TPP

TPP(環太平洋パートナーシップ協定)は、次の選挙の大きな争点の一つだ。これは、参加国の間で輸出や輸入を行う際に課せられる関税を撤廃し、ルールを統一しようという協定のこと。TPPに参加すれば輸出や輸入がこれまでよりも増加し、各国間での経済活動が活発化すると予想される一方で、輸入の拡大により日本国内のさまざまな産業が打撃を受けるといった懸念がある。

民主党・野田代表は、「日本はAPEC(アジア太平洋経済協力)の加盟国であり、アジア太平洋地域にFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)を作るという共通目標がある」とした上で、「アジア太平洋地域は間違いなくこれからの世界の成長エンジンになる。日本もその貿易、投資のルール作りに主体的に参加するべきであり、そのFTAAP実現の道筋の一つがTPPである」と、TPPへの交渉参加に意欲を示した。

同じくTPP交渉参加に賛成するのが、みんなの党・渡辺代表だ。渡辺代表は「自民党は安倍政権になったら、TPP交渉参加するに決まっている」と語気を強め、「聖域なき関税撤廃には反対というのは当たり前。どの国も例外項目を潜り込ませるのが交渉であり、FTA戦略で遅れを取った日本はTPPで挽回すべき」だと主張する。

しかし、その他の政党はTPP交渉参加について慎重な姿勢を見せる。共産党・志位代表は「総理は『守るべきものは守る』とおっしゃるが、TPPというのは例外なき関税ゼロが原則であり、FTAなどとは違って『守るべきものは守れない』という仕掛けになっている」と強く批判、また社会民主党・福島代表は「外国から安い米や食料品が入ってくる」ことと、「ISD条項で外国企業が日本を訴えると多くの場合日本は負けてしまう」と2つの懸念事項を挙げてTPP交渉参加に疑問を投げかけた。

この「例外なき関税ゼロ」という部分が、TPPをめぐる議論のポイントだ。というのも、関税をすべてゼロにしてしまうと、海外から輸入される安い食料品のせいで日本の農家が大打撃を受ける可能性があるからだ。これが2国間でルールを定めるFTAであれば例外項目を設けられるが、TPPはそうではない。

外交力を構築してからもう一度見なおしていくべきと主張した自民党・安倍代表

TPP交渉参加が時期尚早であると意見した公明党・山口代表

自民党・安倍代表はこの「聖域なき関税撤廃(例外なき関税ゼロ)」について言及し、「『聖域なき関税撤廃』を前提条件とする限り、参加には反対」であると主張。さらに「経済交渉自体が良いか悪いかはなく、国益を守ることができたかどうか(が大切)。『聖域なき関税撤廃』を突破する外交力を構築してからもう一度見なおしていくべき」と述べた。これに公明党・山口代表も「交渉力なき参加は拙速」であるとし、「まずは国益が何かをしっかり確定することが大事」とTPP交渉参加が時期尚早であると語った。

また、新党日本・田中代表、新党大地・鈴木代表、国民新党・自見代表、日本未来の党・嘉田代表らも、同じく「日本の産業崩壊を危惧」「国民的議論の不足」を理由にTPPには反対意見を述べた。……続きを読む