カナダのResearch In Motion(RIM)が提供するBlackBerryスマートフォンは、独特のQWERTYキーボードによる文字の打ちやすさやセキュリティ面での信頼性の高さから、ビジネスユーザーに根強い人気を誇っている。本稿では、BlackBerryスマートフォンを業務に導入している企業についてレポートしたい。

今回紹介する企業は、人材派遣とプロモーションを手がけるシーズプロモーション(旧:ネプロサービス)。同社では、スタッフの連絡や報告にBlackBerryスマートフォンを導入し、業務効率化を図っているという。そこで、同社 取締役 プロモーションビジネスマネージャーの吉嶋博之氏に、具体的にどのような方法でBlackBerryを利用しているのか伺った。

シーズプロモーション 取締役 プロモーションビジネスマネージャー 吉嶋博之氏

BlackBerry Messengerを業務連絡に導入

シーズプロモーションは、人材派遣とプロモーションという2本の柱となる事業を展開している。人材派遣事業ではキャリアショップやケータイショップなどの携帯端末を取り扱う販売店に多くの人材を派遣しており、プロモーション事業では海外メーカーが提供する携帯端末の販売促進を行なっている。

同社でBlackBerryスマートフォンを活用しているのは、プロモーション部門のプロモーターたちだ。プロモーターの仕事は、担当する地域の販売店を回り、各販売店の店員に対して海外メーカーの携帯端末の特長やセールスポイントなどを教えるとともに、展示や訴求方法などをアドバイスすること。すべてのプロモーターがBlackBerryスマートフォンの最新機種「BlackBerry Bold 9900」を持ち、BlackBerry Messenger(BBM)を業務連絡に用いているという。

「そもそも、BlackBerryを業務で使うようになったのは、プロモーションのためにBlackBerry Bold 9900にさわったのがきっかけです。プロモーターは端末の特長を教えるのが仕事ですので、もちろん端末のことをより深く知っている必要があります。そこで、実際にBlackBerry Bold 9900を使っていく過程で、プロモーターたちがBlackBerryの『BBM(※1)』が便利だということで、現場から業務に使いたいという声が上がりました」と吉嶋氏は語る。

※1 BBM:BlackBerry Messengerの略で、BlackBerryユーザー同士でリアルタイムなやりとりができるインスタントメッセンジャー。

画像や位置情報を共有してすばやい対応

BBMは、テキストのほか、画像や位置情報なども送信することが可能だ。シーズプロモーションでは、BBMによる画像や位置情報の送受信も業務連絡に役立っているという。

「BBMを導入したことにより、各店舗の情報をプロモーター同士でリアルタイムに共有することが可能になりました。画像も送信できるので、どこかの店舗でユニークな展示方法をしていたときなどに、展示の様子をBlackBerryで撮影して写真を共有するといった使い方もしています。また、プロモーターが直行直帰する際などに位置情報を送信して報告してもらう、といった使い方にも活用しています」と吉嶋氏。

位置情報の送信方法は次の通り。BBMの画面で送信相手を選択し、メニューから送信→場所を選んで位置情報を送信できる

また、複数メンバーによるグループを作成し、情報を共有できるのもBBMの特長だ。吉嶋氏は、「BBMではグループ分けもできるので、管理者だけのグループを作成したり、緊急時にはメーカーの担当者もグループに参加していただいて、すばやく情報を共有して対応に当たることができます」と語る。

「Office 365」をBlackBerryで利用して報告書作成

RIMでは、「Microsoft Office 365」をBlackBerryスマートフォンで利用できるクラウドサービス「BlackBerry Business Cloud Services for Microsoft Office 365」を提供している。同サービスは、Office 365を追加費用なしでBlackBerryから利用でき、メールやカレンダー、文書などをPCと同期したり、他のユーザーと共有することが可能だ。シーズプロモーションも同サービスを導入しており、各プロモーターが報告書作成にOffice 365を活用している。

「プロモーションの進捗をメーカーに報告する際には、BlackBerryでOffice 365を使い、報告書を作成しています。BlackBerryとOffice 365を活用することで、移動中などにもすばやく報告書を作成し、かつ迅速に情報共有することができます。報告書には、写真を添付し、訪問の目的、課題などを書き込んでいきます。テキストもそれなりの分量になるので、BlackBerryのQWERTYキーボードが最適です。BlackBerryを導入する以前は、帰社してから報告書を作成していましたが、移動中に業務を行えるようになり、時間を有効活用できています。また、訪問する店舗などの予定をカレンダーに登録することで、プロモーターの予定の把握も可能になりました」と吉嶋氏は説明する。

BlackBerryの良さとは?

BlackBerryスマートフォンの良いところとして、吉嶋氏は第一にビジネスでの使い勝手の良さを挙げる。「多くの文字を打つのにQWERTYキーボードが使いやすいのは言うまでもありませんが、BBMやOffice 365など、情報共有に優れていて、スタッフと連携するには最適です。また、BlackBerryはセキュリティに強いという特長を持っています。『BlackBerry Business Cloud Services for Microsoft Office 365』では本来オンプレミスで運用管理が必要なBESの機能が無償のクラウドサービスとして提供されており、万が一、落としてしまったときでも、管理者により遠隔操作でロックをかけたり、データを消去することも可能です」。

もちろん、ビジネス以外の面でもBlackBerryスマートフォンを気に入っているという。「携帯電話に近いビジネスをしている我々はいろんな機種を使うことがありますが、一般的には携帯電話は2年間同じものを使うのが大前提です。その点で、BlackBerryの筺体デザインは長く使っても飽きが来ないものになっていると感じます。また、バッテリーも他のスマートフォンと比べて長く持ちますし、端末とOSの両方を一社で作っているため、うまくチューニングがなされていて、快適に操作できるのも魅力です。とりわけ、BlackBerry Bold 9900からはWebブラウジングが快適になっていると思います」と吉嶋氏。

とにかくBlackBerryを触ってみるきっかけを

自社でBlackBerryスマートフォンを導入した経験をもとに、吉嶋氏は、とにかくBlackBerryを実際に使ってみることが、導入にカギになるのではないかと話す。

「BlackBerryはビジネス向けという印象が強いですが、それが良い面でもありますし、反対に導入への障壁になっている面もあると思います。BlackBerryという名前だけを聞くと『使いこなせないかも』といった印象を持つ人が多いかもしれません。しかし、弊社のプロモーターのように実際に使ってみると良さがわかり、スムーズに入っていくことができると思います。BlackBerryを2週間試すことができる法人向けの『Try BlackBerry』キャンペーンも実施されているので、ぜひ利用してみてはいかがでしょうか」。

また、BlackBerryをプロモーションする立場としては、アプリの充実について言及。「BlackBerry版の『LINE』も登場するなど、アプリも充実してきていますし、BlackBerry App Worldで『ドコモチャンネル』ができるなど、日本向けのローカライズも進んでいます。使いたいコンテンツやサービスが揃っていることも、触ってもらうきっかけになると考えています。また、9月に発売されるBlackBerry Bold 9900のホワイトモデルも、女性ユーザーなどに向けたひとつのインパクトになるのではないでしょうか」。

「BlackBerryは、コミュニケーションツールとしてもおすすめです。私もそうでしたが、若いスタッフとのコミュニケーションのとり方に戸惑っている人も多いと思います。BBMなら、SNS感覚でやりとりができるので、コミュニケーションが以前よりも円滑になったと実感しています。世代のギャップもBlackBerryが埋めてくれるはずです」。吉嶋氏は最後にそうアピールし、話を締めくくった。