長野県長野市に本社を置く株式会社「TOSYS」(トーシス)は、情報通信インフラネットワークの構築・保守を行うネットワークエンジニアリング企業だ。

同社はこれまで情報通信インフラネットワークの設計、施工、構築を事業の柱としてきたが、近年はメンテナンス事業のほか、校務IT化支援パッケージ「スクールオフィス」などの情報システム事業や、「Livestyle」などクラウドサービス分野まで業務領域を拡大している。そのため、旧社名の「東日本システム建設株式会社」は業容イメージが通信建設業務に限定されやすいことから、今年の10月1日、「株式会社TOSYS」に商号を変更した。

「スクールオフィス」は、「先生を子供たちに返そう」という理念から生まれ、PTAとのやりとり、生徒の成績管理、学校設備の予約など、先生のほとんどの業務をサポートするパッケージで、校務IT化支援システム市場で高いシェアを持っており、現在も更なる機能アップに向けバージョンアップを続けている。

長野市にある株式会社「TOSYS」本社

一人で3台所有の人も

そんな同社は、スマートフォンを含む携帯電話の業務利用を積極的に行っており、全社員約700名のうち、8割ほどの社員が活用している。

総務人材開発部長 千野敦司氏

「業務上、外に出て行う作業が多く、社員同士の連絡、お客さまとの設備の確認、作業終了後の現場の写真撮影など、携帯電話は業務に欠かせない端末となっています」と、総務人材開発部長 千野敦司氏は説明する。

中でも情報通信インフラネットワークの施工、構築を行う工事担当者にとって、携帯電話は必要不可欠なツールだ。

通信設備工事では、作業が終了すれば確認のためのテストを行う必要があり、その際、離れた場所にいる別の担当者と連携し、回線の切り替えを行いながら作業する。そのため、携帯電話を使ってリアルタイムに連絡を取り合うことが必要となる。

さらに、工事が完了すれば、現場を携帯電話のカメラで撮影し、工事完了報告として提出しなければならない。もちろん、デジカメを利用することもできるが、写真を一度パソコンに取り込む必要があるため、撮ったその場で写真を送信できる携帯電話のほうが利便性に優れているのだ。

総務人材開発部 総務部門 主任 小池正年氏

「中には、個人用、業務用、写真撮影用と携帯電話を3台使い分けている社員もいます」と、総務人材開発部 総務部門 主任 小池正年氏は語る。

加えて、営業や工事設計担当者も、顧客との迅速な連絡や確認、工事担当者との連携などで携帯電話を利用している。

3つの制度を使い分け

そして、これら業務で利用する携帯電話の費用負担について、同社では3つの方法で対応していた。

1つ目は携帯電話自体を会社で支給し、端末費や基本料を含めた料金のすべてを会社が負担する方法。2つ目は、個人用携帯電話1台で、プライベート用に加えビジネス用の電話番号も契約し、電話番号・メール・電話帳などを切り替えて使い分けすることができるサービスを利用する方法で、ビジネス用の電話番号で発信した通話料金を会社が負担するもの(以下、1台でプライベート用とビジネス用の2契約を使い分けるサービス、と表記)。そして3つ目が、個人の携帯電話をそのまま業務で利用してもらい、通話料については、毎月一定額を「携帯電話手当」として支給する方法だ。これらは、担当する業務内容や使用頻度を考慮しながら使い分けていたという。

そして、ここで問題になったのが「携帯電話手当」の部分だ。