1月29日、日本科学未来館(東京)において、ノベルアプリ「はやぶさ」朗読会『宇宙探索のバトンを次世代へ』が開催された。イベントには事前の応募から抽選で選ばれた140名が参加。声優 ささきのぞみさんによる「はやぶさ」物語の朗読や、JAXA 森治さんによる講演が行われた。

ノベルアプリ「はやぶさ」は、小惑星探査機はやぶさを擬人化し、はやぶさの物語を文章や画像で楽しむことができるスマートフォン用のアプリケーション。2011年に公開され、iOS版とAndroid版が販売されている。1月27日にはiOS版のアップデートが実施され、朗読機能が追加された。読み手は今回のイベントにも登場した ささきのぞみさんで、アプリ内課金で350円で購入できる。なお、Android版アプリでの朗読機能の提供は、現在のところ未定となっている。

今回の朗読イベントは、3月10日に公開される映画「おかえり、はやぶさ」の着ぐるみ宣伝部長「はやぶさクン」が出迎える中で開催された。子どもを連れて参加する人の姿もあり、会場には探査機「はやぶさ」や「イカロス」の模型などの展示も行われた。

会場には探査機「はやぶさ」や「イカロス」の模型なども展示 (画像提供:ハンズエイド)

イベントの司会は、よしきくりんさん。今回、朗読される「はやぶさ」の物語は特別バージョンとなっており、はやぶさの旅立ちから帰還の途につくまでの部分は、よしきくりんさんが朗読。その後、地球への再突入へと向かうシーンからを ささきのぞみさんが朗読した。

「はやぶさ」朗読会には140人が参加 (画像提供:ハンズエイド)

ささきのぞみさんは、アニメ「とある魔術の禁書目録」の御坂妹役や、「らき☆すた」のパトリシア=マーティン役などで活躍する声優。この日は、優しく暖かみのある声で、はやぶさの物語を読み上げた。終盤、はやぶさが帰還カプセルを切り離し、最期に地球の姿を撮影して地上に届けたシーンでは、涙ぐむ人の姿も。

ささきのぞみさんによる「はやぶさ」の朗読 (画像提供:ハンズエイド)

後半は、はやぶさプロジェクトで運用を担当し、実験機「イカロス」ではプロジェクトマネージャを務めたJAXA 森治さんによる講演が行われた。森さんは、ささきのぞみさんの朗読、そしてはやぶさの物語に少し目を潤ませながら登場。

JAXAの森治さんは「はやぶさに続く宇宙探査」というテーマで講演 (画像提供:ハンズエイド)

森治さんは、「はやぶさ」「イカロス」、そして「はやぶさ2」、さらには現在検討されている木星・トロヤ群小惑星探査計画などについて、分かりやすく解説を行った。質問に答えるかたちで、太陽の光を受けて加速するイカロスについては、「約半年間で新幹線に相当するスピードが得られた」など、宇宙や探査機、宇宙工学という世界を身近な例えで紹介した。

イカロスの1辺が14mもある「帆」の素材「ポリイミド」についても、実際にポリイミドを手にして透かして見せ、「(このように)透けて見えてしまうということは、光りが通り過ぎているということ」、そこで膜面にアルミを吹き付けたと説明し、「このようにすると鏡のように光が反射され、つまり帆が光を受けられるようになるわけです」などのように「見て」分かりやすい説明や、時には笑いを誘う話に会場は聞き入った。

また、「はやぶさ-2」については、基本的な機能は はやぶさと同じものの、爆薬で小惑星に人工のクレーターを作り、小惑星内部の岩石採集を狙っていることなどを紹介。「小惑星に爆薬を落とす際には、はやぶさは小惑星の反対側(影)に移動して隠れる」といった説明も、動画を交えつつ語られ、「講演」といったすこし堅苦しいイメージとは違った、「宇宙っておもしろい」という興味を喚起するような内容であった。

この日のイベントは、ささきのぞみさんが最期の挨拶でイベントに参加した小さな子どもに「ずっと聴いてくれて、ありがとう」と語りかけるなど、終始和やかな雰囲気の中で行われた。

最後にこの日の参加者とささきのぞみさん、森治さん、着ぐるみ宣伝部長 はやぶさクンと共に写真撮影が行われた。撮影後も、森さんは来場者に囲まれつつにこやかに話をしており、はやぶさクンも一緒に撮影したいという人が列を作っていた。

ささきのぞみさん、森治さん、着ぐるみ宣伝部長 はやぶさクンといっしょに「はやぶさ-2」への応援エール (画像提供:ハンズエイド)

イベントが終了語も、森治さんの周りには人が絶えない (画像提供:ハンズエイド)

今回このイベントを主催し、また、ノベルアプリ「はやぶさ」の制作会社でもあるハンズエイドは、この日の「はやぶさ-2」への応援メッセージを広げようという思いから、「はやぶさ-2」応援twitterキャンペーンを実施している。期間は2月1日から20日まで。

キャンペーンの応募方法は、Twitterで@sansaibooksをフォローして、「はやぶさ-2」応援メッセージのURLと指定されたハシュタグ「#hayabusaApp」を含んだ内容をツイートするというもの。

キャンペーンでは、ノベルアプリ「はやぶさ」の原作となった「現代萌衛星図鑑」(三才ブックス 刊)に、ささきのぞみさんがサインをした書籍が抽選で5名にプレゼントされる。

「はやぶさ-2」応援twitterキャンペーン