日本では仕事や職場でのストレスがしばし話題になるが、米国でも深刻な問題になりつつあるようだ。企業による従業員のメンタル支援に関する支出は上昇を続けており、リーマンショックの2008年から120%増加したという報告もあるという。

そこで、Forbes「ストレス意識改善月間:従業員のストレスが問題に(原題:Employee Stress on Radar, for National Stress Awareness Month)という記事でまとめている米国の職場とストレス動向を紹介しよう。

米国は4月、「National Stress Awareness Month」として、国をあげてストレスへの意識を高めるプログラムを持った。ストレスの中でも大きいのが仕事に関するストレスだ。平日であれば1日の大半を過ごすのが職場だが、昨今の経済動向もありリラックスした労働環境の実現はなかなか難しい。解雇を恐れるあまり以前に比べて休みにくくなっており、昼食もゆっくりとらずに仕事をする人もいるという。

国立機関のAmerican Institute of Stressは、企業による従業員のメンタルヘルスケアへの支出を年間3000億ドルとも見積もっており、予防対策に関心の目が向き始めている企業もあるという。企業が従業員のメンタルヘルスをケアする取り組みは「EAP(Emproyee Assistance Program)」と言われるが、民間の調査会社「Harris Rothenberg International」は、EAPなど支援プログラムの支出が2008年から120%増加したと報告している。

ストレスが企業の生産性によい影響を及ぼすはずはなく、EPAを提供するComPsychが会社員を対象に行った調査からは以下のようなことがわかったそうだ。

  • 約半数の従業員が中間~深刻なレベルの「仕事上のストレス」を感じている

  • 56.3%が職場で「やらなければならない作業にフォーカスするのが難しい」と回答

  • 21%が仕事でミスをしたり。予定通りに終わらなかったりといった経験がある

ワークライフバランスの専門家で心理学者のLori Sokol氏によると、生産性とコストの面から、企業による健康や精神衛生への関心は高まっているという。それでも企業によって対応にはバラツキがあり、何も対策を打っていない企業もあり、意識改善が急がれるという。