【レポート】

Apple緊急記者会見、iPhone 4アンテナ問題「影響は小規模だが…」

米Appleは7月16日(現地時間)、米カリフォルニア州クパチーノの本社で緊急イベントを開催し、CEOのSteve Jobs氏が「iPhone 4」のアンテナ感度問題について説明した。アンテナ設計の欠陥によって携帯電話回線の受信が不安定になるという指摘については実際の利用データを示して否定したが、問題が一部のユーザーの満足度に影響している事実を認め、iPhone 4用のケースの無料提供を発表した。

記者会見はYouTubeで公開されているJonathan Mann氏の「Song A Day #561: The iPhone Antenna Song」という動画の再生から始まった。これはiPhone 4のアンテナ問題の騒動を取り上げた曲で、サビ部分の歌詞が「iPhone 4を欲しくないんなら……買わなきゃいい! 買ったiPhone 4が気に入らないのなら……返品しろ! (4回繰り返した後で) Apple Storeに持ってけよ」である。


もちろんAppleは「文句があるんならiPhone 4を買うな!」と伝えたくて、この動画を紹介したのではない。「The iPhone Antenna Song」では前半に「メディアは成功続きの製品がしくじると大喜び」と歌っている。アンテナ感度の問題が報道やネット上で騒がれ、iPhone 4ユーザーの多くがiPhone 4に失望しているようなイメージが広まっているが、米国でiPhoneを販売するAT&Tのデータによると、初期出荷分の返品率はiPhone 3GSが6.0%だったのに対してiPhone 4は1.7%である。30日以内に全額払い戻しで返品できる権利をiPhone 4ユーザーは行使していない。またAppleのサポートAppleCareへのiPhone 4ユーザーからの電話のうち、アンテナまたは受信感度のトラブルに関する質問はわずか0.55%だという。アンテナ問題騒動とは裏腹に、iPhone 4は順調に売れ続けているし、実際のユーザーは受信感度を含めてiPhone 4に満足しているという点にスポットライトを当てるために、あえて「The iPhone Antenna Song」から記者会見をスタートさせた。

Jobs氏はまず、Blackberry Bold 9700、HTC Droic Eris、Samsung Omnia llなどを例に、持ち方や向きによって携帯電話の電波の受信が変化する"アンテナゲート"がiPhone 4特有の問題ではないと指摘した。例えばBlackberry Bold 9700は受信感度のバーが5本立っている状態で、本体を包むように持つと1本に減ってしまう。

製品 OS ドロップ前のバー本数 ドロップ後のバー本数
Blackberry Bold 9700 RIM 5本 1本
HTC Droic Eris Android 4本 0本
Samsung Omnia ll Win Mobile 4本 1本

Appleは「Smartphone antenna performance」というページを設けて、多機能携帯電話のアンテナ性能に関する独自調査の結果を動画付きで提供し始めた。

全てのスマートフォンの電波受信にはウィークスポットがある。iPhone 4の場合、メタル部分の継ぎ目という場所がウィークスポットを目立たせてしまっている。さらにiPhoneの受信感度バー表示のプログラムにバグが存在するのを、これまでAppleが見逃してきたことが今回の騒ぎを拡大させた (受信感度バー表示プログラムのバグは15日にリリースしたiOS 4.0.1で解決)。

米国で15日にBloombergが、iPhone 4のアンテナ問題をAppleが早い段階で把握していたにもかかわらず受信感度よりもデザインを優先したと報じた。実際アンテナが本体の一部としてユーザーの手に触れるデザインと、その影響については、開発段階でApple内において様々な議論がなされた模様だ。最終的にiPhone 4のアンテナゲートは、すべての携帯電話で許容される範囲と判断した。AT&Tの最新データによると、これまでのところ通話ドロップ数がiPhone 3GSよりもiPhone 4の方が多い。だが「ドロップ数の増加は、100通話あたり1本に満たない規模だ」(Jobs氏)という。

Jobs氏の今回のプレゼンテーションでは「携帯電話はパーフェクトではない」という一文が様々なところで登場した。他のスマートフォンと同様にiPhone 4もアンテナゲートの課題を抱えている。だが、機能・デザインなど総合的にiPhone 4はユーザーを十分に満足させられる製品だとAppleは考えている。実際にユーザーの満足度を示すデータは良好だ。

しかしながらアンテナ問題の騒動が拡大し、iPhone 3GSよりもiPhone 4の方が通話ドロップが多いというデータも存在する。「われわれのエンジニアとサイエンティストがデータを吟味した結果、『問題がある』と言う結論からは逃れられないと判断した。だが、その問題の影響を受けるユーザーの割合は非常に小さい」と同氏。その上で「われわれは全てのユーザーを大事に思っている」と続け、全ユーザーに満足してもらうための対策としてiPhone 4ユーザーへのケースの無料提供を発表した。ケースなどを用いてiPhone 4本体のメタル部分に直接触れないようにすると、受信が安定するという報告が多数存在している。

Appleは「Bumpers for iPhone 4」という専用ケースを販売しているが、すぐに全iPhone 4ユーザーに行き渡らせられるほどBumperを用意できないため、いくつかのケースの選択肢を用意する。来週後半にはWebサイトでの申し込み受け付けを開始する予定だ。すでにBumperを購入したiPhone 4ユーザーには代金を払い戻すという。このiPhone 4の無料ケース提供プログラムは9月30日までで、その後の継続についてはあらためて検討する。

ちなみにプレゼンテーション後に、Jobs氏、COOのTim Cook氏、ハードウエアエンジニアリング担当シニアバイスプレジデントのBob Mansfield氏がQ&Aに応じ、その際にそれぞれのiPhone 4に質問が及んだ。3人が取り出したiPhone 4は、Bumperもケースも装着していない本体のみの状態だった。

Bumperを装着したiPhone 4(右)

会見では、iPhone 4に関するいくつかの情報アップデートも行われた。販売台数が300万台を突破、7月30日には新たに17カ国での販売が始まる。ホワイトモデルについては、予定通り7月後半に出荷が始まるという。また近接センサーに不具合が見つかったことを公表。この問題はソフトウエアアップデートで修正するという。

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