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次期ブラウザの主要技術になるとみられるHTML5、CSS3、SVG 1.1の仕様が最終草案へ向けて詰めの作業に入り始めている。最終草案になれば仕様としての内容はほぼ確定する。最終草案の次は実装との兼ね合いが強くなる勧告候補と勧告案となり、実装が困難とみられる仕様については変更が実施される。その後、W3C勧告として公開される。

HTML5、CSS3、SVG 1.1の最終草案への取り組みが進められていると当時に、W3Cの関係者はすでに次期技術、いわばHTML6の策定へ向けた関連議論をはじめている。どういった議論が進められているかがIEBlogで紹介されている。状況を伝えているのはMicrosoftのPatrick Dengler氏。

MicrosoftのIEシニアプログラムマネージャであるPatrick Dengler氏は、W3C SVGワーキンググループやSVG-CSSタスクフォースのメンバーも務めている。同氏は現在の取り組みを通じて、HTML6などの次期技術策定を進めるには現在の次の問題を解決する必要があると指摘している。

  • 組織構造的に違うグループと連携体制を実現することが難しい。
  • 技術的な不一致が、それぞれの技術を連携する段階において不整合問題を発生させている。
  • スケジュールの不一致が策定技術の相互連携を阻害する一因になっている。
  • 一貫したガイドラインの不在が担当範囲境界の曖昧さを招いている。

Patrick Dengler氏はHTML6がどういった技術イノベーションを取り込むものになるかはわからないと前置きした上で、イノベーションを成功させたりさらに技術を発展させるためには、まずこうした組織的な問題を解決する必要があると指摘している。Patrick Dengler氏は関係者のコンセンサスに「HTML6ではSVG、HTML、CSSのよりシームレスな連携を実現する」といったものが出来上がりつつあり、これを実現するためには違うワーキンググループの間で円滑な連携が取れるようにする必要があることを指摘している。

HTML5ではSVG 1.1が取り込まれ、CSS3と連携が実現される。しかし、類似した技術がそれぞれの仕様に策定されていること、どこまで技術連携を実現させるのかなど課題が多いのも事実。HTML6ではこうしたHTML5での課題に焦点をあて、HTML+SVG+CSSという基盤技術をよりシームレスに連携統合させることを目指す方向にあることがわかる。