子ども手当を運用する商品として、積立定期預金とともに注目なのが、生命保険会社が取り扱うこども保険。利回りもさることながら、その保障性も要チェックです。

貯蓄のできない家庭ほどこども保険で積み立てを

子ども手当の運用商品として、まず目につくのは定期預金です。しかし、現在の金利は超低金利で、1年定期預金の金利が0.06%。ネット定期など、金利が高めなところを選んでも0.3%前後。これでは、あまり旨味がないということで、子ども手当の運用先として注目したいのが「こども保険」です。

こども保険は"保険"ですから、本来お金を運用するための商品ではありません。ただ、親が生きていても亡くなっても、必要な時にきちんと満期金を受け取れる仕組みな点が要注目。貯蓄がなかなかできない家庭こそ、子ども手当をこども保険の保険料に充てることで教育費を積み立てていく基盤ができます。

こども保険は、ゆうちょ銀行の「学資保険」がその代表例としてお馴染みですが、生命保険会社であれば、大体、どこでも取り扱っている貯蓄性の高い生命保険です。

最大の特徴は、親(契約者)に万一のことがあったら、それ以降の払い込みが免除されて、契約時期になったら満期保険金が支払われるという『保険料払込免除特則』の機能がある点。つまり、18歳時の大学入学のときに200万円が必要とこども保険に加入していたとします。ところが、契約者である夫が子ども10歳のときに亡くなると、それ以降の保険料支払いは免除されますが、18歳時にはきちんと200万円が支払われる、という機能です。

こうした保障機能がある分、こども保険の場合、積立額よりも満期金として受け取る額が少ない、つまり元本割れしてしまう、商品もなかにはあります。ゆうちょ銀行の学資保険などはその例です。しかし、なかには、貯蓄性重視の商品もあり、積立元本を10%前後上回る満期金を受け取れる商品も数多くあります。そういった商品から、子ども手当の積み立てに利用するものを選べばよいということになります。

返戻率100%超えなら、運用先としてOK

こども保険の場合、金利の代わりに、「返戻率」という考え方で運用率をみます。受け取る満期金と祝い金を合計した金額を払い込み保険料で割った数字が返戻率になりますが、ここが100未満の場合、元本割れということになります。返戻率が高いので人気なのが、ソニー生命「5年ごと利差配当付き学資保険II型」とアフラック「夢みるこどもの学資保険」で、ともに返戻率110%前後となっています。

ただ、返戻率の高さだけでこども保険を選ぶことはできません。まず途中で受け取る祝金や満期金のサイクルと金額です。表で紹介しているアフラック、住友生命、ソニー生命でもそれぞれ受取サイクルは違います。アフラックの場合、高校入学の15歳時と大学入学時、大学2・3・4年時の計5回、受け取る設計になっています。住友生命は、中学入学時の12歳、高校入学時の15歳に祝金、18歳時に満期金という組み合わせです。ソニー生命のII型は大学入学時の18歳の1回だけの満期金です。満期金は18歳時の1回だけ十分という意見もありますが、実際、中学受験、高校受験時に私立進学などで予定以上にお金がかかることも想定できますし、万一、途中でもらう祝金が必要ないなら、据え置いて満期時に一緒に受け取ることもできます。自分の子どもの教育プランを考えて、どのタイプに加入するか決めたほうがいいでしょう。

ちなみに、こども保険の保険料は、契約者(親)の年齢が決め手のひとつ。当然年配なほど保険料が若干高くなります。また、同じ年齢でも、男性より女性の方が、死亡率は低いため、もしも、契約者を母親にできるなら、父親にするより若干保険料が割安になることもあります。

保険料は月払い以外に、半年払いや年払い、一時払い(全期前納)といった支払い方法があり、まとめて払えば払うほど有利に。どうせなら、子ども手当を1年分キープしておいて、年払いにすると返戻率がさらにアップします。余裕資金があるなら、一時払いにする手もあります。

保険料の払込を18歳までにしないで10歳や15歳で払い済みにする手も

また、子ども手当は15歳までしかもらえないけれど、こども保険の保険料は18歳まで払わなければならない。残りの3年間の保険料支払いの手当てがつかない、という人もいるかもしれません。実際、中学・高校になると、たいていの子どもが塾に行くなど、学費以外の負担が重くなります。そんなときに、毎月1万~2万円のこども保険の支払いをしていくのは家計にとってつらい家庭もあるでしょう。

そういった家庭は、保険料の支払いを塾代の負担がない10歳まで払い終える、あるいは、子ども手当支給が終わる15歳までで払い終えるといった選択肢も考えられます。10歳払い済みの保険料支払いを選択できるのがアフラック「夢みるこどもの学資保険」。合計受取額300万円を得るためには、10歳払い済みの場合、保険料は毎月2万870円(子ども0歳(男)、契約者30歳(男))ですが、もしも子ども手当が2万6,000円にアップすれば、楽々支払うことができます。

子ども手当が支給される15歳までで、保険料を支払い終えたいというなら、住友生命「こどもすくすく保険」。受取総額240万円を受け取るためには、保険料毎月1万2,904円(子ども0歳(男)、契約者30歳(男))が必要。もし、子ども手当が1万3,000円のままでも、十分、保険料を支払うことができます。