スマートフォンブームとともに、アプリストアというアプリ配信メカニズムが定着しつつある。現在、アプリストアはグローバルでは米Appleの「App Store」、米Googleの「Android Market」が主流だが、米Amazonが3月にAndroid向けのアプリストア「Amazon App Store for Android」を米国で開店するなど、新しい動きも見られる。

アプリストアは今後どのように発達するのだろうか? 6月初めに英ロンドンで開催された「Open Mobile Summit」では、アプリストアに関するセッションがいくつか開かれた。現在のアプリストアの課題を含め、業界関係者の意見をまとめてみたい。

左からFlirtomaticのCEO、Mark Curtis氏、We7のCEO、Steve Purdham氏、Zongの副社長、Hill Ferguson氏、Qualcommの副社長、Colm Healy氏、VisionMobileの創業者、Andreas Constantinou氏

既存アプリストアの課題

まずはApp StoreとAndroid Marketについて、(AppleとGoogle以外の)関係者はどう思っているのだろうか? Android Marketについては、決済手段が限られていることに批判が集中した。「(Androidの決済手段である)『Google Wallet』はよくない。App Storeに比べると、エクスペリエンスがはるかに劣る」とモバイル決済ベンチャーの米Bokuの共同設立者兼副社長のRon Hirson氏。Bokuは、Android端末向けアプリ内決済のAPIの提供を開始している。これによりオペレータ課金を実現する。

オペレータ課金は、クレジットカードを持たない人に買物の手段を提供するのはもちろん、セキュリティへの懸念も解消できるといった利点もある。フィンランドNokiaが自社アプリストア「Ovi」でオペレータ課金を採用したところダウンロード数が急増したといった例もあり、ユーザーが使いやすい決済方法と考えられているようだ。

App Storeについては、垂直統合モデル、iTunesの使いにくさ、マーケティング要素が少ないことなどが挙がった。サードパーティのモバイルアプリストアGetJarの最高執行責任者、Chris Dury氏は、「そもそも、音楽向けとして誕生した仕組みだ。アプリ向けではない」という。出会いアプリのFlirtomatic、サービス設計のFjordなどを立ち上げた起業家、Mark Curtis氏は、「ロングテールが機能していない」と言い切る。

Android MarketとApp Storeの共通の課題として挙がったのは、発見や検索だ。「1000万アプリの時代になる。インターネットの世界の検索のような技術を、モバイルアプリの世界にどうやって適応するか」とGetJarのDury氏は言う。Get Jarはすでに20億件以上のダウンロードを誇り、サードパーティアプリストアとして大きな存在になっている。

米QualcommでEMEAサービス担当副社長のColm Healy氏も、「見つける方法は大きな問題」と述べる。「ノイズをフィルタリングする必要がある。ここは今後のイノベーション分野になる」。