中国のIT大手 海輝軟件(国際)集団公司(ハイソフト)は11月16日、都内で記者説明会を開催し、取締役会長 孫振耀氏と日本法人の代表取締役社長の小早川泰彦氏が、今後の日本市場における同社の取り組みになどついて説明を行った。

海輝軟件(国際)集団公司 取締役会長 孫振耀氏

同社は今年、中国系ITサービス事業者として初めて米NASDAQ上場を果たしたが、株式市場で調達した資金を主として技術競争力の向上など、相乗効果が見込めるM&Aなどへの投資に割り当てる。

同社は1994年に大連で創業。「最初の顧客は川崎重工」(孫会長)というように、日本を足がかりとして事業基盤を固め、2004年に米国市場に進出。GEから長期にわたるITアウトソーシング契約を獲得し、現在は中国国内に9ヵ所、国外では日本を含めて7ヵ所の拠点を有するに至っている(うち米国が5ヵ所)。

孫会長は、成長期を迎えたとされる同社の今後の戦略として「日本市場と中国への回帰」を掲げる。

日本市場は同社の売上の3分の1を占める「重要なマーケット」(孫会長)とのことだが、同社が今後注力するのは「保険業界向けシステム開発/保守」「組込み機器 - 組込みソフトウェア開発/検証/ローカライゼーション」「中国・アジア新興国に進出する日本企業向け支援」の3つの領域とされる。

ハイソフトジャパン 代表取締役社長 小早川泰彦氏

日本法人の小早川社長は、オフショア開発で長らく日本のIT企業と付き合ってきた同社の視点から、日本のITサービス業界がいま求められていることとして「生産年齢人口の減少やデフレの長期化などによるさらなるコスト削減ニーズへの対応」があると説明。また、海外市場に進出する企業の増加を背景に「すでに当社も製造業を中心として多数の日本企業をサポートしているが、今後は(とりわけ中国を中心とした)現地の商習慣や言語に対応したシステム構築・運用ニーズがさらに増加する」との見通しを示した。

同社の日本市場におけるフォーカス領域

とりわけ沿岸部における人件費の上昇により、内陸部への"国内オフショア"が行われているとされる中国IT業界だが、それでも日本にとって中国の存在が重要であることに変わりはない。

小早川社長は、日本からのオフショア開発/ITサービスの委託先の2大国である中国とインドについて項目別の比較を行い、輩出される大卒人材が毎年650万人にも達するといった人材採用面でのメリットや、高い成長率が見込まれるなど"市場"としての魅力などを示し、あらためて中国の優位性を強調した。

同社が示したインドに対する委託先としての中国の優位性

なお、現在の同社の地域別売上比率は米国が約6割と圧倒的な割合を占め、中国国内での売上は1割程度とされているが、孫会長は高い成長率を背景に「今後3年間で中国国内の売上が(売上全体の)30~40%を占めるようになるだろう」と語っている。