、二次元とはアニメのキャラクターのみをさしています。

もちろん、性的な嗜好としてアニメのキャラクターを好むということも考えられます。それた話になりますが、英語「HENTAI」といえば、その一ジャンルを意味しています。とはいえ、二次元の女性が好きという男性がみな、アニメのキャラクターに性的な興味があるかというと、そうでもありません。性的な嗜好ではなく、現実には存在しないアニメのキャラクターか、目の前にいなくても現実に存在する女性かの違いに、注目すべきポイントがあります。

それは、恋人にもとめる理想の高さが影響しているということです。アイドルという言葉が、本来は「偶像(人形)」を意味するように、そこには人々の理想の姿がありました。芸能界で活躍するアイドルたちは、意図的に作り出されたイメージで演出されています。一昔前のアイドルなら、トイレに行かないというイメージもあったくらいです。

ですが、今のアイドルは「会いに行ける」と宣伝されるように、近所のちょっとキレイな女の子という程度で、一般の女の子と変わりません。その垣根の低さを芸能界は意図的に作り出しているのでしょうが、むしろ二次元の女性が好きという男性からは敬遠されてしまっているのです。

現代の男性にとって二次元の女性は「太古の女神」

アニメのキャラクターは、当然ながら作品の中で生きています。作り上げられたキャラクターを裏切ることはありません。男性たちが好きになった時点で、よほど作者の改変がない限り、時部の理想的な女性として完成されているのです。男性の周囲にいる女性やアイドルたちであれば、男性たちの想像もつかない言動を思わずとってしまい、期待を裏切ることもあります。

つまり、現代の男性にとっての二次元の女性とは、一昔前のアイドルであり、太古の女神なのです。恋人にもとめる理想が高いこと、そして理想的だと思っていた恋人に裏切られることへの不安が、男性を二次元の女性に導いているのだと思います。

著者プロフィール

平松隆円
化粧心理学者 / 大学教員
1980年滋賀県生まれ。2008年世界でも類をみない化粧研究で博士(教育学)の学位を取得。国際日本文化研究センター講師や京都大学中核機関研究員などを歴任。専門は、化粧心理学や化粧文化論など。よそおいに関する研究で日本文化を解き明かしている。大学では魅力をテーマに恋愛心理学も担当。 NTV『所さんの目がテン! 』、CX『めざましどようび』、NHK『極める 中越典子の京美人学』など番組出演も多数。主著『化粧にみる日本文化』は関西大学入試問題に採用されるなど、研究者以外にも反響を呼んだ。