ITシステムのデータのやりとりが急増している昨今、企業における必須ファシリティとなっているのがネットワークスイッチである。しかし、ネットワークスイッチの機能は、処理の様子を目で確認できないだけに、ITにそれほど明るくない管理者にとってはなかなか理解しづらい部分だろう。

そこで本企画では、中小企業でも導入しやすい手頃なネットワークスイッチを多数提供するNETGEARの製品を例にとりながら、ネットワークスイッチの基本的な機能とその利用シーンについて解説していく。

ネットワークスイッチは、導入すると社内インフラを大きく改善できる非常に便利なものである。難しい印象があるものの、仕組み自体は意外と単純なので、これを機会に基本を理解し、ニーズに合わせて適切な製品を選べるようになってほしい。

ネットワークスイッチ、4つの基本機能

まずは、本企画の概要を説明しておこう。今回から2回にわたり、以下のような機能を取り上げていく予定である。

  • イーサネットフレームの転送
  • リンクアグリゲーション
  • VLAN/タグVLAN
  • QoS

これらのうち、前編に当たる本稿では「イーサネットフレームの転送」と「リンクアグリゲーション」について解説する。

イーサネットフレームの転送

イーサネットフレームの転送はスイッチの最も基本的な機能だ。

スイッチには複数のイーサネットポートが備わっている。PCやサーバをネットワークに接続するには、PCやサーバとスイッチのイーサネットポート同士をLANケーブルで接続する必要がある。したがって、スイッチは「ネットワークの入り口」とも言える。

また、スイッチは複数のPCやサーバなどのLANケーブルを「集める」ように見えるので、「集線装置」とも呼ばれる。

スイッチに接続されているPCやサーバは基本的に同じネットワークに接続していることになる(複数のスイッチを接続している場合でも同じネットワーク扱いだ)。スイッチは同じネットワーク内のPCやサーバのLANポート間のイーサネットフレームの転送を行う。スイッチがどのLANポートにイーサネットフレームを転送するべきかを判断するために、MACアドレスを利用している。

図1 : スイッチの役割