2012年5月にオープンしたばかりの「すみだ水族館」にて、現在「らくがき水族館」というワークショップが開催されている。これは同水族館とパイロットコーポレーションとのコラボレーション企画で、摩擦熱で筆跡を消せるカラーペン「フリクションカラーズ」で描いた魚が、モニターの上で泳ぎ出すという内容だ。

今回は、このコンテンツの技術を開発したココノヱ、ならびに企画を担当する汐留イノベーションスタジオの担当者から技術面についての解説などを伺いながら、実際にこのコンテンツを体験してきた。

会場は、館内の出口付近にある「アクアアカデミー」というスペース。大きなペンギンの水槽の正面に位置している。到着したところ、まずはコンテンツを体験してほしいということで、専用のカードを手渡された。

会場には色とりどりの「フリクションカラー」が置いてある

子どもが描いていったとおぼしき見本が。こんなに無邪気で夢いっぱいのイラストが描ける気がせず、謎のプレッシャーがかかる

イラストを描く上でのルールは、「黒あるいは茶などの濃い色で、切れ目無く輪郭線を描く」、「カードの枠に触れないように描く」、「魚を描く」という3点。それ以外は自由なのでかえって何を描いたらいいのか困っていたところ、会場に置いてある図鑑や絵本を見せていただけたので、何とか描き終えることができた。

マンボウ(左)とシマアジ(右)を描いてみた

描き終わったカードは、会場内に設置された大きなモニターの上に置く。すると読み込みが始まり、魚がモニターの中で泳ぎ出す。カードから魚が飛び出すモーションなど動きも凝っていて、自分の描いたイラストが動くのは見ていて楽しい。本来は親子で1匹ずつ魚を描き、お互いの描いた魚が動くのを見ることになるのでよりいっそう楽しめると思われる。

カードの中から魚が飛び出すという演出の後、魚たちがモニターの中を元気よく泳ぎ出す。最後は魚同士の相性診断が始まるのだが、マンボウとシマアジの相性はあまりよくなかったらしく数値が低かった

動画で見ると、アクションの多様さや、魚が泳ぎだした瞬間の驚きがより分かりやすい。


いきいきと泳ぐ魚のモーションや、かわいらしいインタフェースとは裏腹に、技術的な面は意外にシンプル。モニターの真上にWebカメラとデジタル一眼レフが設置されており、前者がカードの矩形を、後者がイラスト部分を読み取り、PCでそれらを処理するのだという。読み取りの部分のシステムはC言語で、魚の動きについてはアドビ システムズのFlash技術で実現している。

モニターの下にはデスクトップPCが入っている。マシンのCPUの処理速度に左右されるが、10枚程度のカードであれば同時に読み取りが行えるとのこと

Webカメラとデジタル一眼レフが画像読み取りに使われている。特殊な機材ではなく市販のものだ

今後の展開としては、「らくがき水族館」というコンテンツ単位で水族館でのイベント開催を進めるという方向と、読み取り技術を応用した新コンテンツの開発という方向のふたつが考えられているという。

このイベントは9月2日まで開催されており、入館料以外の追加料金は一切かからない。同水族館を訪れる機会があれば、ぜひ体験してみてほしい。