三洋電機は、5月8日を「GOPAN(ゴパン)の日」に制定したのにあわせて、同日、東京・八重洲で、同社の「GOPAN」購入者を対象にしたイベント「GOPAN FAN Meeting」を開催した。GOPANは、家庭にあるお米からパンを作ることができるライスブレッドクッカーだ。

「GOPANの日」に開催されたGOPAN FAN Meetingの様子

同製品は2010年10月8日から出荷を開始する予定だったが、同日までに予約数が1,000台に達するなど、予想を上回る予約数量となったことで、発売日を11月11日に延期。さらに、3週間で、今年3月までの5万8,000台の当初出荷計画を超える注文数に達したことから、増産体制を敷くために12月1日以降、予約と出荷を停止し、2011年4月27日から再出荷を開始していた。

こうした状況を踏まえ、同社は従来からの中国での月産1万台体制に加えて、鳥取でも生産を開始し、月産2万台の体制を敷いている。

出荷モデルでは、プレミアムホワイトカラーの製品に一本化するという

同社の調査によると、GOPAN購入者の93%が「米粒からパンが焼けること」を購入理由に挙げているほか、98%が「お米からパンを作れることに満足」と回答。さらに、88%のユーザーが製品購入後の感想として「満足」、「やや満足」と回答している。また、63%の購入者が「お米の消費量が増えた」と回答した。

同社としては、GOPANは"世界の人々に健康で楽しいお米ライフを提案する"という想いで開発した商品であり、米の消費拡大、地産地消に貢献することを誓う意味で、5月8日を『GOPANの日』に定めたという。また、東日本大震災の被災県は米生産の2割を占めており、消費者の『東北地方のお米の購入したい』という動きとともに、新たなお米の消費スタイルを提案し、食べるという行為で復興に参加するという意味、秋の豊穣・農への感謝の思いも込められている。

GOPAN FAN Meetingは今年2月に続いて2回目の開催。愛用者同士のコミュニケーションを促進するのが狙いであり、同社では「今後定期的に開催していきたい。今回は定数の2倍以上の応募があった」とした。

今回のGOPAN FAN Meetingには、約900世帯に対し100世帯分の「GOPAN購入補助金」を導入した福島県河沼郡湯川村の大塚節雄村長、ファームマエストロ協会の代表理事でありGOPANのレシピ本『GOPANでつくるごちそうお米パン』(河出書房新社刊)の著者である鈴木あさみさんも参加した。

『GOPANでつくるごちそうお米パン』の著者である鈴木あさみさん

会津湯川米を使い、GOPANで焼いた米パンを試食する湯川村・大塚節雄村長

会場1階には福島県のアンテナショップ「福島県八重洲観光交流館 ほっとするふくしま」があり、会津湯川米を使い、GOPANで焼いた米パンの試食も行われた

ちょうどこの日、菅直人首相がアンテナショップに来店し、会津湯川米を使い、GOPANで焼いた米パンの試食。「おいしいね。こういう製品があると米も消費されるね」と語っていた。

午前11時からスタートしたGOPAN FAN Meetingには、関東近郊から13組32人が参加。ゴールデンウイーク最終日ということもあり、親子で参加する姿が数多く見られた。

参加者からは、「GOPANを週5日間利用している」、「甥っ子が小麦アレルギーなので助かっている」、「今朝もGOPANで焼いたパンを食べてきた」という声のほか、「夜に利用するとマンションでは近所の騒音になりそう」、「音が気になるので防音マットを何枚も敷いている」、「12時間経つと味が落ちる」、「焼き上がったパンが取り出しにくい。焼いた後に洗うのが大変」といった、愛好者ならではの厳しい声も聞かれた。

三洋電機 マーケティング本部 課長 古長亮二氏

マーケティング本部 課長 古長亮二氏は、「GOPANは2010年11月に発売されたばかりで、まだよちよち歩きの状態。『鳴き声(=音)がうるさい』といった意見に代表されるように、まだまだ成長していく商品。皆さんの声をGOPANの成長に反映させたい」と述べたほか、「かつて、ホームベーカリーが一気に80万台売れたが、あまり使われることなくすぐに数万台に落ち込んだことがあった。GOPANでは毎日使っていただくための活動に力を注ぎたい」とした。

鈴木あさみさんからは、「GOPANは最初にパンケースにオリーブオイルを刷毛で塗ると焼けたパンを取り出しやすい。また羽根の掃除は付属のブラシよりも、歯ブラシのほうが洗いやすい」といった情報のほか、GOPANでパンを焼く際に便利なノウハウが伝授された。

一方、湯川村の大塚節雄村長は、「米の価格は45年前の水準となっており、農家は厳しい状況にある。米の消費を促進する必要性から、かねがね米から違うものが作れないかと考えていたところに、GOPANが発売されて三洋電機と連携した。湯川村では、なるべく農薬を使わずに安心して食べられる米を作っている。また、土壌の水はけがよく、会津の中心にあるためミネラル度の高いきれいな山の水が入ってくるため、湯川の米はおいしい。問題は、福島第一原発で、風評被害によって福島県の農産物が売れなくなっていること。出荷中の米は昨年収穫して蔵でしっかりと保存したものであるため、安心して食べていただける」と語った。

試食会では、会津湯川米による白米米パン、会津紫黒米による黒米米パンのほか、砂糖を不使用のメープルバターブレッドパンを用意。さらに、トッピングとして、ゆかりディップや、福島県の味噌を使用した味噌くるみペーストを用意した。

会津湯川米による白米米パン、会津紫黒米による黒米米パン、砂糖を不使用のメープルバターブレッドパンと、用意されたトッピング

なお、GOPAN購入者の間からも、明太子やふりかけ、黒豆の煮汁、海苔の佃煮といった和食にあう食材を混ぜたり、トッピングしたりして、『米パン』を楽しんでいる人が多いという結果が出ている。

ゆかりディップをトッピングした米パンは、見た目と違って和風な味に驚きの声があがった