自分はエンジニアとして将来きちんと食べていくことができるのであろうか――絶え間なく変化する現代において、エンジニアであれば誰しも一度は考えたことがあるテーマだろう。3月19日に竹橋で開催された第1回Tech Compassでは、伊藤直也(@naoya_ito)氏と山本裕介(@yusuke)氏をプレゼンターとして招き、このテーマで議論がなされた。

Tech Compassはマイナビが主催し、エンジニアのスキルアップと人的交流を促進するとともに、エンジニア達がどんなことを考えているかを掴み、そのキャリアアップをお手伝いすることを目的としたイベントだ。今回が初めての開催となる。

モデレータはWeb Designing編集長の馬場静樹氏が努めた。会場にはSIerやWEB開発者、また、自社のエンジニアにとって働きやすい環境を作ろうとしている管理者など、様々な背景を持つ方々が集まった。

イベントでは最初に、伊藤氏、山本氏のそれぞれに、15分間を使って簡単な自己紹介をした。

1日5分でもいいからとにかく続ける

伊藤直也氏

伊藤氏は、ニフティで「ココログ」の開発に携わった後、はてなにて「はてなブックマーク」を開発、さらにGREEでも活躍した経歴を持ち、今ではフリーランスとして活動されている。

最近は、RubyでiOSアプリが開発できるRubyMotion、いまやクラウドのデファクトスタンダードとなった「Amazon Web Services」、継続的インテグレーションをさらに押し進めた「継続的デリバリー」、サーバの運用ツールである「Chef」などに興味を持ち、精力的に活動している。

氏が自己紹介がてら強調したのは、これらの技術を結びつけることで今までは不可能だった規模のシステムが信じられないスピードで開発できることだ。アメリカ大統領選挙のオバマ陣営は、先ほど挙げた技術を用いて見事に選挙を勝ち抜くシステムを作り上げた。

また、「以前は"Perlの人"として認識されていた」という同氏だが、今はRubyを使い、クラウド上でシステムを作ることが多いという。重要なのは、氏が初めからRubyやクラウドを勉強していたわけではなく、「変化に適応する力」を鍛えていたからこそ、現在よく使われる技術を身につけることができたということ。変化に適応するためには「1日5分でもいいからとにかく続けること」(伊藤氏)が大事であり、「それが生き残りにおいて重要になる」とした。

成果につなげるためにアピールを

山本裕介氏

山本裕介氏も、Red HatやTwitterを含む、様々な企業で働いた経歴を持つが、現在はフリーランスとして活躍されている。Javaを長年触っているエンジニアであれば、ログのダンプツールである「侍」やTwitterのJavaバインディングである「Twitter4J」の作者だと言えばピンと来るのではないだろうか。

現在はJetBrainsと代理店契約を締結し、Intelli JIDEAを始めとしたJetBrainsの製品を日本で普及させるために、精力的に活動している。代理店となれば営業は必要不可欠だ。契約や折衝、法律に関することまで全てを自分でこなし、「それがとてもよい経験になっている」と話す。

山本氏が普段から意識しているのは、「人と違うことをする」ことと、「成果を出す」ことの2点だ。「プログラムは大好きだが、それをあえて仕事の中心には据えない」と言い、実際、テクニカルサポートをやっていた時代が一番長いという。

また、「努力をするだけではなく、それを成果につなげるためにきちんとアピールすることが重要」や、「生き残るためには、トレンドに逆行し過ぎてはいけない。誰も見向きもしない技術ではなく、市場がきちんとある場所で尖らなくてはならない」といった経験談も披露され、山本氏は「現在、自分はの種まきの時期にある」とも説明した。