IT予算が限られる中堅/中小企業(SMB)の皆さんに、ぜひとも覚えておいてほしい会社がある。さまざまなレンジのネットワーク/ストレージ機器を提供しているネットギア (NETGEAR)がそれだ。同社の製品は、「安心」、「簡単」、「ちょうどいい」といった特徴を備えているうえ、驚くべきコストパフォーマンスを実現している。

ネットギアは元々、ベイネットワークスのSMB向けの一部門として事業をスタート。その後、ノーテルネットワークスを経て2002年に分離独立した。現在では、25の国に支社を持ち、ワールドワイドで事業を展開している。ユーザー企業の中には聞き慣れない方も多いかもしれないが、ネットワーク分野では知名度も実績も十分の企業である。

弊誌は、ネットギアのオフィスを訪れ、社長 杉田哲也氏およびCBUセールスエンジニア 渡部敏雄氏にSMB向けのネットワークマーケット動向やネットギア製品の特徴について伺ったので、その内容を簡単にお伝えしよう。

SMBで求められる2条件

昨今では、中小企業においても、ネットワークを利用するシステムやアプリケーションが必要不可欠となっている。業務を円滑に進めるための大前提として、ネットワークの構築、運用/管理は重要なテーマだ。

ネットギアジャパン 社長 杉田哲也氏

ただし、SMBではネットワークの構築にそれほど大きな投資はできない。特に2008年のリーマンショック以降は、「経済状況が厳しくなり、その傾向が一層強くなっている。投資できるとしても大抵はサーバまで。ネットワークに追加で大きな予算を割くのは難しくなっている」(杉田氏)という状況だ。

Ciscoなどの有名ブランド製品は、パフォーマンスや機能、信頼性が優れている分、相応のコストが必要になる。一方、一般消費者向けのネットワーク製品では、コストを抑えられるものの、業務に適した機能や信頼性が不足しているケースが少なくない。SMB向けのネットワーク構築には、必要な機能をリーズナブルなコストで提供する製品が望まれているのだが、「その双方にマッチする製品がなかなか見つからない」(杉田氏)というのが実情だろう。

また、SMBでは、「ネットワークの運用/管理のための専任管理者を置くのが難しい」(杉田氏)という点も考慮すべき問題である。たいていは、IT技術に詳しい社員がいつのまにか通常の業務との兼任で管理者になっている。そのため、「SMB向けの製品では、設定や日々の運用/管理が簡単にできる必要がある」(杉田氏)。

こうした状況にあることから、SMBのマーケットでは以下の2点を満たすものが求められる。

  • 必要な機能をリーズナブルなコストで実現できる
  • 構築時の設定、日々の運用/管理がしやすい

これらのニーズを満足できるように、ネットギアはさまざまな製品ラインナップを揃えている。

用途別に4カテゴリを提供

ネットギアのネットワーク製品のメインはスイッチだ。サポートする機能や機器の管理方法などによって、次のようなカテゴリでスイッチ製品を展開している。

カテゴリ 主な製品 価格
フルマネージスイッチ GSM7352v2 995,400円~
スマートスイッチ GS748Tv4 155,400円~
ProSafe Plusスイッチ GS116E 26.040円~
アンマネージスイッチ GS108v3 10,290円~

なお、上記の価格はあくまでネットギアの公表価格。「実際の販売店では、さらに安価で売られている」(杉田氏)ようだ。

上記のカテゴリ群の特徴について以下、簡単に説明しておこう。

フルマネージスイッチ - きめ細かな設定/管理が可能

フルマネージスイッチは、SNMP(Simple Network Management Protocol)に対応し、管理用のコンソールポートを備える、きめ細かな設定や管理ができる大規模向けのスイッチ製品だ。対応しているイーサネット規格によって、10GフルマネージスイッチとL2フルマネージスイッチがある。

ネットギアジャパンCBUセールスエンジニア 渡部敏雄氏

10Gフルマネージスイッチは、10Gイーサネットを利用できる。それだけでなくL3スイッチとしても利用でき、スタック接続やリンクアグリゲーションなど、ハイパフォーマンスなネットワークを構築するための機能も備えている。「病院、大学キャンパス、研究所といったパフォーマンスが求められるネットワークへの導入実績がある」(渡部氏)という。

