最優秀作品は、もはやここで書くまでもないほど評価が高い『リーガル・ハイ』。前回コラムで書いた期待感は、全く下がることなかった。まだ見ていない人は、オンデマンド配信やDVDをぜひどうぞ。

その他、視聴率2ケタを超えた『ハンチョウ』『鍵のかかった部屋』『37歳で医者になった僕』『新・おみやさん』『三毛猫ホームズの推理』『ATARU』に加え、『都市伝説の女』は、続編や特別編の可能性が高い。

一方、最劣等作品は、『家族のうた』『パパドル!』ではなく、あえて『カエルの王女さま』。各話ご都合的な初期設定に乗り切った展開で、ラストも大団円。ゆえに、ツッコミどころだらけな上に、肝となるショークワイア絡みの時間も少なく、感動とギャグの混ぜ方も中途半端だった。これだけベタで予定調和な結末なら、もっと歌や踊りを楽しめるミュージカルを見に行きたい。ドラマでもミュージカルでもない。そして、ショークワイアそのものを盛り上げようとしたフジテレビの狙いも不発に終わった。

以下は、各作品のひと言コメントと採点(3点満点)

作品名・放映日時・放送局 出演者 寸評&採点
『ハンチョウ』
月曜20時~
TBS系
佐々木蔵之介・比嘉愛未・小澤征悦 新たなチームに変わっても、その魅力は変わらず。佐々木のハマリ役であり、『水戸黄門』なき今、同枠の稼ぎ頭。続編まちがいなし。
【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 視聴率☆☆ 総合☆☆】
『鍵のかかった部屋』
月曜21時~
フジテレビ系
大野智・戸田恵梨香・佐藤浩市 「月9に密室」「レギュラー俳優3人のみ」という大バクチに見事勝利。『怪物くん』を超える大野智の代表キャラになった。
【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 視聴率☆☆☆ 総合☆☆】
『リーガル・ハイ』
火曜21時~
フジテレビ系
堺雅人・新垣結衣・生瀬勝久 名手・古沢良太の脚本に乗せられた堺雅人が異次元の演技スキルを披露。各方面から早くも、「年間No.1作!」の声が上がっている。
【脚本☆☆☆ 演出☆☆☆ キャスト☆☆☆ 視聴率☆☆ 総合☆☆☆】
『37歳で医者になった僕』
火曜22時~
フジテレビ系
草なぎ剛・水川あさみ・ミムラ キャスト、スタッフとも万全の体制で期待は高かったが、テーマがぼやけ気味で消化しきれず。数字の取れる医療モノとしてはやや低調な出来。
【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 視聴率☆☆ 総合☆☆】
『Answer』
水曜21時~
テレビ朝日系
観月ありさ・田辺誠一・片岡鶴太郎 テレ朝自慢の“男の刑事ドラマ枠"に観月ありさがフィットしきれなかった。切り口はよかっただけに、男性主演版で見たいところ。
【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆ 視聴率☆ 総合☆】
『クレオパトラな女たち』
水曜22時~
佐藤隆太・稲森いずみ・北乃きい キャラもストーリーも違和感のオンパレードで、共感できる要素がほとんどなかった。テーマが整形では、低視聴率~打ち切りもやむなしか。
【脚本☆ 演出☆ キャスト☆ 視聴率☆ 総合☆】
『新・おみやさん』
木曜20時~
テレ日朝日系
渡瀬恒彦・京野ことみ・戸田恵子 10周年、シリーズ9作目を迎えても、視聴率は全く落ちず。渡瀬の演技同様に、大人世代の視聴に耐えうる安定感を見せた。
【脚本☆☆ 演出☆ キャスト☆☆ 視聴率☆☆ 総合☆☆】
『パパドル!』
木曜21時
TBS系
錦戸亮・優香・川島海荷 リメイク失敗。一部ファン以外の共感を全く得られず、子役も生かしきれなかった。TBSの番組コラボも、視聴者に背を向けさせる結果に。
【脚本☆ 演出☆ キャスト☆ 視聴率☆ 総合☆】
『Wの悲劇!』
木曜21時
テレビ朝日系
武井咲・桐谷健太・福田沙紀 武井の“1人4役"演技で上々のスタートを切ったが、中盤以降で失速。犯人当ての楽しみも人間ドラマも乏しく、全体の完成度は期待外れ。
【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 視聴率☆ 総合☆☆】
『カエルの王女さま』
木曜22時~
フジテレビ系
天海祐希・石田ゆり子・大島優子 歌って踊るショークワイアがテーマのドラマは、やはり観劇好き以外にはハマりにくいか。天海を起用してもヒトケタ視聴率が限界。
【脚本☆ 演出☆ キャスト☆ 視聴率☆ 総合☆】
『もう一度君に、プロポーズ』
金曜22時~
TBS系
竹野内豊・和久井映見・山本裕典 記憶喪失というカビが生えそうなテーマで、展開も結末も全て予想通り。しかし、古き良き昭和のラブストーリー的な演出で、最後までもたせた。
【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 視聴率☆ 総合☆☆】
『都市伝説の女』
金曜23時15時~
テレビ朝日系
長澤まさみ・溝端淳平・竹中直人 同枠らしいネタ選びと、お色気演出は健在だが、今一歩ハジケ切れなかった印象。続編があれば、もう少し長澤のキャラもブッとびそう。
【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 視聴率☆☆ 総合☆☆】
『三毛猫ホームズの推理』
土曜21時~
日本テレビ系
相葉雅紀・藤木直人・大倉忠義 謎解きモノとしてのエンタメ性は低く、ギャグもひねりに欠けた。ターゲットをジャニーズファンと、子どもに絞ったのなら納得できるが。
【脚本☆ 演出☆ キャスト☆ 視聴率☆☆☆ 総合☆】
『未来日記』
土曜23時10分~
フジテレビ系
岡田将生・剛力彩芽・本郷奏多 雑な設定と説明不足で、ツッコミどころか理解不能。岡田と剛力の役作りやキャラも中途半端だった。もっと深い時間帯で放送すべきでは?
【脚本☆ 演出☆ キャスト☆ 視聴率☆ 総合☆】
『ATARU』
日曜21時~
TBS系
中居正広・北村一輝・栗山千明 中居、栗山、北村の演技とシンプルな謎解きで見やすい作りに。中居は多忙だが、続編の期待も高い。ただ、ギャグは最後までスベっていた。
【脚本☆☆ 演出☆☆☆ キャスト☆☆☆ 視聴率☆☆☆ 総合☆☆☆】
『家族のうた』
日曜21時~
フジテレビ系
オダギリジョー・ユースケ・サンタマリア・貫地谷しほり 一度も浮上せず記録的な大惨敗。盗作疑惑、主人公キャラの設定ミスに加え、子役の配役バランスも悪く、最後まで見た人をホメたい。
【脚本☆ 演出☆ キャスト☆ 視聴率☆ 総合☆】

ベスト3

No.1 『リーガル・ハイ』 No.2 『ATARU』 No.3 『ハンチョウ』

ワースト3

No.1 『カエルの王女さま』 No.2 『パパドル!』 No.3 『家族のうた』

木村隆志

コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ評論家、タレントインタビュアー。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品をチェックする重度のウォッチャー。雑誌やウェブにコラムを提供するほか、取材歴1000人超のタレント専門インタビュアーでもある。著書は『トップ・インタビュアーの聴き技84』など
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