今回も、ここ1週間ほどでNASAが「Image of the Day」でピックアップした魅力的な画像をまとめて紹介する。

隠れた宇宙ジェットをスピッツァー宇宙望遠鏡が検知

Spitzer Telescope Finds Hidden Jet

ハービッグハロー天体34(Herbig-Haro 34)の原始星から2本の宇宙ジェットが噴射されている画像をスピッツァー宇宙望遠鏡が撮影した。ぼんやりとした輪郭の小さな星から広がっている緑色の線が宇宙ジェット。

右側のジェットは可視光で以前にも確認されていたが、左側のジェットは暗黒星雲の後ろに隠れているため、それを通過できるスピッツァーの赤外線検出器で今回撮影されたもの。

宇宙ジェットはガスや塵でできており、星周辺の領域から次々に噴射されているが、最近の研究から、星の右側のジェットは、もう一方のジェットよりも4.5年遅れて噴射されており、両ジェットの噴射範囲は、直径が地球と太陽の間の距離の3倍の球体の領域であることがわかった。

宇宙ジェットの最大噴射範囲は、これまでの研究で地球と太陽の距離の10倍と計算されている。この画像のジェットの両端には、ジェットの前方にある圧縮物質でできた弓形の弧状衝撃波が写っている。

土星の衛星タイタンと土星表面に落ちた影

Beside a Giant

NASAは2012年1月5日に土星探査機カッシーニが撮影した画像を公開した。

画像右側に写っているのが土星最大の衛星タイタン(直径5,150km)。画像上部を横切っているのが土星の環で、画像中部にその影が映し出されている。

土星の環の少し上にある小さな白い点(画像右上部)は衛星プロメテウス(直径86km)。画像下部ある二つの小さな黒い点のうち、左がプロメテウスの影(主要な環と薄いF環の影の間)、右が衛星パンドラの影である(衛星自体は写っていない)。

宇宙からみた夜のアメリカ東海岸

Eastern Seaboard at Night

これは、国際宇宙ステーションの搭乗員が撮影した夜のアメリカの大西洋岸の画像である。

大都市部とその周辺(バージニア州、メリーランド州、ワシントンD.C.)が写っている。画面の枠には入っていないが、その右にはボストンがある。

ロングアイランドとニューヨークは下部右、フィラデルフィアとピッツバーグは中心に近い部分にそれぞれ写っている。

画像左に写っているのは、軌道基地に停泊するロシアの輸送船の一部である。

間近に迫った超新星爆発

Preview of a Forthcoming Supernova

これはハッブル望遠鏡が撮影した竜骨座イータカリーナ星の画像。この画像は掃天観測用高性能カメラで撮影した紫外線と可視光の画像から構成されている。

2つの星のうち、大きい方は不安定かつ寿命が近づいている星である。19世紀にこの星の異常な増光が観測されたが、これは超新星爆発ではなく、星そのものが崩壊する前に停止している。

ハッブル望遠鏡は1990年の打ち上げ以来ずっとイータカリーナ星を取り巻く人形星雲を観測してきたが、この画像はこれまでで最も詳細なものであり、ダンベルのような形の星がどのように形成されたかを表すものである。

イータカリーナ星は、地球に最も近い星のひとつで、近い将来(宇宙の時間でいうと100万年程度先)、超新星爆発を起こすと言われている。

イータカリーナ星が超新星爆発を起こした場合、最近起こった超新星SN2006gyの爆発(2億光年彼方の銀河の同種の星・過去最高の輝度を記録)よりもはるかに印象的な光景が地球からも見えると期待されている。