同調査によれば、まず全国のダウンロード平均速度は、Android端末でソフトバンクが27.04Mbps、KDDIが20.27Mbps、ドコモが15.37Mbps。iPhone 5では、ソフトバンクが9.88Mbps、KDDIが7.93Mbpsとなった。Android、iPhone 5ともにソフトバンクが優位となっており、スマートフォンユーザーへの実感調査と同様の結果となっているのがわかる。

また、4G/LTEエリアの広がりを示す全国100カ所における4G/LTEの捕捉率では、Android端末でKDDIが100カ所、ドコモが97カ所、ソフトバンクが91カ所。iPhone 5ではソフトバンクが97カ所、KDDIが84カ所だった。4G/LTEエリアの広がりは、AndroidではKDDI、iPhone 5ではソフトバンクが優位と機種によって結果がわかれた。

2013年3月に実施されたMMD研究所による通信速度調査の結果

約半年前に実施された通信速度調査との比較

MMD研究所では、昨年秋にも同様の「キャリア・地域別通信速度比較調査」を実施しており、約半年での通信速度などの変化を探るうえでの参考になる。まず、2012年9月27日から10月2日まで実施されたiPhone 5の調査では、全国主要都市(9都市/39カ所)で通信速度を調査し、全国のダウンロード平均速度でKDDIが13.44Mbps、ソフトバンクが9.56Mbpsとなっていた。2013年3月の調査結果とは異なり、昨年秋の時点ではKDDIが優位だった。

また、2012年11月2日から9日まで実施されたAndroid端末の調査では、全国主要都市(9都市/45カ所)で通信速度を調査した結果、全国のダウンロード平均速度はKDDIが24.51Mbps、ソフトバンクが18.36Mbps、ドコモが10.22Mbpsとなっていた。こちらも2013年3月の調査結果と比較すると、ソフトバンクとKDDIの順位が入れ替わっているのがわかる。

昨年秋の時点における4G/LTEエリアの広がりでは、iPhone 5のLTE捕捉率(全国39カ所)は、KDDIが36カ所、ソフトバンクが25カ所となりKDDIが優位だった。また、Android端末の4G/LTE捕捉率(全国45カ所)は、KDDIが44カ所、ドコモが42カ所、ソフトバンクが33カ所だった。

2012年9月末から実施されたiPhone 5の通信速度調査の結果 (拡大画像はこちら)

2012年11月に実施されたAndroid端末の通信速度調査の結果 (拡大画像はこちら)

実感調査と速度調査から読み取れること

昨年秋の速度調査では、通信速度と4G/LTEエリアの広がりの両面において、iPhone 5、Androidともにソフトバンクが劣勢となっていたが、2013年3月の調査では一気に盛り返している。これは、スマートフォンユーザーへの実感調査において、ネットワークの改善を実感しているソフトバンクユーザーが多かったことを裏付ける内容だといえるだろう。

また、KDDIは昨年秋の調査では、iPhone 5、Androidともに通信速度が優位だったのに対し、2013年3月の調査では平均ダウンロード速度が低下し、ソフトバンクを下回る結果となっている。これには、利用するユーザーの急激な増加が影響していると考えられる。

電気通信事業者協会(TCA)が毎月発表している携帯電話・PHSの契約数では、純増数やMNPの転入超過でソフトバンクとKDDIの躍進と、ドコモの苦戦が明らかになっている。一般的に、ユーザー数が増え、通信量が増加すると通信速度は低下する。もちろん、基地局の増設も行われていると思われるが、KDDIの場合、基地局の増設がユーザーの増加に追いついていない状況と見ることができるのではないだろうか。

一方、ソフトバンクもKDDIと同様にユーザー数が大幅に増加しているが、こちらはユーザーの実感や速度調査でも向上した結果となっており、ユーザーの増加に見合ったネットワークの整備が行われていると考えられる。また、ソフトバンクは3月21日より、LTEに対応するiPhone 5などでイー・アクセスが展開する1.7GHz帯のネットワークが利用可能になる「ダブルLTE」を開始しており、現時点ではごく一部の地域に限られるものの、実感調査などに多少の影響を与えているかもしれない。

本稿では、MMD研究所の調査をもとに、現時点と半年前におけるスマートフォンの通信速度やつながりやすさの変化について見てきた。スマートフォンを快適に利用するためには、機種選びに加えて、どこのキャリアを選択するのかも重要なポイントとなる。実際の通信速度や速さの実感などは使ってみないとわからない部分も多いため、各通信会社のサービス説明資料だけではなく、実感調査や速度調査を参考にするというのもひとつの方法と言えるだろう。