"手一杯"のIT部門の管理負荷を軽減する

日本アイ・ビー・エム株式会社 システムx事業部 ビジネス開発 System x Specialty 担当部長 Systems & Technology エバンジェリスト - System x 東根作成英氏

変動し続けるビジネス要求に応えるため、サーバ、ストレージ、ネットワーク、ソフトウェアなど、複雑化するシステムの管理に頭を悩ませる担当者も少なくない。現場からは、それらの管理で業務が手一杯となってしまい、なかなか効率のよいシステムの導入にまで手が回らないという声も聞こえてくる。

「『IBM PureFlex System』は、複数のハイパーバイザーをハードウェアとあわせて1つの管理コンソールで管理することが可能です。また、お客様のお手元に届いたときには、ケーブリングもキッティングも既に終えているので、使い始めるまでの時間を劇的に短縮することができます」と語るのは、日本アイ・ビー・エムのシステムx事業部 ビジネス開発 Systems & Technology エバンジェリスト 東根作成英氏だ。

「IBM PureFlex System」は、x86サーバとPOWERプロセッサー搭載サーバが混在する、複数種類の仮想化環境を包括的に管理する事ができる、専門家の知見を統合したエキスパート・インテグレーテッド・システムで、2012年4月にIBMが世界同時発表し、話題を呼んだ製品だ。

同氏によると、「IBM PureFlex System」は設計段階からすべてを最適に統合し、コンピュート・ノード(サーバ)、ストレージ、ネットワークなどのリソースが緊密に統合されているため、これまでの基盤構築と比較して短時間で導入することが可能だという。

仮想化環境に最適化された「システム」が設置場所に届く

ハードウェアやソフトウェアがそれぞれ進化し続ける中で、仮想化環境の構築には各製品の専門家のスキルが必要であった。これは要件を満たすシステムの構築には、少なくとも数人規模以上のプロフェッショナルが人的労力を割く必要があることを意味する。「IBM PureFlex System」ではこの点を考慮した製品設計がなされている。

「これまではシステムを接続するネットワークの物理接続や、ストレージの設定・接続、サーバの構築と仮想化環境のセットアップといった作業は、それぞれの専門家によって設置場所で行われるのが一般的でした。『PureFlex System』ではこれらの作業の多くをIBMの工場で実施した形でお客様にお届けします。これに加え、『PureFlex System』にバンドルされるIBMのジャンプスタート・サービス(Lab Service)が、設置場所でのお客様支援を行うことにより、お客様は製品の納品後、速やかにアプリケーションを実行する環境を手に入れることができます」

これまではシステム導入のための要件定義の後、個別にハードウェアやソフトウェアの選定を行い、各システム担当者がシステムとしてセットアップする、といった手順が一般的だったが、「IBM PureFlex System」ではこの流れが変わることになる。選択肢が増えることにより膨らみ続けた「製品の選定」に掛ける時間を、「仮想化に最適化され、オープンだが統合されたシステムを選定する」という考え方に変えることによって、使い始めるまでの時間を減らそうというアプローチと言える。システムの管理機能やプライベート・クラウド(IaaS)の機能までも組み込んだインフラストラクチャー(基盤)が、要件に合致するか、あるいは要件の前提条件を満たすかどうかを検証できれば、導入にかかる時間を短縮できるというわけだ。

混在するKVM環境を動かすことを視野に入れて開発された

「一般的には、ハイパーバイザーの管理というと、それぞれのハイパーバイザーの管理ツールを確認することになりますが、そこには、ストレージやサーバの管理は含まれていませんでした。しかし、「IBM PureFlex System」には、Red Hat Enterprise LinuxのKVM環境、VMware vSphere、Hyper-V、PowerVMなどの混在した環境を視野に入れてつくられた「Flex System Manager」を搭載しており、これにより、運用管理者から見た際に、どの程度リソースが使われているかなど、視覚的に管理できます」

「また、導入を考えている企業が抱える問題に、『既存の仮想化環境とどう連携できるか』というものがありますが、先述のように「IBM PureFlex System」は、複数の仮想化環境が混在することを念頭において開発されています。複数のプラットフォームの混在が複雑性につながるのではないかと心配される方もいますが、それらは、複雑性を解消するFlex System ManagerこそがIBM PureFlex Systemの特長であり、一つの環境に依存しないことによるリスクヘッジという側面もあると考えています」

既存の仮想化環境との連携も考慮されている「IBM PureFlex System」だが、同氏はさらに、次のように続ける。

「世界には多くの仮想化ソフトがあり、また、お客様が求めるニーズも多様化してきています。IBMでは、これらのニーズに個別に応えていきながら、お客様が最終的に必要とされるビジネス基盤としてのITと、それを支えるクラウドの最適解に向かっていただけるよう、お手伝いをさせていただければと考えています」

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2月6日(水)に開催される「マイナビニュース仮想化セミナー【Day1】コスト削減とリスクヘッジを実現する今後の仮想化環境 ~Red HatとIBMが提供するローリスクなOSSの活用~」では、東根作氏も登壇する。実機を用いた説明も行われる予定なので、「IBM PureFlex System」の仕組みが詳細にわかるはずだ。飛躍のためのさらなる戦略を考えるユーザーには、ぜひご参加いただきたい。