クリエイションの現場において、大容量のデータのやり取りは日々発生するもの。扱うデータの容量も年々重くなってきており、スムースなデータのやり取りは、プロジェクトの進行や完成形に大きな影響を及ぼすといえる。本企画では、そんなデータのやり取りに、シーイーシーの販売するクラウドストレージサービス「Webhard」を導入しているクリエイターに話を伺っていく。第3回では、企業のWebサイトからソーシャルゲームまで幅広くWebの企画制作に携わるtadashiku, Inc.が登場。

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Dropboxにまつわる開発の現場でありがちな"事故"

tadashiku, Inc.の岡徳之氏(左)と萩原伸悟氏(右)

短期で制作する静的なWebサイトから、比較的長期で制作する動的なソーシャルゲームまで、幅広くWebの企画制作に携わるtadashiku, Inc.。同社では、コラボレーションする外部のクリエイターも多いことから、多くのクリエイターが利用するDropboxをこれまでメインのオンラインストレージとして利用してきた。そんな同社が、「Webhard」を導入することを検討したキッカケには、あるDropboxにまつわる"事故"があったと言う。

「我々が非営利事業として展開するオープンソースプロジェクトでは、社外のプログラマー数名とデータの共有をする必要があり、その際にDropboxを利用していました。しかしある日、Dropboxを初めて使うことになった外部のプログラマーが、誤ってフォルダごと削除してしまうという事態が発生してしまったんです。そのフォルダには膨大な数のファイルが格納されていたんですが、Dropboxでは、削除されたファイルを復旧するにはひとつずつ行なっていかなくてはいけないため、その復元作業に半日以上を費やすことになってしまったんです」(同社プログラマー 萩原氏談)。

このことがきっかけで、万が一のファイル誤削除のリスクについて検討することになったそうだ。

Webプロダクションには欠かせない"セキュリティ"が決め手

前出の、万が一のファイル誤削除のリスクの本質は"セキュリティ"だと萩原氏は指摘する。「外部のクリエイターと我々のデータマネジメントのルールは異なっていて当然です。また、通常使っていない新しいツールを外部のクリエイターに導入してもらうときは人為的なミスが発生することも考慮しなければいけません。であれば、それを未然に防ぐよう、外部のクリエイターがそもそも重要なフォルダにアクセスできないよう、アクセス権限を設定し、環境を整えることが解決への近道だと思ったんです」

また、同社のプランナー・岡氏はアクセス権限を付与する際の操作性に着目する。「Dropboxは一番上位に位置する親ファイルに権限を付与することはできても、下の階層にある個別の子ファイルを制限することができません。この制約があるために、工数を割かれることもある」という。アクセス権限設定の柔軟性は、ファイルのやり取りが頻繁に発生するWebプロダクションなら誰しも感じているニーズだろう。

Webhardにおけるアクセス権限の付与は複雑な操作が要らない

使って気づく"容量ベース"課金モデルの利便性

さらに岡氏は同サービスの利用に伴う課金制度についても言及。「前出のオープンソースプロジェクトでは、たくさんの画像、映像ファイルをやり取りしており、プロジェクト全体で共有しなければならないファイルの容量はかなりのものでした。一方で、Dropboxの無料版で使用できる容量は限られています。普段からDropboxを使用していた我々は、有料版を使っていたため容量の問題を全く感じなかったのですが、無料版を導入したばかりのメンバーはそういうわけにいきません。"このプロジェクトのためだけに、わざわざ有料のプランを購入しないといけないのか……"と渋られることさえもありました」(岡氏談)。その点、Webhardはユーザー数ではなく、容量に応じて課金されていく。よって、オープンソースや短期案件など、メンバーの増減が激しいプロジェクトにも適していると同氏は推す。

最後に、Webhardの"アップロードの速さ"について、萩原氏は「カフェでテザリングしたスマートフォンを使って、20MBの容量があるWebサービスの紹介ムービーをアップロードするのに約5分程度しかかからなかった」とコメント。一方、岡氏も「メンバーと遠隔で作業する場合、サイズの大きいファイルを圧縮してメール添付で送信したり、Skypeで送ると時間がかかるため、作業が中断し作業効率が落ちてしまうんです」とアップロードの速度の重要性について明かした。

"セキュリティ"、"容量ベースの課金モデル"、"速度"といった点は、いずれもWebプロダクションにとっては必要不可欠な要素であり、Webhardはそのツボをおさえているサービスだと言えるだろう。

まとめ

Webhard導入前の課題 Webhard導入効果
アクセス権限の設定が煩雑で工数がかさむ アクセス権限の設定方法が容易で楽に管理できる
ユーザー数に応じた課金モデルが導入の障壁に 容量ベースの課金モデルで外部のメンバーにも導入してもらいやすい
重いファイルのアップロードに時間がかかる アップロード、ダウンロードが速く、電波状況が不安定な環境や即送信を求めるシーンでも効率的