そして、L2フルマネージスイッチは、ギガビットイーサネットまたはファストイーサネットのスイッチである。L2スイッチではあるが、スタティックルーティングも可能で簡易的なL3スイッチとしても利用できる。つまり、「ある程度規模が大きくなったネットワークのコアを構築するためにも利用可能」(渡部氏)だ。

スマートスイッチ - GUIの管理機能を搭載

スマートスイッチは、「WebベースのGUI管理機能を備えている製品」(渡部氏)である。ブラウザで簡単に設定でき、SNMPに対応しているので外部から機器の稼働状況を確認することもできる。また、VLAN、スパニングツリーなど、企業向けのLANを構築するための機能をひと通り備えているのが特徴だ。

ProSafe Plusスイッチ - VLAN、QoSに対応

ProSafe Plusスイッチは、VLAN、QoSなどの機能を備えるスイッチ製品。「後述のアンマネージスイッチに少しコストを"プラス"して、ProSafe Plusスイッチを導入すれば、VLAN、QoSを利用できる」(渡部氏)。設定は、専用ユーティリティのGUIで手軽に行うことができる。

アンマネージスイッチ - LANの入り口として

アンマネージスイッチは、設定不要で電源を入れればすぐに利用できるスイッチ製品だ。社員のPCを接続するLANの入り口としての用途に適している。

ネットワークの拡張に対応、PoE製品も準備

以上のような製品群で、SMBネットワークの入り口(エッジ)部分から、ネットワークのコアまでカバーできるようになっている。なお、ここでぜひ覚えておきたいのが、ネットギアのスイッチ製品に標準添付されている「ライフタイム保証」だ。フルマネージスイッチについて「ライフタイム保証」をうたうメーカーは多いが、ネットギアはアンマネージからフルマネージまでの「ProSafe」と表示されているラインナップ全てに「ライフタイム保証」を標準添付している。ユーザー登録さえ忘れなければ、ユーザーが使い続ける限り交換対応をしてもらえるので、安心かつリーズナブルにネットワーク構築が可能だ。

※ ただし、AC電源は2年保証

そして、ネットワークの構築は一回限りで終わるものではない。事業が拡大していけば、当然ネットワークも拡張していく必要がある。ネットギアではエッジ部分からコア部分までの製品を用意しているだけでなく、スタック機能を使用してポート数を増やせたり、アップグレードライセンスでL3機能を追加できたり、といった、必要な時に必要な機能を追加できるモデルを豊富に揃えている。現状のネットワークやすでに導入しているスイッチを生かして将来的なネットワークの拡張に対応していけるのも、同社製品の魅力の一つだ。

図 1 製品カテゴリと構成例

また、上記の製品カテゴリにはそれぞれ、PoE(Power over Ethernet)の機能を備えたPoEスイッチのラインナップが存在する。PoEによってLANケーブルで電力を供給でき、無線アクセスポイントやIP電話、ネットワークカメラの接続に便利だ。モデルによっては、PoE+にも対応していて、1ポート30Wまで供給可能なより電力が必要な機器を接続することができる。

スイッチ製品以外の企業向け製品では、ビジネス向けのNAS製品「Ready NAS」を提供している。例えば、10G対応NASと10Gフルマネージスイッチと組み合わせると、ハイパフォーマンスなストレージ環境を構築することが可能だ。NAS製品とスイッチ製品の両方を自社で開発して提供しているメーカーは少なく、この点もネットギアの強みの一つである。また、今後は無線アクセスポイントやUTM製品の展開も予定している。

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以上のように、標準化されている機能を搭載したネットギアの製品は、リーズナブルなネットワーク構築を実現するのに最適だ。また、機器の管理はGUIベースで簡単に行え、管理者の負担軽減も期待できるのもうれしい。ネットワークの本格的な施設やリプレースを検討している中堅/中小企業の方は、ぜひ選択肢の1つに入れておきたいメーカーである。