上海で体験したLTEデモの様子をお伝えしている本レポート。前編では上海万博会場に施設されているTD-LTEネットワーク網を取り上げたが、今回は、上海市内を走るリニアモーターカー「上海磁浮列車」沿線や上海市内の某区画にファーウェイ・テクノロジーズ(華為技術。以下、ファーウェイ)が施設しているFDD LTEネットワーク網をご紹介する。

時速300km超でも高速通信は可能か?

まずは上海磁浮列車で体験したFDD LTEから。

上海磁浮列車は、上海浦東国際空港から上海市街地を結ぶリニアモーターカーだ。最高時速は430km。全長約31kmの行程を7分20秒で走破する。

上海磁浮列車。最高時速は431km

ファーウェイでは、この上海磁浮列車の沿線にFDD LTEの基地局を8つ設置している。網羅しているエリアは約20km。全工程の3分の2程度に及ぶ。使用されている周波数帯は2.6GHz。アンテナ構成は2×2 MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)。

披露されたデモは、5GBのファイルをダウンロードしながらその転送速度を測るというもの。残念ながら、乗車した時間帯の問題で、最高時速は430kmではなく300kmでの走行だったが、果たして300kmという高速移動中にもデータ転送は正常に行えるのか。その点が大きな注目だった。

この日は12時過ぎに乗車。残念ながら、最高時速300kmでの運行に

デモでは5GBのファイルをダウンロード

デモで使用されたLTEモデム

結果から述べると、以下の写真のとおり、下りの通信で最高56.7Mbps、平均27.5Mbpsを達成。約4分程度の走行で7.57Gb(約946MB)のダウンロードが行えた。

デモ画面

デモ画面の拡大写真。左下のウィンドウの数字がデモ結果のサマリ、右上の赤色のグラフが転送データ量を示す。左上には、現在(デモ実施時)の移動速度や時刻が出ており、300kmで移動していることがわかる

ファーウェイによると、時速431kmの移動中でもハンドオーバーの成功率は99.5%以上に上るといい、高速移動においても問題なく高速通信が行えるようだ。

なお、今回のデモでは、通信事業者側の制限により通信速度は50Mbpsに制限されていたという。したがって、本来のFDD LTEではさらに高速な通信を実現できる。その模様が次のデモだ。

制限なしでのパフォーマンスは果たして?

続いては、ファーウェイが施設した上海市内のFDD LTE網によるデモだ。市内の一画に3つの基地局が設置されており、そのエリアを自動車で移動しながら、先ほどと同じようなデモを行った。

デモの実施場所は、オープンしたばかりのファーウェイ R&Dセンターの近く

今回のデモ端末

こちらは、リニアモーターカーのデモような通信事業者側の制限がない。仕様上は下りで100Mbpsの通信が行えるとされている。

そのデモの結果がこちら。

デモ結果

下りの最高通信速度は98.5Mbps、平均75.3kmbpsを記録している。時速20km程度の移動ではあったが、制限がかけられたリニアモーターカーでのデモの2倍程度、前回紹介したTD-LTEの4倍近いパフォーマンスが確認できた。