ライターや編集者にとって、必須アイテムの1つであるICレコーダーだが、ビジネスの現場で使っている人も多いだろう。ビジネスだけでなく、筆記できない時のメモ代わりや語学の勉強などにも活用できる。また、言った言わないのトラブルが予想されるシーンでは、お互いのために録音しておくという"保険"的な使い方が必要になることもあるかもしれない。

以下、ICレコーダーをこれから使ってみたいと思っている人のために、目的別おススメの機能や、使い方のポイントを紹介しよう。

ビジネス向けは長時間対応を重視

ビジネスでICレコーダーを活用するシーンと言えば、会議や打ち合わせの録音だろう。録音が最も役立つのは、企画会議やブレーンストーミングをする時だ。ふとした発言がブレイクスルーに繋がり、一気に話が盛り上がることがあるが、話すことに夢中になってメモをとりそびれ、どこがキモだったか思い出せなくなった経験はないだろうか。

何をきっかけに話が盛り上がるかわからないので、とりあえず最初から全部録音しておき、後で必要なところを取り出せば漏れがない。また、録音する時はあらかじめ断るのがマナーだが、参加者が録音していることを意識せずに発言できるよう、レコーダーは椅子の上やカバンのポケットなど、見えにくい所に置いておくとよいだろう。

ICレコーダーの価格の違いはマイクの性能の差によるところが大きいが、8,000円前後のクラスになれば、ビジネスで十分使え、話者の目の前に置かなくても、十分クリアに録音することが可能だ。

このクラスの機種では、内蔵メモリ2GB以上、micro SD/SDHD対応のものが多く、長時間の録音が可能だ。バッテリーは充電池タイプが手軽で経済的だが、単四乾電池にも対応していれば、いざという時に致命的なバッテリー切れを回避できる。また、編集ソフトが付属していれば、録音データをパソコンに取り込み、必要な部分だけ取り出しておく作業も手軽にできる。他の人と共有する際にも、必要な部分をトリミングしてファイルサイズを小さくしておいたほうが便利だ。

「SONY ステレオICレコーダー UX523 4GB」。ビジネス向けのスタンダードモデル。コンパクトでカラーも豊富だ

「Sグローリッジ(GLORIDGE) ペン型ICレコーダー GR-101」。探偵ドラマで見たことがある(?)ペン型のレコーダー。デザインが渋すぎて、若い人が持っていると違和感があるかもしれない

「BRIGHTON ICレコーダー&USBメモリーGR-102」。USBメモリ型のレコーダーもある。もちろんUSBメモリとして使用できる

リスニング力強化にもICレコーダーは有効

ICレコーダーは、語学講座やリスニング教材の聞き取りにも活用できる。定番のラジオ語学講座番組で勉強するなら、ラジオチューナー搭載モデルがおススメ。受信中の番組をそのまま録音することができるからだ。CD版の教材を1年分買うことを考えれば、高い買い物ではないし、聞く時の使い勝手も良い。

また、Podcastの語学番組を活用するなら、付属のソフトでPodcastを購読できるICレコーダーを使ってみてはいかがだろう。もちろん、iPhoneやiPodを使ってもよいが、リピート再生やスロー/高速再生など、ICレコーダーのほうが聞く訓練に適した機能が搭載されている。自宅で勉強する人には、イヤホンなしでも聴きやすいスピーカー搭載の据え置き型もおススメだ。

ラジオ機能のない機種なら、別のラジオ端末の音声出力とICレコーダーのマイク入力をケーブルで接続すれば、ダイレクトに録音が可能。同じ方法でレコードプレーヤーやカセットデッキからの録音も可能なので、アナログ資産のデジタル化にも活用できる。

「OLYMPUS ICレコーダー Voice-Trek Vシリーズ V-85」。FMチューナー搭載、8GB内蔵+micro SD対応の大容量タイプ。マイクも高機能

「SONY ポータブルラジオレコーダー 4GB R50 ICZ-R50」。AM/FM放送を予約録音可能。大口径スピーカーで聴きやすく、操作ボタンもわかりやすい

「ELECOM ステレオミニプラグケーブル 1.0m DH-MM10」。外部音源からICレコーダーに録音したい場合は、このようなケーブルで接続する

思いつきやタスクは音声からテキストに変換しよう

歩いている時に思いついたアイデアは、なぜか途中で忘れてしまうことが多い。メモしておけばよかったと思うのだが、メモ帳がなかったり、荷物で手が塞がっていたりすると、それもできない。

こうした時は音声メモが便利だ。ICレコーダーを持っていなくても、スマートフォンのボイスメモ機能で十分。録音したら自分のメールアドレスやEvernoteに送っておけば、後々の管理もしやすくなる。ただし、音声ファイルは再生しないと中身が確認できず、効率が悪い。

そこで活用したいのが、音声をテキスト変換してくれるアプリだ。文字でリスト化されていれば確認は一瞬で済むし、一覧できることで、別のアイデアと並べてみたり組み合わせたりといった発想もしやすくなる。

「DragonDictation」は、マイクに向かって話した内容をテキストに変換してくれるiOS向けアプリだ。はっきりとゆっくり話せば、精度は比較的良い。生成されたテキストは、クリップボードにコピーするほか、SMSやメール、Twitterなどに直接送ることができる。Twitterなら宛先を入力せずに送れるため手間がかからないが、DM設定まではできないようなので、個人的なメモに使うなら専用のアカウントを作ってカギ付きで運用するのがよいかもしれない。

音声入力でメールやSNSに投稿できる。そこそこの長文にも対応

「テン」=「、」や「マル」=「。」なども発音で認識される

Android向けには音声入力機能のあるアプリがいろいろ提供されているが、運用を考慮すると手帳系が使いやすそうだ。超定番の「ジョルテ」も、音声入力に対応している。予定やタスクの入力時に「menu」ボタンで音声入力を起動すると、発話を自動的にテキスト変換してくれる。

取り急ぎ「タイトル」欄に思いついたことを入力し、今日の日付で保存しておけば、後から時系列で一覧できるので便利だ。Googleカレンダーと連携させれば活用度も上がる。続きを思いついたら「内容」欄に記入しておけば、アイデア固めのサポートにもなるだろう。

手帳アプリの定番「ジョルテ」を音声toテキストメモアプリとして使う

その日の予定のタイトルにメモしておけば、時系列で見返すことができる