サーバのデータをバックアップするのは当然のことだが、クライアントPCにも写真や動画など大切なデータがたくさん格納されている今日、PCのバックアップも不可欠だろう。そこで今回、イメージ作成によるWindows 7のシステム全体の一括バックアップのコツを紹介しよう。
システムイメージとは、現在作業中のハードディスクの状態をまるごと、仮想化環境で使用しているものと同じ「*.vhd」型式のファイルに書き出すものだ。したがって、復元時もシステム全体をまとめて復元する形になり、個別のファイル・フォルダだけを抜き出すことはできない。この点が、同じ「システム全体のバックアップ/復元」でもWindows Server 2008とは異なるところだ。
その代わり、OSやアプリケーションをセットアップした状態で、設定情報もデータもひっくるめてバックアップできるので、迅速に回復できるというメリットがある。また、ハードディスクの故障による交換、大容量のハードディスクやSSD(Solid State Drive)への載せ替えといった場面に対応するのも容易だ。
なお、Windows 7より前のバージョンは、同様の機能を実現できるサードパーティー製のソフトの利用を検討するとよいだろう。
システムイメージの作成手順
システムイメージは、Windows 7に標準添付されている「バックアップと復元」が提供する機能だ。これは[スタート]メニューの[すべてのプログラム]-[メンテナンス]-[バックアップと復元]を選択することで利用できる。手順の概要は以下のようになる。
(1)[バックアップと復元]画面の左上にある[システムイメージの作成]をクリックする。
(2)すると、バックアップ先となるデバイスを自動的に検索し始める。したがって、外付けハードディスクにバックアップする場合、この時点ですでに対象となるハードディスクを取り付けておく必要がある。選択肢には、[ハードディスク上]に加えて[1つ以上のDVD]もあり、DVD-Rへのバックアップも可能だ。しかし、容量を考えると現実的な選択肢とは言い難い。
(3)Windows 7のうちProfessional/Ultimate/Enterpriseの各エディションは、ネットワーク経由で共有フォルダにバックアップすることもできる。その場合、保存できるバックアップデータは常に最新のものだけとなるのが注意点だ(ローカルドライブなら、容量に余裕があれば複数の履歴をとっておくことができる)。
(4)[次へ]をクリックすると、バックアップ対象の指定画面になる。前述したように、システムイメージはドライブの内容をまるごとバックアップするものなので、個別のフォルダを指定する画面はない。ただし、複数のドライブを持つコンピュータの場合、Cドライブに加えてその他のドライブをバックアップするかどうかを指定できる。面白いのは、製品出荷時の状態にリカバリするための領域もバックアップできる点だ。
(5)最終画面で[バックアップの開始]をクリックすると、システムイメージの作成を開始する。
(6)完了したら、(もしも脱着可能であれば)バックアップ先になっているハードディスクを取り外せば作業完了である。完了時にシステム修復ディスクを作成するかどうかを聞かれるが、これは回復作業に関わるものなので、後で解説する。
システムイメージからの復元
こうして作成したシステムイメージを復元するには、Windows 7のインストールDVDでシステムを起動する。そして、以下の手順で作業を進める。
(1)初期画面で言語などの選択を行って[次へ]をクリックする。
(2)続いて表示する画面の左下隅にある[コンピューターを修復する]をクリックする
(3)[システム回復オプション]ダイアログを表示する。そこで、[以前に作成したシステムイメージを使用して、コンピューターを復元します]を選択してから[次へ]をクリックする。
(4)次の画面で、復元に使用するバックアップデータを選択する。既定値では最新のものを自動選択した状態になるが、[システムイメージを選択する]を選択して続行することで、利用可能なものの中から任意のシステムイメージを指定することもできる。
(5)次の画面で、復元方法を選択する。ハードディスクをフォーマットして真っ新な状態から復元する方法とフォーマットせずにシステムドライブだけを復元する方法を選択できる。
(6)次の画面で、復元に使用するシステムイメージ、対象となるコンピュータの名前、対照となるドライブを表示して確認を求めてくる。そこで間違いがなければ、[完了]をクリックすると復元を開始する。
先にも触れたように、システムイメージを作成した後にシステム修復ディスクを作成するかどうかを訊かれる。ここでシステム修復ディスクを作成するよう指示すると、システムイメージから回復するための専用起動ディスクをDVD-Rに作成する。それを使って起動すると、上の作業のうち(4)からスタートできる。
だが、わざわざシステム修復ディスクを作成しなくてもインストールDVDから起動して復元できるので、そちらのほうがラクではないだろうか。出番が少ない(であろう)復元作業のためだけに、DVDを1枚使わずに済むからだ。
筆者の自宅で使用している方法
ちなみに、筆者の自宅で仕事用本務機になっているデスクトップPCには、バックアップ用のハードディスクを脱着可能なトレイに入れて搭載してある。このトレイは鍵の操作によって有効化・無効化が可能なので、普段は無効化して、バックアップ用のハードディスクは停止させている。
そして、バックアップを行うときだけ、電源投入前に鍵を使ってハードディスクを有効化する。こうすると、起動後にバックアップ用のハードディスクを認識するので、そこにシステムイメージを作成するわけだ。システムイメージの作成が終わったらシャットダウンして、また鍵の操作によってバックアップ用ハードディスクを無効にする。
こうすることで、必要な時以外はバックアップ用ハードディスクを動かさないようにしている。USB 2.0接続より高速になるうえに、場所をとらない利点がある。ただし、動作中の脱着が可能という見地からすると、Serial ATAの外付け(eSATA)を利用できれば、もっと便利かもしれない。