今日、女性がキャリアを追求することは珍しくないが、女性の年収と男性の年収にはいまだに開きがある。この問題について、「女性はもっと主張すべき。交渉が重要」と米国の弁護士、Victoria Pynchon氏はアドバイスする。キャリアトレーニングも行うPynchon氏は、Open Forumでそのための5つのポイントを挙げている(原題:5 Things Women Should Never Say When Negotiating)。

米国の数字にはなるが、女性の収入は同等の地位にある男性の77%というのが現状だ。同じ女性でも、子供がいる女性になるとさらに下がり、子供のいない女性よりも14%少ないという。そこで、収入をアップさせるために必要となるのが「交渉(ネゴシエーション)」だ。自分が望むことや自分が受けとって当然と思うこと(権利)を主張すれば、差は縮まりそうだ。「女性は交渉下手ではない」とPynchon氏。だが、「自分の権利を要求しないように文化適応をさせられている」ために、自分のこととなると交渉が下手なのだという(思わず頷いている女性も多いのではないだろうか?)。

一口に自分の権利を主張せよ、交渉せよといっても難しい。記事では、Pychon氏をはじめとした専門家が指摘する5つのNGワードを挙げている。

(1)謝る

「すいません」「申し訳ありません」「ごめんなさい」――謝罪の言葉はさまざまだが、不必要に口にしていないだろうか? 謝ることは、無意識ながら、あなたの言葉の重みを薄めてしまう。昇給の話し合いの際、「申し訳ありませんが……」と持ち掛けるのはやめよう。「とにかく謝らないこと。女性というだけであなたの価値はもう下がっているのだ。もっと自分に自信を持って」とPynchon氏は助言している。

(2)と思う

「……と思う」――これもよく使われるフレーズだが、交渉では控えよう。「交渉の多くは、事実や数字、データに基づく。感情を持ち出すと信用が損なわれる」というのがビジネスコンサルタントのBeverly Flaxington氏のアドバイスだ。

(3)最初のオファーであっさり「イエス」と言う

相手のオファーを待つのではなく、まずは自分から提案すること。相手が「ノー」答えた場合、質問で回答しよう。少なくとも3回は譲歩があるように、高い地点あるいは低い地点から会話をスタートしよう。

(4)考えたこともなかった

交渉中に予想外のことを言われても冷静を保てるよう、交渉前に事前調査をしておこう。ショック状態では、実りある交渉は望めない。驚愕する事態が起こった場合、いったん交渉を打ち切り、日を改めるという手もある。「交渉の題材を熟知していると相手に思わせることが大切だ」(コンサルグループThe Guinn Consultancy GroupのCEO・Alan Guinn氏)。言い換えるなら、知らないと思われると交渉をうまく運ぶことは難しくなるというわけだ。

(5)相手を否定するフレーズ

交渉で大事なことは、会話を促して合意に導くことだ。「ノー」と言ってしまうと、そこで会話は終わってしまう。いったん終わった会話を始めるのは難しい。

例えば、あるサービスに対し、あなたが提示する価格は3万円だが、目の前にいる相手が2万円しか払えないという場合はどうしたらよいのか? 「ノー」と言ってしまう前に、「このサービスに2万円しか払えない理由は?」、あるいは、「私ができることは説明したとおりで、あなたの企業は○○のようなメリットが得られるだろう。どうしてこの値段では難しいのか?」と聞いてみよう。「重要なことは、相手の主張を認めながら会話を続けること」とPychon氏はアドバイスする。