学生団体「applim」は10月27日、マーケティングプランについて審査する決勝レセプションを行い、結果を発表した。

4回目の開催となる今回のコンテストには160チーム650人が参加し、書類審査を経た6チームがプレゼンテーションによる発表を繰り広げた。テーマは、「デジタル」×「リアルな体験」。デジタル技術を用いてユーザーにリアルな体験をさせるプロモーションについて、アイデア性や行動誘発性など6つの基準に沿い審査が行われた。

最優秀賞に選ばれたチーム「ネオアルス」は、ファストフードチェーンの拡販に向けたプランを起案。親子での来店件数やリピート率を向上させることを目標とし、ソーシャルメディアにて「楽しい記憶」を可視化、「クチコミ」で連鎖させる方法と効果を提案した。

最優秀賞の「ネオアルス」には賞金30万円が贈られた(写真左はブレークスルーパートナーズ 赤羽雄二氏)

企画の立案にあたったメンバーは、ソーシャルメディアへの投稿や拡散の多い画像として「子どもの笑顔」に着目。「親子が集う店舗で最適な笑顔を撮る」というシーンを訴求し、企業のブランドイメージ定着にも貢献しようと考えた。タブレットやスマートフォンのディスプレイに映し出したメニューに、子ども向けのアニメーションゲームを重ねて表示することで、子どもが笑顔を浮かべながらディスプレイに視点を定めていく。そのタイミングを捉えてインカメラが子どもの笑顔を撮影するという仕組みだ。

「我が子の笑顔を投稿したい」という親の感情は揺さぶられ、ついついSNSなどに投稿してしまう。これに端を発し、連鎖はつづく。特設サイトには子どもの笑顔が掲載され、各店舗のポスターモデルなどに起用することで拡散やリピート率を増加させていく。

キャンペーンの周知には公式アプリを用いるなど、広告コストの低減にも触れるほか、投稿の動機付けとしてクーポン付与などのアイデアも盛り込まれた。

審査員から「正面に近いアングルでいい写真が撮れるか」という疑問が呈されると、メンバーは「AR表示されたゲームで遊んでいる間に顔認識を行い、3回程度撮影をする」と説明。こうしたリアリティと感情に働きかけるストーリーが評価され、最優秀賞を手にした。

また優秀賞には2チームが選定された。

チーム「さのうのう」は回転ずしチェーンへの提案を想定し、スマートフォンなどのデバイスを上下に振ることでセンサーが作動し、実際に注文できる仕組みを考案。デジタルとリアルな体験を有機的に組み合わせ、リピートにつながる導線を描いた。

優秀賞の「さのうのう」のメンバーと審査員の日本マイクロソフト 江端浩人氏(写真左から2人目)

また、チーム「66(ロクロク)」は、玩具メーカーに提案するという仮定で子ども向けのアプリを構想した。

これは、スマートフォンの上に置かれたぬいぐるみに話しかけることで、実際の通話先である親の声にエフェクトをかけ、ぬいぐるみと疑似的に会話ができるというもの。玩具メーカーのメリットに検討の余地があると指摘を受けながらも、プロダクトを意識した視点と感情に訴えるアイデアが評価された。

優秀賞の「66(ろくろく)」と審査員のプラチナム 吉柳さおり氏(写真左)

このほか、最終選考に漏れたチームの中からもユニークさに秀でた企画に対し、協賛企業による企業賞が授与された。

コスト意識やリスクへの対策など、企業側の視点では検討課題も指摘されたが、学生ならではの生活者としての視点が豊かな発想を生み出していた。FacebookやGoogleがキャンパスから誕生したように、彼らのアイデアがやがて生活様式を変えていくかもしれない。