マツダはこのほど、2日間にわたり都内の晴海埠頭埋立地にて、「i-ACTIVSENSE 体感試乗イベント」を開催した。会場に用意された新型「アテンザ」「CX-5」に試乗して、同社の先進安全技術「i-ACTIVSENSE」を体感できるというイベントだ。初日はメディア向けのプログラム、2日目は一般参加者を招いた体感イベントが実施された。ここではメディア向けプログラムの模様を紹介する。

イベント会場に用意された新型「アテンザ」

「i-ACTIVSENSE」(アイ アクティブセンス)は、運転支援技術や認知支援技術、衝突回避支援・被害軽減技術が含まれる、マツダの先進安全技術の総称。今回のイベントは、夜間走行時の手助けとなるハイビームコントロールシステム(HBC)とアダプティブフロントライティングシステム(AFS)などを除く各技術を体感できるコースと車両が用意された。

「マツダ レーダークルーズコントロール」(MRCC)の体感試乗では、マツダのスタッフが運転する先行車に追走し、一定の速度に達したらMRCCのスイッチをオンにするだけ。MRCCは先行車との速度差や車間距離を認識し、設定した車速内で車間距離を自動で調整・維持する機能なので、スイッチをオンにした後は車が自動で先行車を追尾してくれるのだ。ドライバーはアクセルやブレーキを踏むことなく、ハンドル操作のみ行うことになる。また、先行車をセンサーが見失うコーナリング中でも、先行車との車間を予測して速度調節が行われ、カーブを抜けたところで先行車の再認識を行ってくれる。

実際に体験してみた感想は、他のドライバーが加速や減速を行い、先行車との車間距離を維持してくれる車に乗っているようであり、しかしハンドルを切るのはドライバー自身という、ちょっと不思議な感覚であった。MRCCがオンになっている最中にアクセルやブレーキを踏むと自動的にオフになるとのことで、足の置き場に戸惑うが、マツダのスタッフによると、「ブレーキの上に軽く乗せる感じが良い」とのこと。高速道路のクルーズでは、かなりの負担軽減になるだろう。

試乗用に用意された「CX-5」

LDWSの設定画面

道路上の白線を検知し、車線を逸脱しそうになったら警告を発する「車線逸脱警報システム」(LDWS)と、左右後方からの接近車両を検知して車線変更時の危険を知らせる「リアビークルモニタリングシステム」(RVM)の体感試乗は、白線が引かれた同じコースで行われた。いずれも、車線を外れそうになったら警告を発し、車線変更時に後方から車が近づいて来たら警報を発するという認知支援技術だ。

今回の試乗では、説明通りのタイミングでドアミラーのランプや警告音が鳴ることを確認したほか、故意に車線を変更する際は機能しない、警告音の音量が変更できるなど、細かな設定の説明も受けた。ドライバーが警告に慣れてしまったり、邪魔に感じてオフにされてしまったりするケースへの対応策だ。

衝突の危険を回避するSBS / SCBSの体感コースで、自動ブレーキにより停止した状態。ドライバーはブレーキを踏んでいない

その他、15km/h以上で走行中に先行車と衝突の危険性がある場合、自動ブレーキにより減速を行う「スマートブレーキサポート」(SBS)、4~30km/hの速度域で先行車と衝突の危険性がある場合、自動ブレーキが機能する「スマートシティブレーキサポート」(SCBS)、停車した状態からアクセルを踏み込んだ際、前方に障害物が存在するとアクセルを踏み込んでもエンジン出力を抑えて急発進を抑制する「AT誤発進抑制制御」なども体験した。

駐車場を想定して車止めが置かれた停車位置から、アクセルを踏むAT誤発進抑制制御の体験。前方の障害物を認識しているため、いくらアクセルを踏んでも車止めを乗り越える出力にはならない

AT誤発進抑制制御では、前方に壁がある状態でアクセルをベタ踏みしても、車止めを乗り越えない出力に抑えられる。壁と車の距離は一般的なコンビニの駐車場などを想定しているとのこと。完全に停止させないのは、踏切などで同機能が動作した場合の対策だという。

いずれの機能も、ミリ波レーダー、準ミリ波レーダー、近赤外線レーザー、可視光カメラといったセンサー類がキーとなる技術だ。

「i-ACTIVSENSE」を実現する各種のセンサー

イベント当日は晴天に恵まれた昼間に行われたが、雨天や霧、夜中などの視界が悪い状況では、各種センサーが人の目に代わって周囲を見張ることになる。とくに後方の確認を行うRVMや、衝突を防ぐSBSなどの技術は、視界が悪いときの頼もしい見方になる、そう感じた体感試乗イベントであった。