ビデオジャーナリスト神田敏晶さん

1990年代初頭より国際的なIT企業や展示会の取材に東奔西走。ビデオ動画とソーシャルメディアを組み合わせた表現方法で情報発信を続けてきた神田敏晶さん。実はロゼッタストーンを使って学習をしていたという。生きた英語力を習得するコツをうかがってみた。

「冠詞と複数形」会話英語の重要ポイントをクリアする

「まるで英語圏に生まれ、赤ちゃんのころから無理なく英語になじみながら育っていく。そんな錯覚に陥らせてくれる教材です」

ロゼッタストーンの魅力の最も大きなものを、神田さんはこう解説してくれた。

日常で使う頻度の高い単語を何度も繰り返し学習させるロゼッタストーンのカリキュラムは、神田さんのようにすでに日常会話レベルをマスターした人にとってはもどかしくもあり、最初は物足りなさも感じたという。

「しかし、発音の波形を解析してくれる『スピーチ解析』機能をチェックしていくと、英語は舌の動きによる発音よりも、抑揚、アクセントが重要なのだと理解させられました」と、その効果を実感したそう。

また、“a”“an”“the”などの冠詞を単数形や複数形に応じてどう使い分けるかという、日本人にとって苦手な部分を、ロゼッタストーンのカリキュラムは解決してくれるという。

「複数名詞に“the”を付ける場合はどういうときなのかなど、冠詞の使い分けについて日本人はとても苦手です。いくら単語を暗記し、文法を学んでも、実地の会話力では冠詞を含めた単語の使い方と複数形をキチンと使い分けることができないと、意味がまるで通じないということになりますから」

神田さんがそう指摘する冠詞と複数形の課題についても、ロゼッタストーンならカリキュラム順に進むことで自然に身についてくるという。

「全編を通して行われる、日常の生活シーンを表した写真と関連づけたリスニングとスピーキングの繰り返し。この、単純で繰り返し行われる学習法が、文法から意識させることなく視覚と関連づけた情報を素早く英語化してしまう能力を高めるんでしょうね」

それこそが、前述の“赤ちゃんのころから英語で育っていく錯覚”だと神田さんは力説した。

日常会話力だけではカバーできない局面がある

1991年からアップル社のキーノートスピーチに参加。ジョン・スカリーやスティーブ・ジョブズを取材したビデオ動画を配信するなど、ビジネスの最前線で英語を駆使していた神田さんがあらためてロゼッタストーンで英語を学ぼうと思ったのはなぜか。

「取材については、あらかじめこちらが用意した質問に答えてもらうものでしたし、撮影後の動画についても正確性を要するときは知り合いのネイティブの助けを借りて訳せばいい。だから、日常会話レベルの英語については困っていないという認識だったんです」

自身の英語力についてこう語る神田さんだが、実はこの日常会話をマスターしているという人が陥る穴にはまっていることを、神田さんも長く気づかなかったという。それを痛感させられたのが1999年に経験した、さるビジネスミーティングでの出来事だった。

「長年の活動の中で自得してきた我流英語ですから、冠詞や複数形の使い方はもちろん、アクセントもいい加減なわけです。レストランで食事を頼むなど日常シーンなら問題はないのですが、スピードとあいまいさが許されない正確性を求められるビジネスの会議ではダメ。『あなたは英語ができるんじゃなかったの? そのレベルならもう引っ込んでいて』。そんな状況でした」

当時の苦い経験を語ってくれた神田さんだが、日本語における外国人におきかえると分かりやすい。身ぶり手ぶり混じりで外国語なまりのある外国人がたどたどしい日本語でビジネスの場に現れたらどうであろう。時間がある場合は丁寧に応じられるが、時間の限られた中ではご遠慮願いたいと思うだろう。

生きた英会話力が備わっていないことを実感した神田さんが出会ったのが、ロゼッタストーンだったのだ。

すべての人が外国語を避けては通れない時代がやってくる

昨年、書店の店頭イベントで初めてロゼッタストーンに触れたという神田さん。

「学びはじめのころは、あまりにも初歩的なため先のステップに飛ばしてみたりしましたが、そうするとカリキュラムについていけなくなるなど、よく考え、練られたプログラムなんだなと感じました」

スピーチ解析については、神田さんほど日常会話の素養があっても解析レベルが高いままだと不合格判定でハネられることが多いという。

「正直、アタマに来ますよ。現地ではちゃんと通じているのに、ロゼッタストーンではダメ出しされる。でも、そこがネイティブの正確な発音であり、アクセントの重要さを認識できるところなんです」

解析の判定が高レベルすぎて先に進めない場合は、レベルコントロールも可能だから少し難易度を下げればいいと神田さんはアドバイスする。ロゼッタストーンは繰り返し何度でも戻って利用できるプログラムなので、ハイレベルの振り返りは機会のあるときに行えばいいという。

また、学習モチベーションの維持について聞くと、神田さんもスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末の利用を利用した移動中などの空き時間での学習をすすめてくれた。

さらに、インターネットを利用したネイティブコーチとの対面レッスンでは、上達の成果をリアルに実感できることから、成果が見えにくい語学学習のモチベーションを可視化しやすいとも、神田さんは教えてくれる。

「英語でコミュニケーションができることに甘えて、正確なアクセントや冠詞の使い分けが身に付いていなかった自分にとって、ロゼッタストーンはまったく新しい英語学習のツールでした。文法等の難しい学習を意識することなく、聞く、話すという、音声の練習を繰り返すことで会話力を伸ばしていく。そんなツールですから、学校英語に苦手意識をもつ英語アレルギーの人にこそ向いたプログラムです」

現在、ロゼッタストーンの英語版を終えた神田さんは、中国語、スペイン語、フランス語といった多言語でのロゼッタストーン・カリキュラムを並行して取り組んでいるという。

「英語圏に限らず、ほかの言語圏に足を運ぶことも多いので。また、アメリカでも安価な飲食店の従業員は中国人かスパニッシュがほとんどです。アメリカこそ、多言語のるつぼ。いろいろな言葉でコミュニケーションがとれたらステキだなと思っています」

さらにこう続ける。

「日本も現在の人口減少で、今後は外国人に頼らなければ社会サービスが成り立たなくなるのではないでしょうか。私は国家レベルで30年後には日本の公用語に英語が加わると思っています。その準備は15年後から本格的にスタート。つまり、海外にビジネスチャンスを求める人だけでなく、国内で暮らす人も英語をはじめとした外国語と向き合わなければいけない時代が、もうすぐそこまで来ています。」

外国語に対する苦手意識の克服と生きた語学力をどう身に付けるのか。日本で暮らす私たちも真剣に考えなければいけない時代を迎え、ロゼッタストーンがその解答のひとつを示してくれるかもしれない。

■お話を伺った人

神田敏晶さん
KandaNewsNettwork,Inc. 代表取締役
ビデオジャーナリスト / ソーシャルメディアコンサルタント

神戸市生まれ。ワインの企画・調査・販売などのマーケティング業を経て、コンピューター雑誌の編集とDTP普及に携わる。その後、 マルチメディアコンテンツの企画制作・販売を経て、1995年よりビデオストリーミングによる個人放送局「KandaNewsNetwork」を運営開始。ビデオカメラ一台で、世界のIT企業や展示会取材に東奔西走中。

SNSをテーマにしたBAR YouTubeをテーマにした飲食事業を手がけ、2007年参議院議員選挙東京選挙区無所属で出馬を経験。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部で非常勤講師を兼任後、ソーシャルメディア全般の事業計画立案、コンサルティング、教育、講演、執筆、政治、ライブストリーム、活動などをおこなう。