The WebM project is dedicated to developing a high-quality, open video format for the web that is freely available to everyone.

MPEG-4 AVC/H.264系の6つのビデオコーデックを比較した評価報告のショート版がSixth MPEG-4 AVC/H.264 Video Codecs Comparisonにおいて公開されている。この比較の中にはGoogleからリリースされたVP8は含められていない。比較調査を実施しているグループは現在のVP8は比較対象に含めるほどは速度が見込めないため対象には含めていないと説明。ただし、VP8も比較して欲しいという要望が多いことから、同評価に付属させる形でVP8, x264 and XviD comparisonを公開した。

付属報告書で比較されているビデオコーデックはVP8、x264、XviDの3つ。エンコードにおける品質と速度を計測しており、レート歪曲線、ビットレートハンドリング分析、速度/品質比較分析などが公開されている。評価の概要をまとめると次のとおり。

  • VP8のムービビットレートハンドリングはとても優れている。
  • VP8のHDTVビットレートハンドリングは思いのほか優れている (低ビットレートにおけるTroyシーケンスはのぞく)。
  • VP8ムービ処理: XviDと比較して5倍から25倍遅く、10%から30%ほど品質が良い。
  • VP8ムービ処理: x264と比較して5倍から25倍遅く、平均で20%から30%ほど品質が悪い。
  • VP8 HDTV処理: XviDと比較して5倍から20倍遅く、10%から20%ほど品質が良い。
  • VP8 HDTV処理: x264と比較して5倍から20倍遅く、品質は同じくらい (x264 High-Quality presetはのぞく)

VP8, x264 and XviD comparisonにはこの評価に対するVP8デベロッパからのコメントも掲載されている。掲載されているコメントは次のとおり。

  • ベンチマークの入力データにすでにほかのコーデックによって圧縮されたデータを使っているが、これはVP8の非圧縮試験にとっては偏りを生じさせることになる。この計測は本質的にH.264/MPEG系に有利になるが、VP8には不利になる。
  • VP8が非圧縮入力で優れた性能を発揮するものこうした背景がある。
  • ほかのコーデックはSSIM試験向けに最適化されているが、VP8では最適化されていない。
  • WebMプロジェクトにおけるVP8開発はまだはじまって3週間という状態であり、今後の最適化で大幅な高速化が期待できる。

VP8は高い品質を実現しているうえにロイヤリティフリーで利用できるという特徴がある。しかもGoogleやMozilla、Opera Softwareなどサービスの提供側とブラウザの開発ベンダによって支援が表明されており、HTML5時代におけるデフォルトビデオコーデックとして普及する可能性がある。しかし品質を理由にしてAppleはVP8ではなくH.264を支持、Microsoftも含みのある表現をしながらも基本的にはH.264を支持している。H.264とVP8のどちらが主流になるのか関係者はその性能や周辺状況を注視している状況にあり、評価などに高い注目が集まっている。