OSからCRMまで、さまざまな分野で開発されているオープンソースソフトウェア。システムに欠かせないバックアップでもオープンソースによる解決策がある。企業システム向けに本格的なバックアップ/リストアのオープンソースソフトウェア「Bacula」だ。Baculaを支えるスイスBacula Systemsは先に、Enterprise Editionを発表、バックアップシステムのRed Hatを目指し、事業展開を本格化している。

Bacula SystemsのCEOであるJack Griffin氏に話を聞いた。

Jack Griffin氏

--Baculaについて教えてください。

データセンターのバックアップ用ソフトウェアで、Mac、Windows、Linux、UNIX、Solarisなどをバックアップできる。テープ、ディスク、USBタイプとあらゆるメディアを利用できる。ミッションクリティカル向けの信頼性やセキュリティを備えており、Baculaを利用して数千台ものサーバをバックアップする顧客もいる。

オリジナルコードを書いたのはKern Sibbald -- CADで知られるAutodesk創業者の1人だ。Autodesk退社後に趣味で書いたBaculaを2002年、オープンソースとして公開したところ、しだいに開発者が集まるようになり、プロジェクトとなった。Sibbald氏は現在、Bacula Systemsの会長兼CTOを務めている。

仕組みとしては、バックアップ対象のマシンで動くファイルデーモンがファイルの変更を追跡し、バックアップ時にどのファイルをバックアップすべきかを理解してその情報をストレージデーモンに送る。管理者は「Director」モジュールを利用して、Webインターフェースでバックアップの間隔など運用を細かに設定/操作できる。週1回全マシンをフルバックアップし、毎日差分(インクリメンタル)バックアップをする、などの設定が可能だ。

独自機能として、リレーショナルデータベースに保存するカタログ機能がある。サーバが多数存在し、ファイル数が数百万という大規模システムでは、多数のファイルが作成され常に変更されているが、これをバックアップ/管理するとなると膨大なデータになる。リレーショナルデータベース対応により、SQLコールが利用できる。これは大きなメリットだ。現在、MySQL、Ingres、PostgreSQLに対応済みで、Oracleサポートも予定している。

このリレーショナルデータベース対応は、プロプライエタリのバックアップ製品でも提供されているが、この場合、ロックインの心配がある。Baculaはオープンソースなのでその心配はない。

2009年秋にダウンロード100万回に到達した。Sourceforgeでも、バックアッププログラムのカテゴリで最多のダウンロード数を誇る。オープンソースは正確な把握が難しいが、運用環境にあるインストール台数は1万以上と予想している。

コミュニティ活動も活発で、定期的にコードを貢献する開発者は30人以上。個人開発者だけではなく企業の貢献が増えており、"熱(エネルギー)レベル"が上がってきたと感じている。