米Googleは12月16日(現地時間)、同社モバイル地図アプリの「Google Maps 5.0 for Android」の提供を開始した。AndroidユーザーはMarketアプリから手動または自動で最新版のインストールが可能。5.0の特徴は大きく2つで、地図表示が3D化したこと、そしてオフライン時動作におけるデータキャッシュだ。地図パーツがベクターグラフィックに変更されたことで保持すべきデータ量が従来の100分の1近くまで減っており、先行キャッシングによりオフライン状態になってもより広い範囲での地図表示が可能になっている。

Google Maps 5.0をインストールしたユーザーが3Dモードに移行するには、タッチスクリーン上で指を2本載せた状態で下にドラッグするだけだ。これが「Tilt」状態であり、いわゆるバードビューの視点で、3Dオブジェクトで描かれた地図上を移動できる。拡大縮小のほか、2本指を"ひねる"ことで回転することも可能だ。また地図上に出現するコンパスをクリックすると、「Compass mode」に移行する。これはユーザーのいる場所を起点に現在正面を向いている方向に地図を自動的に回転するもので、Google Maps for iPhoneなどですでに実装されている機能だ。Turn-by-Turnナビゲーションで出現する地図移動モードが通常でも利用できると考えればいいだろう。

Google Mapsで3Dの"Tilt"モードに移行した状態

Compass modeの状態。画面上方が北ではなく、自分の向いている方向の3D地図が表示される

また地図はベクターグラフィックで描かれるため、これまでのように拡大縮小によって地図の再読み込みが発生したり、画面が荒いモザイク状になることはない。スムーズな拡大縮小が可能になっている。対応都市は同社の3Dページで参照できるが、日本の主要都市はだいたいカバーされているようだ。ただし米国などでも同様に、街のすべての地域が3Dパーツで表示されるのではなく、対応エリアを少し外れると通常の地図表示となる。まずは下記の動画での説明を見てほしい。


またもう1つの特徴として、オフラインモードの機能が強化されていることが挙げられる。もともとGoogle Maps for Mobileアプリには地図を先行キャッシュする機能が備えられているが、キャッシュできる範囲がかなり限定されるほか、拡大縮小に対応できないという問題があった。ところが前述のように5.0 for Androidでは表示がベクターグラフィックに変更されたことで拡大縮小でも問題なく動作し、地図のキャッシングにかかる容量が従来の100分の1程度となっており、キャッシュだけで表示可能なエリアが広がっている。そのためユーザーがよく移動するエリアを地図アプリが把握し、オンライン状態のときに先行してキャッシングすることでオフラインでも問題なく動作する仕組みになっている。自宅で充電しつつWi-Fi接続状態にあるときなど、一気に地図データのキャッシングを行う形となる。

このオフラインキャッシュと地図のベクターグラフィック化の恩恵はナビゲーションにもいかんなく発揮されており、Turn-by-Turnナビゲーションで評判の「Google Maps Navigation」を利用した際、オフライン状態での再ルート計算機能が提供される。特に街中の入り組んだエリアやトンネル、山間部や郊外など、オフライン状態になりやすいルートでも、地図表示やナビゲーション状態を維持してサービスが利用できる。

Google Maps 5.0 for Androidに対応するのはAndroid 1.6以上のデバイスとなっているが、3D表示やオフライン対応など主要機能の多くはAndroid 2.0以上の対応となっている。ただしOSのバージョン要件を満たしていてもすべての機能やサービスを利用できるわけではなく、例えば筆者が利用しているNexus Oneでは地図の回転機能がうまく動作せず、3D地図表示も東京などの一部エリアで画面が崩れた状態になる現象が確認できている。興味がある方は、まず新機能がどこまで利用できるのか一度試してみてほしい。