NTTドコモの2012夏モデルXiスマートフォン「docomo NEXT series ARROWS X F-10D」(富士通製)は、1.5GHzのクアッドコアCPUを搭載したハイスペックスマートフォン。今回、NTTドコモの商品企画担当の舞野貴之氏に同端末の開発の経緯や魅力などをうかがった。

今回、お話をうかがったNTTドコモの舞野氏

ARROWS X F-10Dは、約4.6インチのHD(1280×720ピクセル)ディスプレイを搭載したスマートフォン。OSにAndroid 4.0を採用し、CPUに1.5GHzのクアッドコアプロセッサ「Tegra 3」を搭載した最新スペックのモデルとなる。背面に搭載された1,310万画素カメラでは、フルHD(1920×1080ピクセル)の動画を撮影することが可能。通信面では高速通信Xi(クロッシィ)やWi-Fiテザリングに対応。そのほか、防水・防塵、おサイフケータイ、ワンセグ、赤外線通信、おくだけ充電、指紋認証などに対応する。7~8月の発売予定。

5月16日に開催された2012年夏モデル発表会で、「夏モデルでも指折りのハイスペックスマートフォン」(山田前社長)と紹介されたARROWS X F-10D」

―― はじめに、ARROWS Xの概要紹介をお願いします。

舞野氏「ドコモでは昨年の冬からNEXTシリーズとwithシリーズという、ふたつのブランドで商品を展開しております。ARROWS Xは、お使いいただくユーザーさんに先進的な技術を楽しんでいただけるNEXTシリーズとして提供するモデルです。NEXTシリーズではハイスペック端末を取り揃えておりますが、なかでもARROWS Xは夏モデルで唯一となるクアッドコアCPUを搭載したモデルになりました。スマートフォンが登場して2年が経ちます。早い時期から端末を手にしていただいたイノベーター、あるいはアーリーアダプターと呼ばれるユーザーの方々が、次のモデルを求める時期にさしかかっています。今回、そういった流行に敏感な方にも満足いただけるモデルを提供したいという狙いがありました。また逆に、フィーチャーフォンをお使いいただいていた方々にも安心して乗り換えていただけるように、防水・防塵、おサイフケータイ、ワンセグ、赤外線通信などおなじみの機能を全部搭載しています。したがって、幅広い層のお客さまに使っていただける端末となっております。

―― ARROWS Xの最注目ポイントはどこでしょう?

舞野氏「やはりクアッドコアCPUと高速通信Xiの組み合わせにより処理も通信も速い、ということになるかと思います。しかし速いというだけではありません。独自のエコモードにより、CPUのクロックを調整し省電力で運用することも可能です。また、待ち受け時にはコンパニオンコアと呼ばれる5つめの低周波数のコアに切り替わるので、バッテリー消費も必要最小限に抑えられます。アクセルを踏み込めばどこまでもスピードが出せるF 1カーでありながら、省電力のエコカーのように使うこともできる。端末の高スペック化により、HighからLowまで振り幅が非常に広くなっているのが特長です。

クロック周波数は最大で1.5GHz(4コア利用時)。起動アプリにより、割り当てるコア数が自動的に決まる

また、ボタンひとつでディスプレイの視野角を調整できる「プライバシービュー」機能もポイントです。約4.6インチと大画面ですが、電車などでも人目を気にせずにメールやブラウジングなどを楽しめます。また、「先読みブラウジング」機能を使えば、自宅のWiFiや、ドコモの通信サービスを使いあらかじめダウンロードしておいた情報量の多いWebページを、オフライン環境下でゆっくり読むことが可能です。ユーザーの視点に立った、きめ細かい機能が満載されている点は日本のメーカーによる製品ならではの魅力と言えるでしょう」

―― デザイン面でのこだわりはありますか。

舞野氏「大画面になったので、持ちやすさを考慮して手になじむ丸みを帯びたデザインを採用しました。カラーバリエーションはWhite、Black、Blueの3色で展開します。Whiteは男性が持っても映えるような、少し大人っぽい青みのある白を採用しています。Blackでは、前機種で好評だった紫を交えたグラデーションを採用。Blueは夏モデルらしい発色の良い青色です。屋内では落ち着いたトーンになります」

―― 搭載アプリで特徴的なものはありますか。

舞野氏「はい。ひとつはハイスペックの実力を堪能できるゲームとして、「ソニック・ザ・ヘッジホッグ4」(セガ)をプリインストールしています。12コアのグラフィックエンジンによる、他の端末では味わえない圧倒的に美しいグラフィック表現が魅力です。2つめは、人に優しい機能を追求している富士通さんらしいアプリ「健康生活日記」を入れています。これは健康に役立つログを収集・分析し、フィードバックしてくれるものです。カメラに指をあてて脈拍を計ることもできます。そのほか歩数計や、温度計/湿度計なども搭載しています。3つめは、指紋センサーを活かしたセキュリティ系のアプリです。例えばFacebook、Twitter、あるいはメールといったプライバシー情報を含んだアプリを起動する際に、指紋認証をさせることができます。これによって、よりセキュアにスマートフォンの機能を使っていただけます」

温度計/湿度計のウィジェットは、あらかじめホーム画面に貼られている(写真左)。センサーはディスプレイ下端の物理キーの間に搭載されているという

―― おくだけ充電にも対応しましたね。

舞野氏「はい。防水スマートフォンでは、端子キャップを頻繁に開け閉めしたくないというユーザーさんも多いと思います。おくだけ充電なら、その部分の問題がクリアできます。Qi(チー)という規格は、今後、普及が期待されています。空港・飲食店・ホテルなど社会インフラで利用できるようになる、というニュースを目にしたお客さんも多いのではないでしょうか」

―― カメラ機能も約 1310万画素CMOSと高スペックですが、こだわりの機能などありましたら教えてください。

舞野氏「複数の連続写真からベストの1枚を選ぶ『ベストショットセレクト』や、ストレージの容量がいっぱいになるまで連写できる『無限連写モード』などを利用できます。また、ポラロイド風/ジオラマ風/魚眼レンズ風など、簡単に写真の加工ができる『アートカメラ』なども標準装備しています。通常、こういったアプリでは撮影完了後に写真の加工をしますが、アートカメラでは撮影前から特殊なフィルター加工による変化が楽しめます。これもパフォーマンスの高い本端末ならではの機能と言えます」

―― 最後に、ユーザーに向けてメッセージをお願いします。

舞野氏「そうですね、訴求ポイントはたくさんあるんですが、ユーザーのみなさまにはまず家庭用ゲーム機のようなハイパフォーマンスぶりを手のひらの上で味わって欲しいと思います。もっとも、HDMIケーブルを液晶テレビにつないで、大きな画面で楽しむことも可能です。それから、かゆいところに手が届く気配り機能が充実した本モデルですので、ブラウザの先読み機能など、日常的に使う機能を楽しんでいただければと思います」