エヌ・ティ・ティ ピー・シー コミュニケーションズ(以下、NTTPC)が提供するVPSサービス「WebARENA SuitePRO」。その特徴は、管理者の実務を気遣った細かい機能や設定にあると言える。それぞれは決して目立つものではないが、困ったときに助けられる、あるいはそもそも困ること自体がないような"配慮"が散りばめられている。

細かな問題追及の積み重ねが生み出した利便性

NTTPCのデータセンター事業がスタートしたのは1997年。当初はハウジングが中心で数種類のメニューしかなかった。その後、1999年にホスティングに参入。顧客の要望に応えるかたちでサービスの種類を拡充し、現在は、共用サーバサービス、専用サーバサービス、VPS(Virtual Private Server : 仮想専用サーバ)サービス、パブリッククラウドサービス、プライベートクラウドサービス、データセンターなども展開している。

NTTPC データセンタ事業部 サービス開発部 ホスティングサービス担当 伊藤綾子氏

前述のWebARENA SuitePROの特徴は、こうした長年にわたるホスティング事業で培った経験から生まれたものだ。システム管理者から寄せられた問い合わせを基に、問題解決に必要な機能や設定を洗い出しながらソリューションを開発。その積み重ねが、他社サービスにはない利便性につながっているという。

では、具体的にどのような機能/設定を備えているのか。NTTPCでWebARENAサービスの企画/開発を担当する伊藤綾子氏は、数ある機能/設定の中でも特に以下の6点を挙げる。

  • 管理者に必要な機能を搭載したコントロールパネル
  • 実運用を考慮したOSイメージ
  • "1Gbpsのゆったり共有"が実現する高速通信
  • ウィルススキャン/シマンテック製迷惑メール対策ソフトの無償提供
  • フェイルオーバー機能、ストレージ/ネットワーク冗長化などの高可用性サービス
  • クレジット決済で即時に利用開始可能、ディスク/メモリ/CPUリソースの拡張/減少もオンデマンドでできる

これらのうち、上から3つについて簡単に見ていこう。

本当に必要な機能を搭載したコントロールパネル

WebARENA SuitePROの大きな特徴の1つが、ユーザーの特性を意識して同社自らが開発したコントロールパネルだ。サーバの状態を表示する機能や、SSH(Secure Shell)のアクセス制限機能といった一般的なVPSに搭載されているものに加えて、クリック1つでOSを再インストールできる機能やSSH設定ファイルを初期化する機能など、地味ながらも"あると便利"な機能も搭載されている。

こうした機能の意義について伊藤氏は次のように語る。

「サポートセンターへの問い合わせ内容を分析すると、以前は、『SSHへのアクセス制限の設定ミスで、だれもアクセスできなくなってしまった』といったものが非常に多かった。これがサポートセンターの営業時間内に発生したのであれば、電話をかけてすぐに設定をリセットしてもらうなどの対応が可能だが、営業時間外で起きてしまうと、翌朝まで何もできなくなってしまう。そうした事態を防ぐために、SSHの設定リセット機能が追加された」

OSの再インストールについても、「通常、サポートセンターに頼むと"3営業日以内に"といった返事が返ってくるが、この作業だけでお客様のサービスインが遅れてしまうのでは申し訳ない」(伊藤氏)といった思いから組み込まれた機能だ。いずれも、普段の業務で頻繁に利用するものではないため、ユーザーの目をひくことはまれだが、こうした機能に助けられるケースは実のところ本当に多い。現場の運用のことを真剣に考えた機能と言えるだろう。