週刊『ロビ』とのサイズ比較(?)。マガジンには組み立て手順の他にも最新のロボット情報が満載

ちょびちょび作って未来を "お試し"! 完成する頃には読者もすっかりロボット脳に!?

――確かに、ロビが広く普及すれば、家庭用ロボットという夢が次のステップへ進むかも知れませんね。

高橋氏:デアゴスティーニの分冊形態を嫌う人もいますけど(笑)、僕は "三方よし" のすごくいい売り方だと思うんですよ。ユーザーも、ロボットのような得体の知れないモノにいきなり15万円とか20万円とかは払えない。でも、最初は790円から "お試し" ができるとなれば、一気に敷居が下がりますよね。

――今までは "買うか買わないか" しかなかった訳ですもんね。買ってみたもののお手上げ、というパターンも多かったでしょうし。

高橋氏:ドサッと一度に全部の部品が届いたら、箱を開けた瞬間に「無理!」とか思っちゃいますよね。ちょびちょびやっている内にでき上がっている、というのは、少なくともロボットにはアリだと思うんです。開発側にとっても、最初に開発費をどっさりつぎ込まなくても、自転車操業、分割払いでできるので(笑)。おかげで結果的には十分な額を投じることができるし、敷居が下がって部数がたくさん出るから、コストパフォーマンスもとても高いものになる。完成までの総額と同程度で売られているロボット・キットと比べたら、確実にこちらの方がお買い得なんですよ。出る数が二桁、下手したら三桁多いですからね。

――同一モデルとしては最も一般家庭に普及したロボットになるかも知れませんね。

高橋氏:ただ面白いことに、ロビはまだ誰も完成品を目にしていないんですよね。いいにせよ悪いにせよ、1年半先にでき上がるまで評価がない。それってすごいことだなぁとは思います。期待が大き過ぎそうで怖いですけど……。「ロビがいればもう結婚しないでいいや」ぐらいに思ってる人もいそうなので(笑)。

――「コイツとともに生きていく!」みたいな? まぁそういう人は自己責任で魔改造していけばいいんですかね(笑)。

高橋氏:まぁ、そうですね。とにかくモーターにしてもCPUボードにしても、レベルが数段上がってますので。たとえば、各関節のサーボの角度を認識してタッチセンサー代わりにもしているんですよ。今まではセンサーのある部位しか反応しませんでしたが、これで頭でも手足でも、全身触られたことがわかる。

高橋氏による「ロビ」のデモ・その2(サーボモーターの状態を常に認識し、全身触られたことがわかる)


――それは確かにすごいですね。全身に神経が通ったようなもので、かなり可能性が広がりそうです。

高橋氏:触られたのがわかって、人感センサーで人も見つけられて、言葉が聞けて、しゃべれて……うまくすれば相当いろんなことができる。やっとロボットがコミュニケーションをデザインできるレベルに達して、これからはコンテンツをどう作りこんでいくか、というところまで来たんじゃないでしょうか。

――ちなみに、マガジンの内容についても、高橋さんが密接に関わられているんでしょうか?

高橋氏:そうですね、全部ではないですけども。取材先も、大好きなカーデザイナーの由良拓也さんとか、僕の行きたいところへ(笑)。でも実際、70号も出るとなると、相当影響力のあるメディアになりますよね。読者間のコミュニティもできるでしょうし。それが万単位の部数で1年半となると……毎号ちょっとずつ「もうすぐロボットと暮らす未来が……きますよ~、きますよ~」と洗脳していったら、相当の人数を動かせますね(笑)。

――ロボットもでき上がっていくけど、読者もだんだん高橋さんのロボットに仕立てられていく、みたいな……(笑)。

高橋氏:ユーザーはロビをプログラムできないけど、僕は読者の皆さんをプログラムしますよ! っていう(笑)。いや、でも本当に、せっかくロボットの世界への入口に入ってきてくれた人たちに、うまくいろいろな情報を伝えたり教えたりしていきたい。そのためのメディアとして、記事の内容も大事にしていきたいですね。

創刊号特別付録の「ミニロビ」と。胸の赤い部分にはスピーカーを内蔵し、左上の欠けた形のところに "ROBI" のロゴが入る予定だとか

以上、様々な興味深い話を聞くことができたが、ノッてくると相変わらず、ちょっと危ういマッド・サイエンティスト発言が飛び出す高橋氏であった。それも『鉄腕アトム』の生みの親・天馬博士への幼い頃からの憧れによるものか、はたまた、イイ話の後にもオチを付けずにいられない関西人の血ゆえか?(笑)。

ともあれ、完成まで約1年半の週刊『ロビ』ではあるが、これまでのロボット・キットに比べて数段レベルアップし、確実にコストパフォーマンスの高いものになっているようだ。興味を持たれた方はぜひ"お試し" で手にとってみて欲しい。高橋氏の言う通り、きっと "ロボットと暮らす未来" のビジョンが見えてくるハズだ。