東日本大震災以降、BCP(事業継続計画)への注目度が大いに高まった。そのため多くの企業では、大規模な災害を想定していかにITシステムを維持するかが課題となっている。また、節電の必要性の高まりやグリーンIT対策、さらにはTCO削減といった観点から、サーバルームやデータセンターの消費電力を適切に管理することのニーズも高まりつつある。

こうしたBCP対策や消費電力管理を適確に実践するための鍵を握ると目されているのが、離れたIT機器へのリモート・アクセスをいかに効率的に行うかである。しかし、一言でリモート・アクセスと言っても、サーバやネットワーク機器、仮想マシンなど、その対象となるITリソースは多様化している。そのためリモート・アクセスの方法も極めて複雑化しているのである。

このような課題が立ちはだかる中にあって、シンプルかつ信頼性の高いリモート・アクセスソリューションを提供しているのがラリタンだ。世界中のビッグカンパニーでの導入実績を持つ同社製のKVMスイッチやインテリジェントPDUを活用することで、短期間かつ低コストで、"いつでも""どこからでも"ITリソースに電源も含めてアクセス制御できる環境を構築できるのだ。そこで本誌は、昨今のリモート・アクセス/電源管理をめぐる事情に詳しい同社のスタッフ3人に、ソリューションの概要と適切な活用方法について話を聞いた。

遠隔サイトの電力利用状況を"見える化"するインテリジェントPDU

ラリタン セールス本部 本部長の竹永光宏氏

「東日本大震災以降、企業のデータセンターに対する意識が大きく変わったと感じています。当社でも、インテリジェントPDUやKVMスイッチの引き合いがとても増えました。お客様からよく聞かれるのが『電力使用量が計測できるPDUじゃないと導入しない』といった声です。グローバルなトレンドからみても、データセンターでの消費電力を削減する必要性が高まっていますが、日本企業は特に震災から後、そうしたニーズが非常に強くなったのではないでしょうか」

ラリタン 本部長の竹永光宏氏は、データセンターにおける現在のニーズについてこのように説明する。

データセンターの消費電力を削減するためにはまず、電力の使用状況の可視化を行わねばならない。そこで、機種によってはコンセントごとの消費電力量(kWh)までも遠隔地から計測することができるラリタン製インテリジェントPDUの需要が高まっていると見られる。

ラリタン セールス本部 パワービジネスディベロップメント マネージャー 松田慎也氏

「大企業を筆頭に、サーバラックまわりの電源管理や環境監視をよりスマートに行うための手段として、当社のPDUが選ばれはじめていると実感しています」と語るのは、ラリタン パワービジネスディベロップメント マネージャー 松田慎也氏だ。

同氏によると、インテリジェントPDUを用いることで無駄なサーバに気付き、サーバ・コンソリデーション実践に至った企業もあるという。「他にも、電力の可視化によって大幅な節電に成功したお客様が増えてきています」(松田氏)

KVMスイッチでラックまるごとサーバをリモート管理

データセンターのサーバをリモート・コントロールするためのKVMスイッチ("KVM-over-IP"スイッチ)については、本社からのアクセスはもちろんのこと、管理者が自宅など社外にいた場合であってもセキュアにアクセスできることがとりわけ重視される。また、先の震災時には広範囲で計画停電が実施されたが、停電の前にデータセンターのIT機器をリモートで安全にシャットダウンしなければならない。そこで、KVMスイッチのようなBIOSレベルでのコントロールが可能なソリューションが求められるのである。

ラリタンの最新のKVMスイッチでは、リモート・アクセスの柔軟性をさらに高めるため、iPadやiPhoneからのアクセスも可能となっている。専用のアプリケーションを必要とせず、ブラウザだけでサーバをリモート・コントロールすることができるため、いざという時の人やデバイスの選択肢を大幅に拡げることができるのだ。

ラリタン セールス本部 セールスエンジニア 原田雄一郎氏

ラリタン セールスエンジニア 原田雄一郎氏は、「ラック内の複数のサーバマシンを1つのコンソールでリモート・コントロールできるので、BCPはもちろんのこと、ハイスペックなマシンを用途に応じてリモートで活用するといったことも可能となります。また、スキルのあるスタッフを現地に常駐させる必要がなくなるので、人材の全体最適化にも寄与できるのではと自負しております」と説明する。

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ここまで本稿で簡単に紹介したような、ITリソースのリモート・アクセス・コントロールによるBCP対策や消費電力管理についての詳細な手法や先端テクノロジーなどについては、来る11月21日に開催されるセミナー『ラリタン サーバルーム運用効率改善ソリューション ~市場動向と最新事例に学ぶ』で語られる予定だ。今回取材した竹永氏、松田氏、原田氏の3氏がそれぞれ講演を行うのに加えて、インターネットイニシアティブ(IIJ)の川島英明氏が、クラウドデータセンターでのインテリジェントPDU活用についての事例紹介も行う予定である。

BCPやDRのみならず、データセンターや本社サーバルームの電力コストの削減と環境への寄与を考えているすべての企業にとって、必見・必聴のセミナーとなるのではないだろうか。