近年のネットワークインフラの充実とテクノロジーの急速な進歩により、クリエイターが必要とする制作環境にも場所の制限が少なくなり、日本全国/世界各国のクリエイター間で、情報やデータを共有するなどのケースも多くなってきている。また、決まったオフィスなどをあえて持たず仕事をする「ノマドワーカー」が、クリエイターの中にも多数出現しており、いつでもどこでもスムースなコミュニケーションが行えることはより一層重要なポイントとなっている。そこで今回は、iPhoneのWi-Fiや3G回線を介して情報交換やデータ共有をよりスムースかつダイレクトに実現してくれる、コミュニケーションツールを紹介していきたい。


最新機種であるiPhone 4から導入された新しいコミュニケーション手段といえばビデオ通話「FaceTime」。日本国内では、携帯電話を使ったテレビ電話がFOMA登場の頃より実現されていたのでテクノロジー面での新鮮さはないかもしれないが、やはりiPhone 4の高精細な大画面を使ったビデオ通話は快適だ。しかも、操作は至ってシンプルで、アドレス帳からビデオ通話を行いたい相手を選んで、「FaceTime」ボタンをワンタップするだけ。自宅や職場などでWi-Fiが利用でき、相手も比較的よく知ったユーザー同士の通信手段として最適といえるだろう。1点非常に残念なことは、FaceTimeはiPhone 4同士かつWi-Fi経由に限定されてしまうことだ。

アドレス帳から通話相手を選択し「FaceTime」ボタンをタップ。利用シーンを考慮し、あえて薄暗い室内でのFaceTimeにチャレンジしてみた。画像はやや粗くなるが、相手の表情や作品の様子などを確認するには十分なレベル

では、3G回線を使いつつ遠隔地の相手ともローコストで音声通話やビデオ通話を実現する方法はないのだろうか。そのような場合には、ぜひ3G回線を使ったVoIP通話に対応したアプリをオススメしたい。VoIPは、音声を各種符号化方式で圧縮しパケットに変換した上でネットワーク伝送するため、通常の音声通話でなくパケット通信として取り扱われる。そのため通話料を気にせず、遠隔地などの相手ともじっくり打ち合わせなどが行えるというわけだ。VoIPを実現する代表的なサービスといえば、やはり「Skype」だろう。iOS 4のマルチタスクキングに対応し、ロック/バックグラウンド状態でもインスタントメッセージやSkype通話の待受けが可能となっている。さらに、これまで3G回線を利用したSkype通話に対して課金が行われる予定とされていたが、2010年以降も無料で提供することをメーカーが発表し、Skype同士の通話はWi-Fi/3Gに関わらず今後も無料で行える。しかし、残念ながら現状のiPhoneアプリでは、PC版で実現されているビデオ通話は提供されていない。ぜひ、今後のバージョンアップではビデオ通話への対応も期待したいところだ。

Skypeでは、iOS 4のマルチタスクキングに対応し、バックグランド通話などが可能。Safariやメールなどにアプリを切替え、閲覧しても通話が途切れることはない。通話の保留にも対応している

回線状況に大きく影響される音声品質だが、3G回線でも大きな差は感じられない。通話には、あらかじめお互いがSkypeのIDを取得しリストへの登録が必要となっており、一般電話とのスカイプイン/アウトなども可能

また、Skypeと同じくiPhone用のVoIPアプリ「Fring」(無料)では、いち早く3G回線を使ったビデオ通話を実現している。現在、VoIP通話およびビデオ通話が行えるのは、fringユーザー同士のみとなっているが、MSN、GTalk、ICQ、Twitter、Yahoo! Chat、AIM(現在Skypeは未サポート)といった幅広いIMサービスも利用可能だ。なお、Fringアプリは、AndroidやSymbian、Windows Mobileなどの幅広いプラットホームでも提供されている点も魅力。どうしても、Wi-Fiが確保できず3G回線を使って、ビデオ通話を行いたいユーザーはぜひFringにチャレンジしていただきたい。

3G回線によるビデオ通話の品質は、FaceTimeなどと比較してやや劣るものの、場所を選ばす通信が可能なため非常に利便性が高い。非対応機種では、一方通行のビデオ通話となる

Twitter、FaceBookなど複数のサービスを利用してる場合には、Fringにまとめて統合できるのも特徴。様々な相手と同時にコミュニケーションする必要のあるクリエイターにオススメのアプリだ